Stefan Ruzowitzky 1961年12月25日ウィーン生まれ。脚本家。映画監督。 写真 Matt Petit/©A.M.P.A.S |
強制収容所からの生還者アドルフ・ブルガーの自伝をドイツの映画プロダクションに持ち込み、自ら脚本を書いて監督。その作品『ヒトラーの贋札(Die Fälscher)』は先月24日に発表された第80回アカデミー賞で最優秀外国語映画賞に輝き、前年の受賞作 『善き人のためのソナタ(Das Leben der Anderen)』(フロリアン・ヘンケル=フォン=ドネルスマルク監督)に続くドイツ語映画の連続快挙となった。
オーストリア国籍だが、父親の仕事の関係でデュッセルドルフで育ち、ウィーン大学で演劇学を学んだ。卒業後すぐにビデオ制作の仕事を始め、シュテファン・ラーブのプロモーションビデオも手がけている。劇作と映画監督を始めたのは1996年。2作目の『Die Siebtelbauern』(98)で才能を認められ、『Anatomie』(2000)では、ドイツ200万人ほか世界の観客を動員。6作目となる今作で、グローバルな脚光を浴びた。
同作品の登場人物は、ナチスが英経済をかく乱するため強制収容所に開いた贋札製造工場で、贋札作りに従事したユダヤ人たち。しかし「ユダヤ的特徴を強調しなかったのは、彼らがその文化や宗教ではなく、血を理由に迫害されたドイツ人だったことを言いたかったから」。
米国では500万ドルの興行成績を上げ、ハリウッドから次作のオファーも来ている。ヴォルフガング・ペーターゼン、ローラント・エメリッヒらが先鞭を付けたドイツ系監督のハリウッド進出組に、また一人、新人が加わりそうである。
< 前 | 次 > |
---|