Dr. Margot Käßmann 1958年6月3日マールブルク生まれ。ルター派教会の聖職者。10月28日、新教諸派を束ねるドイツ福音教会(EKD)会長に選ばれた。 ©Foto Monika Lawrenz/LVH |
ハノーファー新教区の司教に任じられたのは1999年。同区で初めての女性監督だった。そして先月28日には、全国の新教諸派(ルター派・連合派・改革派)を束ねるドイツ福音教会(EKD)議長に、やはり初めての女性かつ離婚経験者ながら選ばれ、所属信徒2500万人の1人であるメルケル首相からも応援の祝福を受けた。
福音主義の神学を学び、23歳で同じく聖務への献身を目指す相手と学生結婚。その夫エッカートとともにヘッセン州北部の教区に牧師として赴任したのは1985年、27歳の時だった。
それから現在まで、キャリアは常に上昇を続けている。神学博士号を取得し、36歳でEKD書記長、41歳で司教へと昇進。しかし、私生活では辛い経験もした。乳癌が発見されたのは2006年8月。手術から放射線治療を経て仕事に復帰した07年5月には、26年目にして結婚生活が破たんした。
控えめな夫、鋭くパワフルな妻。タイプが違いすぎたと知人たちは言う。主夫になって娘4人の世話と家事を引き受けてきた夫は、04年からカッセル近郊の教区へ牧師として復職。すでに別々の人生が始まっていた。
現在も婚姻の制度を評価しているだけに、自らの失敗はかなりの痛手だったようだが、「痛みを知って信仰が深くなった」とも。癌サバイバーとしても、終末期患者の安楽死を求める権利と自殺ほう助の是非について理解を深めている。ドイツ新教の最高指導者としての任期は6年。人種差別に反対し、教会を祈りの場にしたいと思っている。
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