Dr. Necla Kelek 1957年12月31日イスタンブール生まれ。トルコ人。ドイツ国籍。イスラム批評家。 ©Michael Kneffel |
トルコ出身のイスラム批評家として知られる。「イスラムは宗教と同時に抑圧システム」「家父長的な制度を打ち破らなければならない」と激しく告発するため、ドイツのメディアからは逆に“聖なる戦士”とまで呼ばれてきた。先頃は新著『楽園への旅』でイスラムを無害化することに警告を発し、さらなる注目を集めている。
8歳のとき家族と共にニーダーザクセン州に移民してきた。しかし学校以外はすべてトルコ環境にあったため、「ドイツに着地したとは言えない」。暴力的な専制君主の父は、娘が水泳の授業に参加することを禁じた。その抑圧から逃れるために猛勉強し、製図技術を学んで独立。仕事に就きながらハンブルク大学で国民経済学と社会学を修め、『トルコ系生徒の生活環境におけるイスラム教の意味』で2002年に博士号を取得した。
日頃からイスラム女性のスカーフ着用に反対し、慣習になっている強制結婚を非難してきたことから、とうとう05年に自伝をミックスしたイスラム批判書『見知らぬ花嫁』を出版。続けて翌年にも、『失われた息子たち』でトルコ系青少年の問題を指摘するに至った。
専門家を集めたツァイト紙上での公開討論ではしかし、科学性に欠けるとの批判を受けて「そういう研究者らに統合政策失敗の責任がある」と反撃。大論争へと発展させている。「寛容な社会を支持する人は不寛容に対して寛容であってはならない」と堂々と言えるのは、不寛容との批判を恐れる必要がない移民系の強みかもしれない。
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