Joachim Gauck 1940年1月24日ロストック生まれ。ドイツ福音主義教会の牧師。連邦集会で連邦大統領に立候補する。 ©Markus Schreiber/AP/Press Association Images |
23. Juni 2010
ケーラー大統領の辞任に伴い、野党SPDと緑の党から後任への立候補を請われて快諾。以来メディアと国民を熱狂させ、独自候補を擁立した連立与党CDU・CSU、FDP内の亀裂を表面化させている。
1989年秋に東ドイツの各地で民主化を求める市民集会が発生したとき、ロストックで先頭に立った新フォーラム指導者の1人だった。統一後は、旧東ドイツ国家保安省(シュタージ)がIM(非公式協力者)を使って集めた個人情報を調査検証する政府受託機関で活躍。2000年に退官するまでの10年間、同組織は一般にガウク機関と呼ばれたことから知名度を高め、全国民の信頼を集める一方で、旧東体制の流れをくむ左派からは嫌われてもいた。
「父親の運命が思考の柱になった」と言う。船長だった父は46年に英軍の戦争捕虜からロストックの家族の元に帰還。しかし51年に今度はソ連当局に連行された。反ソ活動の容疑で裁判にかけられ、シベリアの労働収容所へ送られていたが、家族には何も知らされない。そのときから母親は“お上との親交”を止め、子どもたちも当局の宣伝を鵜呑みにしなくなる。支配政党SED(ドイツ社会主義統一党)の青年組織にも加盟しなかった。
そのため神学部への入学しか許されかったことが、現在へと続く道を選択させたとも言える。自ら世直しを求め、保守を自認する無党派の牧師。その自立性ゆえにメルケル首相から候補への声が掛からなかったと見られるが、国民からの声援は高まるばかり。大統領選出のための連邦集会が開かれるのは6月30日。注目が集まる。
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