Farin Urlaub 1963年10月27日西ベルリン生まれ。本名Jan Ulrich Max Vetter。パンクロックミュージシャン。 ©Erik Weiss |
パンクロックバンド Die Ärzte(ディー・エアツテ)のギタリストとして11カ国語のWikipediaに紹介されるほどの有名人だが、一方で写真集を出版するフォトグラファーとしても知られ、9月24日からベルリン・ミッテのギャラリーLumasで、これまで東南アジアや日本で撮影してきた作品を展示する初めての個展『Kuroboshi』をオープンした。
9歳からクラシックギターを習っていたが、パンクに目覚めたのはギムナジウムの修学旅行で出掛けたロンドンで髪を染めてから。音楽にのめりこんでベルリン自由大学の考古学部を中退し、1982年にBela B.と結成したDie Ärzteから全国的なパンクロッカーになった。
芸名のFarin Urlaubは「Fahr in Urlaub(休暇に行きなさい)」をただ縮めただけ。社会問題や政治にも触れる歌を作り、人権と環境保護の活動を支援し、酒もタバコもやらず、シーフードと乳製品と卵は食べるベジタリアンで、その上日本語まで話すとなれば、インパクトは強烈だ。2007年制作の『kujira o sukue!』では日本語の歌詞でクジラ救済を訴え、ソロ活動(バンド名Farin Urlaub Racing Team)でも、05年に収録した『Sonne(太陽)』のミュージックビデオを時代劇で展開。悲恋の末に仇を討って自決するサムライ役を見事に演じた。
写真展の作品には、貧困にあえぐインドやブータンの人々と並び、日本の鳥居、庭園、竹林、清流など静の世界が鮮やかに写されている。いわく、「世界は不公平で残酷で素晴らしい」。評価は全く気にならない。なにせパンクも写真も楽しみでやっているのだ。
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