Dr. Thomas de Maizière 1954年1月21日ボン生まれ。18歳でCDU入党。政治家。3月3日に内相から国防相へと転任。 ©Markus Schreiber/AP/Press Association Images |
2009年から第2次メルケル政権で内相を務めていたが、博士論文の盗用疑惑により国防相が辞任したことで、その後任へと移動。連邦軍は現在、海軍帆船ゴルヒ・フォックで起きた女性士官候補生事故死の解明が待たれ、一方で兵役の廃止に伴う組織改革が急務であることから、「メルケルの多目的武器」と呼ばれる新国防相の手腕に注目が集まっている。
17世紀にフランスからブランデンブルクへと移住してきたユグノー教徒の末裔であり、父ウルリッヒは戦前にドイツ陸軍総司令部参謀、戦後は西ドイツ連邦軍の大将とし奉職。彼自身もアビトゥア取得後に2年間の兵役に就き、現在も予備役将校の立場にある。平時における連邦軍最高指揮官として最適な人物と評されるのは、この背景があるからだ。
一方の学業ではミュンスター大学とフライブルク大学で法学・歴史学を修め、28歳で第1次・第2次の国家試験に合格。西ベルリン市庁に入り、CDUのヴァイツゼッカー市長(1984年に大統領に転出)、ディープゲン市長の下で行政の現場に身を置いてきた。
ベルリンの壁が開いた90年には、CDU報道官として東独の民主化促進に加わり、初の民主選挙で選ばれた東独首相、かつ実の従兄弟であるロタール・デメジエールと再会。そのときロタールに当時無名だったアンゲラ・メルケルを紹介したと言われているが、「いや、彼女は東、私は西の広報官として会ってますね」と否定。しかし、「一目で彼女には見込みがあると思いました」と言うあたり、さすがメルケルの懐刀である。
< 前 | 次 > |
---|