Senta Berger 11941年5月13日ウィーン生まれ。女優。英語読みではセンタ・バーガー。 © Markus Schreiber/AP/Press Association Images |
演技歴55年、結婚歴45年、息子2人。美貌と知性と堅実さを併せ持ち、ドイツ人に最も愛される女優だ。先頃迎えた70歳の誕生日に、2002年から主役を演じる刑事部長シリーズ「Unter Verdacht(嫌疑中)」の新作が放送され、大きな祝福を受けた。
1960年代にチャールトン・ヘストン、カーク・ダグラス、フランク・シナトラ、リチャード・ハリスなどと共演。見事な肢体と美貌からFräuleinwunder(ドイツ娘の驚異)と呼ばれた女優の1人だった。
出身地はウィーン。売れない音楽家だった父親から歌とピアノを仕込まれ、16歳で著名なマックス・ラインハート演劇セミナーに入学。しかし、学校に無断でユル・ブリンナーと共演したことから退学となり、それを機にハリウッドのオファーを受けて、スターへの道を歩き始める。
しかし69年、夫との生活を優先してドイツへ帰欧。妻のためにボストンの病院勤務医になっていた夫はミュンヘン帰還後に転職し、映画界のおしどり夫婦になった。夫は「白バラは死なず」(82年)などの社会派で知られる映画監督のミヒャエル・ヘルホーファンである。妻の方はアラン・ドロンとの共演や、ウンベルト・エーコ原作のイタリア映画「女にしっぽがあったころ」などの作品に出演し、やがて母になる。
ハリウッドでの未来を捨てたことに後悔はない。なぜなら、「米映画は70年代にベトナム戦争などのテーマで米国女優を求めたはず」だから。時代を読む力も大物女優の資質の1つであった。
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