Roland Jahn 1953年7月14日イエナ生まれ。ジャーナリスト。連邦シュタージ文書局の3代目長官。 ©ARD/rbb |
旧東ドイツ国家保安機関(俗称シュタージ)が行った諜報活動を解読する連邦シュタージ文書局の、3代目長官に3月14日付けで就任。早速、「シュタージの犯罪を糾明する同局にシュタージの元要員が働いているのは好ましくない」として公務員47人の配置換えを求め、波紋を広げている。
同局は1991年の開設からすでに20年。シュタージ組織の内部に踏み込む必要から、元要員を採用したとされている。しかしその切り離しを今、3代目の長官が求めるのは、自身がシュタージの犠牲者だったからだ。
生まれは東ドイツのゲラ県イエナ郡。イエナ大学で経済学を学んでいた76年の冬に、反体制歌手・詩人ヴォルフ・ビアマンが市民権を剥奪されたことを機に、体制批判を始めた。メーデーに白紙のプラカードを掲げて言論規制を批判し、学籍を喪失。その後も自転車に連帯と書いたポーランド国旗を付けて走るなどして、何度も逮捕されている。
反体制仲間40人と共にイエナ平和共同体を設立したのは83年3月。シュタージに拘束され、バイエルン州と接する国境封鎖地帯まで連行されて、西ドイツ行き特別列車の最後尾に乗せられたのは同年の6月8日。こうして東ドイツを追放された。
しかし、東に帰りたいからと西のパスポートを拒否。西ベルリンから東ドイツ政権に対する批判を続け、西に潜むシュタージからさらに見張られてきた。そのため今回の元要員切り離し要求では、個人的な復讐だとする批判が上がる一方で、さすが反逆児だとの声もあり、今後の展開に注目が集まっている。
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