Katharina Wagner 1978年5月21日生まれ。祝祭劇場監督を継ぎたいと発言した。 |
祝祭劇場の総監督ヴォルフガング・ワーグナー(87)の秘蔵の末娘として、毎年バイロイト音楽祭でゲストを迎える父親の隣に立ってきた。しかし今年の音楽祭では演出家として、7月25日のオープニングに「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を公演。折しも9月には、祝祭劇場財団により後任監督が決定されるとあって、ワーグナー一族のライバル候補2人とともに華々しい注目を集めている。
音楽舞台芸術のサラブレッドとして生まれたことは間違いない。作曲家フランツ・リストの玄孫、祝祭劇場の始祖リヒャルト・ワーグナーと2代目監督コジマの曾孫、3代目監督ジークフリートの孫にあたる。ベルリン自由大学で演劇学を学び、ベルリン国立歌劇場で研修。以後ヴュルツブルク、ブダペストなどでワーグナー、プッチーニの作品を演出し、偉大な名前がもたらす周囲の過剰な期待と批判にさらされてきた。
一方、祝祭劇場の監督継承問題でも注目の人だ。劇場の所有がワーグナー家から市と州とバイロイト友の会による財団法人に移行したのは1973年。その見返りとして終身制の監督職を得た父ヴォルフガングも今は高齢となり、財団は01年に彼の前妻の娘エファ・ワーグナー=パスキエルを後任に選んだが、唯一反対したのは父だった。
それから6年。今回の票決でもエファと従姉妹ニーケ・ワーグナーが候補に並んでいる。2人は国際的な演出批評家だが、もう62歳。末娘が巣立つまでと粘ってきた老父の愛に勝利はあるだろうか。
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