1959年6月13日ルーマニアのシビウ県シビウ市生まれ。
ドイツ系。昨年末、ルーマニア大統領に就任。
©Klaus Iohannis 2014
ドイツ人の東方植民が始まった12世紀。我が先祖も約850年前にこの地にやって来た。そこはジーベンヴュルゲン地方(現ルーマニアのトランシルヴァニア)。集団で“ザクセン人”と呼ばれた彼ら植民者たちは美しい町を築き、経済と文化の担い手となった。しかし、第2次世界大戦後はソビエト連邦による強制追放とルーマニア政権からの迫害を受けて次々に先祖の国へ去り、かつて70万人を数えたドイツ系市民は現在2万人弱。ルーマニア全人口の0.1%にも満たない。
その、“まだ残っている希少なザクセン人”の1人である。1983年にバベシュ・ボヤイ大学理学部を卒業し、生まれ故郷のシビウ市(ドイツ名はヘルマンシュタット)で教鞭を執っていた89年にチャウシェスク独裁政権が崩壊。これを機に政治活動に加わり、2000年に同市市長に選ばれた。インフラを整備して清潔な町並みを復活させた手腕は海外からも注目され、4期目を決めた12年の選挙でも78%の支持票を集めた。
昨年11月に行われたルーマニア大統領選挙では、国民自由党の党首として出馬し、第1回投票で1位のビクトル・ポンタ首相から“似非ルーマニア人”と揶揄されながらも、決選投票で逆転勝利。「汚職を追放し、ルーマニアを法が支配する普通の国にしたい」と宣誓し、ルーマニア国民全体の希望の星となっている。
先頃は、圏内での国境検査を省くシェンゲン協定への加盟を15年中に目指したいとも発言。メルケル首相と差しでドイツ語を話せるのは間もなくだ。
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