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ココ・シューマン

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クラウス・ヨハニス"Heinz Jakob „Coco“ Schumann
1924年5月14日ベルリン生まれ。ジャズミュージシャン。
©Karlheinz Schindler/DPA/Press Association Images

アウシュヴィッツからの生還者である。今は体力の衰えから舞台に立てなくなったが、自宅でギターを奏でない日はない。最初に送り込まれたゲットー・テレージエンシュタットでも、ジャズバンドGhetto Swingersのメンバーだった。その演奏シーンが、撮影から70年後となる昨年9月に公開されたドキュメンタリー映画に登場し、話題を呼んでいる。

テレージエンシュタットは、ナチスドイツがチェコ北部のテレージエンシュタットに知識人や芸術家などの特権的ドイツ系ユダヤ人を収監し、「ユダヤ人の幸せな生活」を捏造・宣伝したプロパガンダ収容所だった。1944年6月に訪れた国際赤十字の視察団に整った仕事場と住居、サッカーの試合を見せ、その7週間後に撮影を始めたこの映画には、コンサートを楽しむ男女や遊んでいる子どもたちの姿を収録。しかし、完成版フィルムは敗戦迫る45年3月にプラハで一度上映されはしたものの、以後、行方不明になっていた。

「考えなしの無邪気な若者だったので、映画に出られることが嬉しかった」。現実を悟ったのは44年9月にアウシュヴィッツ行きの貨車に詰め込まれたとき。そこでも音楽で生き延びる。45年1月にダッハウ収容所へ移され、さらにインスブルックへと死の行進を強いられた同年4月、米軍に解放された。

戦後は西ドイツのジャズミュージック・シーンに一時代を築きながら、収容所のことは一切語らなかった。が、86年にジャーナリストから「あなたが話さなくて誰が話すのか」と言われて覚醒。「私は音楽をする生還者ではなく、生還した音楽家だ」と言う。(Y.T.)

 
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高橋容子 ドイツニュースダイジェスト創刊時からの常連ライター。日本で文芸映像翻訳を手がけ、渡欧。英・独・豪と移り、現在はスペインのバスク州暮らし。 www.geocities.jp/takahashi_mormann
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