医師・専門家に聞きました!
ドイツで受診する際や
健康に暮らすためのヒント
産婦人科 Gynäkologie
女性特有の身体の変化や気になる症状、妊娠・出産にまつわる悩みなどを解決してくれる産婦人科。ドイツに来たばかりのタイミングで、環境の変化によるストレスから生理不順になる人が多くいます。予定日よりも遅れる場合や来ない場合、または不正出血があるなど症状はさまざまですが、不正出血を伴う場合は何かしらの病気の可能性も考えられるため、念のために一度受診することをおすすめします。
年齢別の悩みには、10代から20代は生理にまつわること、30代は妊娠・出産や不妊について、40代後半は更年期などが挙げられます。ドイツでは40歳までは不妊検査や不妊治療が公的健康保険適用範囲内となっており、不妊検査は無料、人工授精など次のステップに進む場合は半額自己負担となります。そのため、日本よりも不妊検査や不妊治療が受けやすい環境が整っています。また、更年期の場合は、日常生活に支障が出るほどの症状であれば、ホルモンバランスの調整など、治療することも可能なので、医師に相談をしてみましょう。
ドイツと日本の産婦人科のシステムにはいくつか違いがあります。例えば、ドイツでは婦人科検診を産婦人科で行うことができ、20歳から1年に1度は基本的な検診を受けるのが一般的。そのため、気になる部分や不調がある場合には、産婦人科医に相談しながら検診を受けることが可能です。出産に関して、妊娠から出産直前までは産婦人科で受診し、出産時は365日24時間体制で開いている分娩可能な病院に直接受診するというシステムになっています(出産に関する詳細は、2015年7月発行の本誌1006号、またはウェブの特集ページを併せてご覧ください)。
産婦人科を探す際に知人からの口コミも大切ですが、それぞれ相性がありますので受診をしてから決めるのが良いでしょう。特に公的健康保険では、妊娠後に産婦人科を探す場合、初診した医師との相性が合わずに病院を変えたくても四半期ごとの区切りまで変更することが難しいため、妊娠前に長く付き合える産婦人科医を決めておくのが望ましいです。これはドイツの公的健康保険のシステムによるもので、次の期になるまでの間に一度受診した産婦人科と別の産婦人科を受診する場合、自費になる可能性があるので留意してください。
point
- ストレスによる生理不順で不正出血が見られる場合には受診を
- 早めに相性の良い医師を見つけると、妊娠した際などにも安心
- ドイツでは妊娠~出産間近まで産婦人科を受診し、出産時は専門の病院を受診します
お話を聞いた医師
中川フェールベルク美智子先生 1988年に日本産婦人科認定医として認定を受ける。1990年にドイツに移住し、1996年から「ゾコル産婦人科医院」で診療を始める。産婦人科にまつわる診療をはじめ、出産準備教室、女の子のためのからだのはなしなど、定期的に教室を開催。ドイツで出産を迎えるためのアドバイスや妊娠中の問題など、さまざまな治療や指導にあたっている。
Praxis Dr. Sokol
(ゾコル産婦人科医院)
Joachimstr. 3, 40545 Düsseldorf
TEL:0211-553057
www.sanfujinka-nakagawa.net
※中川先生の診療時間は、火曜・木曜・金曜の9~13時まで