【ベルリン 2月28日 時事】23日のドイツ総選挙で第1党となった野党の保守連合キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と第3党の中道左派与党・社会民主党(SPD)は28日、連立に向けた交渉を始めた。次期首相の座が確実視されるメルツCDU党首は4月中旬ごろまでに政権を発足させたい考え。ただ、双方の主張には隔たりがあり、難航は必至だ。
両陣営からそれぞれ9人が参加し、大きな方向性や交渉日程を確認するとみられる。独メディアによると、保守連合はメルツ氏やゼーダーCSU党首ら、社民党はクリングバイル共同党首やピストリウス国防相らが出席。ショルツ首相は加わらなかった。
交渉の初期段階では相違点を明確にし、連立が可能かどうか探る。最終的には個別政策を明記した連立協定作成を目指す。メルツ氏は「世界は待ってくれない」と政治空白の早期解消を訴えているが、社民党は「連立ありきではない」(事務総長)との立場を強調している。
溝を埋めるのは容易ではない。移民政策を巡っては、国境管理の厳格化や難民の待遇見直しを要求するメルツ氏に対し、社民党は人道的な配慮を重視。経済・財政政策でも、減税や財政規律を掲げる保守連合と、公共投資や社会福祉の拡充を目指す社民党の方針は食い違っている。
CDU・CSUと社民党の連立が実現すれば、2013~21年のメルケル第3・4次政権以来となる。前回21年の総選挙では新政権発足まで73日間、その前の17年は半年近くの時間を要した。
21 Feb. 1236号
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