ドイツのホームへの入居 その2
入居のための手続き
今回は、ホームへの入居手続きの流れについて説明しましょう。ドイツでは、自分がそれまで住んでいた町以外のホームへの入居や移動が可能です。家族がほかの町に住んでいるなど、移動の理由は様々ですので、希望する場所で入居希望の申請をします。
ドイツのホーム入居に必要な書類は、まず健康保険会社共同のメディカルサービス機関(MDK)の介護度認定書、経済状況(収入、年金額、現金、預金高、不動産などの財産)を示す明細書、入居申請書、医師による医療状況についての調査用紙、そして簡単な自分史と食事の好みや食事習慣について回答したアンケート用紙です。これらの情報を基に、ホームではその人の生活習慣になるべく沿った形でのケアを目指します。入居が決まったら、小さな家具を元の住まいから可能な限り持ち込んで、自分の城を作れるようにしましょう。
医療に関しては、ホームに入ったとしても、基本的には入居前からの掛かり付け医に診てもらうようにします。距離的に無理な場合は、各ホームと契約している医師が担当します。ホームでの生活全般において「文化に配慮すること」はとても重要であり、と同時に非常に大きな課題でもあります。最近では外国出身の介護士も増えているため、私たちのホームでも、言葉などの問題がある場合には、英国やトルコ、ロシア、ポーランド出身の外国人介護士が活躍します。また、幸いデュッセルドルフという土地柄、日本人医師やボランティアも協力を申し出てくれています。
入居に掛かる費用はホームによって、また介護度や本人が必要とするお小遣いの額によって差があります。要介護度ゼロと査定された場合、介護保険からの補助はなく、すべて個人負担になります。各ホームの入居費(部屋代、食費、介護費用など)から、介護保険が要介護度に応じて負担する額を差し引いたものが、個人負担額になります。
介護保険が負担する介護費用は、在宅の被介護者に対するものよりは高額になりますが、それでもホーム入居経費のすべてをカバーできるものではありません。私たちのホームでは、費用のほぼ3分の2が個人負担になります。しかし前回も書きましたが、個人や家族で費用を負担しきれない場合(例えば財産が1万ユーロを下回る場合など)には、介護住居手当てを申請できますし、月々の収入が少ない場合には生活扶助を申請することができます。
ホームに入居しない場合でも、多くのホームでデイケアや短期入居サービスなどを行っており、直接相談に行けば本人に合った介護を勧めてくれます。またデュッセルドルフ市にはzentrum plusという高齢者のための総合センターがいくつもあります。これは地区ごとの高齢者用のセンターで、シニアのためのプログラムやその地区の介護施設の紹介、援助が必要な人のための色々な情報を提供しています。このようなセンターはほかの町にも違う名称で存在しますので、各市役所にお問い合わせください。
家族のことも、自分のことならなおさら、突然決めなくてはならない状況に直面するより、前もって施設を見たり、介護についての情報を知っておいた方がずっと安心できると思います。ぜひ、色々なホームを訪問してみてください。
- Biografie (f) ここでは介護を受ける人の簡単な自分史
- Ernährungsbiografie (f) 人それぞれの食事習慣
- Pflegestufe (f) 要介護の度合い
- Ärztlicher Fragebogen (m) 医師に書いてもらう医療状況調査用紙
- Heimbedürftigkeit (f) ホームでの介護が必要かどうか
- Dringlichkeit (f)(ホームでの介護の)必要度・緊急性
(m)男性名詞、(f)女性名詞、(n)中性名詞
DeJak-友の会のDirk Nowaschewski氏が講演予定。7月14日ハイデルベルクのライン・ネッカー友の会にて。その他、9月2日ベルリン大使館などでも開催予定。詳細は下記ウェブサイト参照。
www.dejak-tomonokai.de
介護ホーム "Dorothee-Sölle-Haus"(Diakonie, Düsseldorf)及び、隣接する高齢者のための総合センター"zentrum plus"の責任者。同市ライン川左岸シニア顧問会議議長。DeJaK-友の会のプロジェクト "邦人のための情報センター作り" の主要メンバーでもある。
訳 渡辺・レグナー嘉子 (DeJak-友の会)