見本市会場メッセ・フランクフルト近くにある、体験型科学センター「Experiminta」。館内には様々な科学的事象についての展示があり、実際に見て、触れて、楽しく遊びながら学習することができます。パネル説明は最小限にとどめ、来場者が積極的に参加し、実験しながら理解を深められるよう工夫されています。
見える仕組みを体感できる巨大な目玉
例えば風力をテーマにしたブースでは、風車に形の異なる羽根を付けて風を送り、どんな形の羽根が最も効率良く電気を作れるかを実験できます。羽根の数が多過ぎても少な過ぎても、効率が悪くなるのが瞬時に見て取れました。また、人間の目を忠実に再現した目玉の巨大模型は、中に入ってボタンを操作すると瞳孔を広げたり絞ったりすることができ、人間の網膜がとらえる画像をそのまま映し出す仕組みも分かります。私もこの模型の中に入ってみましたが、映し出される映像が上下左右逆さまになっている風景に驚きました。凸レンズの仕組みや光の屈折を自分の目で見て体験することで、より深く理解することができました。
地上3階、地下1階の建物内には、こうした実験ステーションが約120カ所もあります。物理から数学、自然科学にコンピューターサイエンスまで、多様な分野の事象が再現され、科学を幅広く楽しむことができます。また同じ展示でも、大人から子どもまで、それぞれの年齢に応じた楽しみ方ができるのも魅力です。科学をまだ理解できない小さな子どもは展示物を遊具にして遊んだり、科学を勉強し始めたばかりの小学生なら、理屈抜きに科学の法則を実感できたり、中高生や大人でも、実験して自分の目で確かめられることで、科学に対する理解がさらに深まります。
色付きの影をスクリーンに映し出し、遊びながら色と光について学ぶ
音波と音圧を炎で示すルーベンスチューブのデモンストレーションや、法医学の科学捜査技術を用いた犯人探しの実験などの、ワークショップやイベントも定期的に開催されています。
予約が必要ですが、子どもの誕生日会も開くことができ、私の息子も9歳の誕生日をここで祝ったところ、子どもたちの目の前で火をテーマにした実験パフォーマンスをしてくれました。金属繊維にいろいろな個体を使って火を点けたり、燃え上がる炎をターンテーブルで回して火の竜巻を作ったり、酢をかけて消火したり、ピクルスに電気を通して燃やしたり……。物が燃える仕組みと消火の方法を分かりやすく、しかも楽しく学ぶことができ、子どもたちにも大好評でした。
Experiminta: www.experiminta.de
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。