ジャパンダイジェスト

自分たちの手で創り上げる不思議の国

今年も6月19~27日の9日間、キール中が明るい熱気に包まれる北ドイツ最大の祭り「キーラー・ヴォッヘ」が開催されました。今回は、子どもたちのキーラー・ヴォッヘについてご紹介したいと思います。

州議会議事堂の向かい側に丘陵を伴う広い野原があり、キーラー・ヴォッヘでは毎年そこが“シュピールリーニエ(Spiellinie)”と呼ばれる子どもたちのための広場になります。ここでは巨大なトランポリンの上で心ゆくまで跳ねたり(もちろん無料!)、泥のプールで頭から足の爪先まで泥にまみれたり(ちゃんとシャワーがありますのでご心配なく!)できるほか、野外円形劇場では様々なイベントも催されます。また、それだけではなく、毎年1つのテーマが決められ、子どもたち自身が野原いっぱいにそのテーマに沿った世界を創り上げるというのが、この広場の大きな特徴となっています。

祭り7日目・製作途中のオズの城
祭り7日目・製作途中のオズの城

今年のテーマは、『オズの魔法使い』。私がシュピールリーニエを訪れたのは祭りの2日目だったのですが、到着するとまず、緑色の5本足のワニとも犬ともつかない巨大な動物が出迎えてくれました。入り口を抜けると目の前に、物語に出てくるマンチキンの国の青い人々が立ち並び、彼らの家と思われる青い三角錐の小屋が野原のあちこちに立っているのが見えました。また、エメラルドの国を思わせる緑色の飾りがロープに吊り下げられ、丘の上には巨大な魔法使いとライオン、そしてネズミたちの姿。その後方には魔法使いの城とおぼしき建物があり、さらに丘の上を進んでいくと赤い大きなケシの花が咲き乱れる花畑が広がっていました。しかし、これらはどれも製作途中で未完成。そう、祭りの9日間にここを訪れる、のべ何千人もの子どもたちが皆で完成させるようになっていたのです。

たとえばマンチキン国の住人の家は、1メートルほどの高さの針金でできた三角錐に青い紐をくくりつけ、ネズミも同様に灰色の紐を結びつけるなど、手間を掛けて作られていました。また、テントの中ではケシの花畑の巨大な花びらに子どもたちが赤い絵の具で色を塗っていました。一番大変そうだけど人気があったのは、魔法使いオズの城造り。すでに出来上がっている土台と柱に、大勢の子どもたちがトンカチを片手に木を打ち付けて壁を作っていました。中には一緒になって作業に夢中になっているお父さんの姿も。みんな本当に一生懸命でした。自分たちで不思議の国を創るという体験は、子どもたちにとって、きっといつまでも心に残る良い想い出になることでしょう。

巨大なケシの花畑
巨大なケシの花畑

ゼルヒャウ・ハンゼン美穂
福岡出身。2005年に渡独。夫と娘との3人家族。キール・フィルハーモニー合唱団所属の音楽好き。最近凝っているのは家庭菜園。
 
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