ライプツィヒ東部にある「日本の家」(Das Japanische Haus e.V.)は、かつて「ドイツで最も危険な通り」と呼ばれたアイゼンバーン通りの空き家をセルフリノベーションして作られたフリースペースです。本コラム1116号や本誌特集1192号 などでたびたび紹介されていますが、ここでは地域に根付いたさまざまなイベントが開催されています。毎週木・土曜には、寄付制の「ごはんの会」が実施されており、経済的・社会的状況に関係なく、さまざまな人がテーブルを囲んで一緒に食事をします。
ワークショップで作ったお雛様とお内裏様
私自身、ライプツィヒに引っ越してきてから、毎週木・土曜の夜は「日本の家」でごはんを食べるのが定番でした。そこで日本人やドイツ人をはじめ、さまざまな背景を持つ人たちと仲良くなり、一緒にビールを飲んだり、深夜までカラオケを楽しんだり。ドイツで暮らしていて、初めて「地元感」を味わうことができた場所です。しかし、子どもが生まれてからは夜に外出することが難しく、足が遠のいてしまっていました。
そんな私たちのような子連れ家庭が楽しみにしているのが、月に1回のペースで開催されているファミリーイベントです。この日は昼間から日本の家が開いていて、子ども向けの工作やワークショップなどのプログラムを用意してくれています。イベント内容は、節分やお花見、夏祭りなど、日本の四季に合わせたものが中心。日本にルーツを持つファミリーも多く集まるので、普段はドイツ語で生活している子どもたちにとっても(そしてもちろん大人にとっても!)、日本語でおしゃべりをする良い機会になっているようです。
机に工作道具とお菓子が並び、みんな夢中で作業をします
3月は雛祭りに合わせて、小さな雛人形を作りました。今回の講師は、ライプツィヒ在住のアーティストである金子紗織さん。まずは、和紙を折り畳んで、植物から作った色水を使って染めます。さまざまな色合いと模様で、きれいな折り染めができました。それを、たまごパックと小麦粉で作った小さなボールに貼っていき、最後に顔を描き入れます。小さな子たちは、途中から室内を走り回って遊んでいましたが、作業を引き継いだ親たちも夢中で作業していました。そうして色とりどりの個性豊かなお雛様とお内裏様ができて、子どもも大人も大喜びでした! ちなみにイベントの後には、いつも通り夕方から「ごはんの会」が開かれるので、そのまま残って晩ごはんを済ませるのもおすすめです。
日本の家では、4月にはお花見を計画中のほか、子どものための日本語コースの開講に向けて準備を進めているとのこと。これまでもさまざまな世代の人が楽しめる場所でしたが、子どもが生まれてみると、あらためて日本の家が自分の住んでいる地域にあって良かったなと思います。今後のファイミリーイベントの情報は、ぜひ日本の家のインスタグラム(@dasjapanischehaus)をチェックしてみてください!
三重県生まれ。ベルリン、デュッセルドルフを経て、現在はライプツィヒ在住。日本とドイツで芸術学・キュレーションを学び、アートスペースの運営や展覧会・ワークショップの制作などに従事。2019年からドイツニュースダイジェストの編集者。