ジャパンダイジェスト

満25歳になった文化の殿堂ガスタイク

ミュンヘン市内を流れるイザール川右岸の坂の上に位置するガスタイク(Gasteig=急な坂を意味するgacher Steigが語源)は市内最大の文化センターで、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地としても知られています。ぶどう畑型(舞台を中心に、段々畑のように客席が広がっています)のフィルハーモニー・ホールが有名ですが、ほかにもクラシック音楽やバレエなどに対応できるカール・オラフ・ホール、多目的ホールとして様々なイベントに利用されるスタジオシアターを備えています。

フィルハーモニーの定期公演はここの人気プログラムですが、3カ月に一度程度の割合で公開されるゲネプロ(Öffentliche Generalprobe=通し稽古)も狙い目です。9ユーロの入場料で本番と同じ演目を聴くことができるほか、本番では見られないラフな服装の音楽家や、指揮者が演奏について指示を出す姿などを鑑賞できるのも魅力です。ゲネプロのチケットは当日販売のみなので、良い席を取るためには早めに会場に行かれることをお勧めします。

ミュンヘン
フィルハーモニー・ホールへ通じる通路は
ギャラリーとして活用

また、ガスタイクは芸術大学や市民大学(VHS)と共同で様々なテーマのレッスンやセミナーを市民に提供しています。主に年2回、春(2月)と秋(9月)に開講するVHS では、スポーツや語学(外国人のためのドイツ語講座もあります)、音楽、料理など7000を超える講座がお手頃な料金で受講できます。人気の講座はすぐに定員に達してしまうようです。

さらに、ミュンヘン市立図書館も併設されており、20万部の蔵書を誇るほか、楽譜やCD などを含む国内最大の音楽コレクションを揃えています。利用者用のインフォメーション・センターがあり、机やソファなども備えられていて、腰を落ち着けて調べものや勉強をしたい人には最適な場所です。ほかにも、コンサートホールと図書館を結ぶギャラリー部分では彫刻や写真など新進芸術家の作品が展示され、無料で気軽に芸術鑑賞ができます。

さて、ガスタイクは2011年、創立25年という節目の年を迎え、年間約1800の催し物に加えて多くの記念プログラムが開催されました。1日平均6000人もの訪問者を数えるこの施設は今後、改築やコンサートホールの音響設備の近代化などにより、「文化の殿堂」としてさらなる充実を図っていく予定です。皆さんも、ガスタイクで開かれるコンサートやセミナーなどの催し物を訪れ、ドイツの多彩な文化に触れてみてはいかがでしょうか。

ミュンヘン
ガスタイクのフィルハーモニー・ホール

Gasteig
Rosenheimer Straße 5, 81667 München
www.gasteig.de

Y. Utsumi
2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。会社員を経て独立し、現在はフリーランスとして活動中。家族は夫と2匹の猫で、最近の趣味はヨガとゴルフ、フルート。
 
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