6月のある土曜日、友人を訪ねた帰りに、Universität駅を通りました。普段と違って学生の代わりに子ども連れの家族が目立つなと思ったら、この日はなんとシュトゥットガルト大学オープンキャンパスの日でした。大学施設の公開や学部の紹介など、いわゆる入学促進のイベントですが、日本の大学の一般的なオープンキャンパスと違って、ここシュトゥットガルト大学では入学希望者を相手にするだけではなく、4歳以上の子どもから老人まで、誰でも模擬授業や小さな科学実験に参加できるのです。
大学のキャンパスはまるで遊園地と化していました。大型クレーンはアトラクションになり、人々を一気に40メートルの高さまで運び、トラクターやショベルカーの試乗もあり、小型のセスナも1台横たわっていました。
遊びながらお勉強
キャンパスの中心には舞台があり、物理学科の先生がまるで手品師のようにショーを披露していました。パンパンに膨らんだ風船をドライアイスの容器に入れてみたり、思いっきり強い力で二つのグラスにかかっている棒を叩いてみせたり。舞台の下にいた子どもや親たちが瞬きもせずに舞台上をじっと見つめ、「オー」とか「アァー」とか驚いて感心しているのを見ていたら、彼らが物理学の世界にはまっていく様子が分かりました。
37のすべての学科は、競い合うように自分たちがもっとも誇れるものを展示していました。宇宙航空学科では“自家製”の衛星を展示し、環境保護学科では温暖化対策になる新しい発電システムの研究を発表、情報科学のコーナーでは光速を体験できるシミュレーション装置も。ほかには、学生たちが発明したさまざまな地球に優しい“装置”も登場しました。たとえば、バイオガスを使ったオルガン、浄水システム、りんご電池……。
バイオガスで鳴らす自作オルガン
光速シミュレーター
一番喜んでいたのが子どもたち。小さな化学実験をやってみたり、ショベルカーの操縦をしてみたり、30年前のコンピュータにも触ってみたり。科学をもっとも単純な形で子どもにも分かるように見せる一方で、最先端研究の中間発表を行う一石二鳥のプレゼンテーション。とても楽しい寄り道でした。
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