シュトゥットガルトから約40キロ東に位置するゲッピンゲンという街に、アール・ヌーヴォー様式の歴史的な建築「Villa Butz」があります。美しいステンドグラスの窓や木の温もりが感じられるこの場所では、世代を超えた交流を目的とした非営利団体「Haus derFamilie Göppingen e.V.」が、一年中多彩なコースやワークショップを開催しています。
足でうどんを踏む工程に、みんな大興奮!
私は2年前から、ここで開催される日本料理教室を担当しています。自宅から電車で約1時間半、何キロもの食材を抱えて通うのは決して楽ではありませんが、コースの開催を心待ちにしてくれる参加者の皆さんのおかげで、楽しく続けることができています。私が訪れる午後の時間帯には、ヨガや親子で参加できるコース、スペイン料理教室などが別のフロアで行われているため、小さな子どもを連れた親子の姿が見られ、にぎやかな話し声が絶えず聞こえてきます。
もちもち皮でマスカットを包んだ大福
先日、寒い冬の夜に13名のドイツ人と一緒に煮込みうどんを作りました。中力粉、塩、水という非常にシンプルな材料だけで本格的なうどんを作れることに、参加者たちは驚きながらも興味津々で取り組んでいました。うどんの生地を足で踏む工程では、「本当に踏んでいいの?」と戸惑いを見せる人も多くいましたが、ほかの参加者が楽しそうに踏む姿を見て、次第に靴を脱ぎ始め、最後には笑顔で踏んでくれていました。
コシを出した生地を力のある男性が根気強く伸ばし、それを丁寧に畳んで切って、湯がいた結果、見事なうどんが完成! それを季節の野菜やキノコの入ったお汁で煮込み、アツアツの一品が仕上がりました。デザートには、マスカットをあんこで包んだマスカット大福を準備しました。ドイツではあんこが甘すぎて苦手という人もいると聞いて少し不安もありましたが、あっという間になくなるほど大好評。日本の和菓子にも興味を寄せてくれたことを、とてもうれしく思いました。
みんなでおいしく「いただきます」
さて、このコースでは食事の前に「いただきます」を全員で唱えるのが習慣です。「食材の命、食材を育ててくれた人、運んでくれた人、売ってくれた人、料理してくれた人、食べ物の命や、誰かの命の時間に感謝してからいただきましょう」と、「いただきます」という言葉の意味を説明しています。これもまた、日本の食の文化伝達の一環だと私は思っています。今回の参加者の中には、誕生日プレゼントとしてこの料理教室への参加を贈られたという方もいて大変光栄でした。
この施設では、日々さまざまな教室を通して素晴らしい出会いがあります。お近くの方は、ぜひ一度足を運んでみてください。レトロな木造の階段を上ったところから見る青いステンドグラスの絵は大変素晴らしくて、一見の価値ありです!
Villa Butz:www.hdf-gp.de
おんせん県出身。ドイツ人の夫と二人の子どもと日独いいとこどりの暮らし。 昼間はリロケーションサポートのお仕事。趣味は夜な夜な糀作り。とある村の朝の風景をインスタグラムで発信中。
Instagram:@takako_miyabi_deutschland