歯科矯正ってなに!? 3(成人の矯正治療)
前回は成長期の子どもにおける歯科矯正治療の原理や装置についてお伝えしましましたが、今回は成人(永久歯列期)の矯正治療の話です。
特に日本では「子どもがやるもの」と思われてきた矯正治療ですが、インターネットが発達したこの20年間で治療に関する情報が浸透したこともあって、現在では矯正装置を付けている成人も多く見かけるようになりました。矯正治療は決して子どもだけが受ける治療ではなく、一生使い続けなければならない永久歯列の咬み合わせの成人だからこそ必要なことも多いのです。
成人の矯正治療相談で最も多い質問は、「何歳まで治療を受けることができるのか」というもの。年を取ると矯正治療は無理と思われるかもしれませんが、実は骨と歯茎さえしっかりしていれば、特に年齢制限はありません。現在では高齢者でも歯並びに対する関心や要求が高くなってきたこともあり、50~60代でも矯正を始める方も増えてきました。
矯正治療の器具は現在でも主流はブラケット装置と呼ばれるもので、小さなボタンのようなものを歯の表面に接着剤で固定し、それを足掛かりに歯列全体に弾力性のあるワイヤーを通します。ワイヤーは最初に「理想的な歯列の形」に曲げられており、その弾力によって歯を動かしたい方向に移動させます。昔はブラケットや接着剤、またワイヤーの種類も少なかったため、矯正治療は「見た目が悪い」と敬遠されてきましたが、近年では材料や技術の発達とともにそのバリエーションも増えてきました。
現在一般的に使用されている装置と、その利点・欠点は以下の通りです。
また、近年ではドイツで矯正治療を始める日本人も増えてきましたが、駐在など在独期間が限定されている方は注意が必要です。
一般的に矯正治療はブラケット装置が付いている期間が1年半~2年と、一般的な虫歯治療などに比べて治療期間が長くなります。ドイツで矯正治療を始めたものの、まだ治療期間中に日本に帰国することになった場合には日本の歯科医院に転院することになりますが、その時に問題になるのが「ブラケット装置の規格の違い」。
一口にブラケット装置といっても、世界で数多くのメーカーによって複数のブランドが製造・販売されており、その種類は数百ともいわれています。そのため、ドイツの歯科医院で使用されているものと同じ、または似ている製品で治療をしている歯科医院であればそれほど問題ありませんが、規格が全く異なっている場合にはすべての装置を外した上で、新たにブラケット装置を付け直さなければいけないこともあります。そうなると、さらに治療費がかさみ、最初の計画よりも治療期間が長くなってしまいます。
ドイツで矯正治療を始める場合には、残りの滞在期間を考慮することと、もし中途半端になりそうな時には無理をせず帰国してからの治療をおすすめします。
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