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矯正歯科クリニック 日本語通訳で安心!Dr Vali-Pursche
Di. 17. Okt. 2017

ドイツ歯科事情

ドイツの歯科治療の話になると、「すぐに歯を抜こうとするから行きたくない」「ドイツ人の大きな手で歯を治療されるのは嫌だ」「全身麻酔をすることもあるから怖い」と、事実かどうかは別として、ネガティブなイメージが先行しがちです。しかし、日独どちらも世界に誇る先進国。医療の基本は同じはずなのに、なぜこんなにも認識に差があるのでしょう。当コラムでは、実際の日本とドイツの歯科治療の違いや、国民性や社会的背景も踏まえてお伝えいたします。

歯科医師 宮川順充
1971年札幌生まれ。95年歯科医師資格、2003~07年オーストリア・ドナウ大学院大学の講師およびルドルフィナーハウス病院内歯科医院(ウィーン)勤務。08年歯科医療技術インスティテュート IDEA(カリフォルニア)顎機能矯正学部門講師。09~13年ランドハウス歯科医院勤務。14年より同院の経営パートナー。 www.landhausstrasse.com

歯型模型と石膏( せっこう )の歴史の話

かつては特殊な技術だった立体構造物のデジタル化や3Dプリンターも、近年では私達の生活に身近なものになってきました。この流れは歯科医療の現場においても例外ではなく、特にインプラント手術はこれらの技術が必要不可欠です。また、この10年でクラウンやインレーなどセラミック製の被せ物(補綴物(ほてつぶつ))にも3D技術が利用されるようになってきました。

一般的な補綴物の作製は歯型から歯型模型を作り、その模型上で歯科技工士が手作業で作ります。一方、近年のデジタル化された手法では歯型を取る代わりに3Dスキャナーで歯の立体構造を読み取り、そのデータをもとにセラミックのブロックから補綴物を削り出して作製します。この方法では作業行程が大きく省けるため、時間とコストが大幅に削減、またそれに伴い治療費も抑えることができます。

下顎前突症

まさに良いことずくめと思われる最新歯科技術ですが、審美性が求められる複雑な色調や形態については、現状では匠の技術を持った歯科技工士の仕上がりにはまだ遠く及びません。そのため、機械で作られた補綴物も歯科技工士の手による仕上げ作業が必要で、完全な機械化による補綴物を優秀な歯科技工士と同レベルまで向上させるには、少なくともさらに15年以上かかると言われています。

さて、まだ手作業が重要な歯科技工において補綴物を作るために最も基礎となる物、それは石膏の歯型模型です。模型の材料となる石膏は意外と身近に多く存在しており、例えば建築材料の石膏ボードや骨折部分を固定するギプス、畑の土壌改良剤、食品添加物や漢方薬の中にも石膏を含むものがあったりと、私達の日常生活に欠かせない素材の一つです。

石膏利用の歴史は大変古く、約7000年前の古代中国時代にはすでに石材接合部の調整材として石膏モルタルが使われており、また古代エジプトではピラミッドの建設にも石膏が重要な役割を果たしていました。中世頃からは、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロに代表される芸術家の彫刻素材としても重宝されています。日本における石膏の歴史は江戸時代からと比較的新しく、その当時は建築などの用途ではなく、主に薬剤として医療の分野で利用されていました。

下顎前突症

歯科医療分野で石膏が用いられたのは200年ほど前で、その当時は主に取り外し式の義歯(入れ歯)を作るために利用されていました。しかし昔の石膏は硬化する時に発生する膨張率が大きく緻密性も低かったため、精密な歯科技工物作製に用いるには満足できる品質ではありませんでした。そのため、手作業である程度調整が可能な単純な義歯はまだ良いのですが、構造的に厳密性を求められるクラウンには利用が困難でした。しかし、50年ほど前から「硬くて変形が少ない石膏」の開発が進み、精密な歯科技工物を作るための条件に見合った石膏が市場に出回るようになります。そして、その中でも世界で最も信用性が高いのが日本製品なのです。私の勤務する歯科診療所でも日本製の石膏を使っていますが、日本の技術が世界の高い歯科技工技術を支えているというのは素晴らしいことです。

 
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