第12回 広告ブロックとトラッキング
ウェブサイト上の広告は迷惑なだけではなく、マルウェアやウイルスなどを含んでいる場合がある。中にはクリックをしなくても表示されるだけで、ウイルスに感染させられるものがあるので、より危険性が高い。
しかし、広告ブロック(例:「Adblock Plus」※ https://adblockplus.org)を利用すれば、ウェブ上の広告をほとんどブロックすることができるので、マルウェア感染のリスクが低くなる。そのほかのメリットとしては、ページ表示速度の高速化や画面がすっきりする分の見やすさなどが挙げられるだろう。また、スマホ上でウェブサイトを見ることが多く、通信量制限や通信料金が気になる人にとっても、劇的に通信量が抑えることが可能だ。
多くのウェブサイトは「トラッカー」を使い、ユーザーのオンライン行動を追跡し、ほかのウェブサイトを閲覧しても、同じ広告が表示されるような仕組みになっている。
例えば、eBay で自転車を検索したとする。その後、どのウェブサイトに行っても毎回、自転車の広告がなぜか表示される……そのような現象に心当たりはないだろうか? それは、あなたのパソコンがトラッキングされているからだ。
このようなトラッキングを拒否するには、通常「Do Not Track」(例:「Ghostery」※www.ghostery.com) と呼ばれる、ブラウザ拡張機能を有効にすることをおすすめする。
マルウェア対策として、事前に広告ブロックを行なうと、より安全にウェブサイトが利用できる
朗報は、今年の5月25日から新しい欧州の一般データ保護規則(詳細は本誌1060号と1062号を参照)が施行されることだ。この規則では、使用者の同意無しでの追跡は違法となるため、企業はユーザートラッキングや分析、クッキーに関しての方針を再考する必要がある。
コンテンツ制作者やサイト運営者は、より多くの閲覧者が広告をブロックするに連れて、広告収入がどんどん失なわれる事になる。
近年、ドイツおよびその他各国のメディアの中には広告ブロック使用を検出するメカニズムを作り、ユーザーに対して、自社サイトをホワイトリストに加えるよう依頼するメッセージを送る会社もある。しかしこれは効果がない上、最新世代の広告ブロックは、これらのメカニズムを回避することが可能となっているのが現実だ。従って、企業はプライバシーを重視し、データの使い道について、ユーザーが信頼できるようなウェブサイトを構築しなければならない。