特集


ロンドン五輪 近代五種競技代表候補 レナ・シェーネボル選手インタビュー

ロンドン五輪代表候補にインタビュー

レナ・シェーネボル近代五種競技・ドイツ代表候補  レナ・シェーネボルン

Lena Schöneborn
1986年4月11日生まれ、ノルトライン=ヴェストファーレン州トロイスドルフ出身。幼少時から体操、陸上、テニス、水泳など様々なスポーツに挑戦し、14歳のときに近代五種競技 を始める。2008年北京五輪で優勝を果たし、同年、各界の活躍者に贈られるゴルデネ・ヘネ賞の「出世者賞」を受賞。10年欧州選手権2位、11年欧州選手権優勝。現在、世界ランキング1位。所属クラブはSSFボン05。ベルリン経済・法科大学でインターナショナル・マーケティング・マネージメントの修士課程に在籍中。好物はコーヒー。北京五輪前2週間はコーヒーを絶ち、競技当日の朝に飲んで 気合いを入れたというエピソードも。 www.lena-schoeneborn.com

「近代五種競技」というのは、文字通り5種目をこなすスポーツです。競技を始めたとき、「これはちょっと負荷が大きいかも」というような思いはありませんでしたか。

それは考えなかったですね。むしろ、「こんなに多くの種目を一度にできるなんてクール!」という思いでした。私は10歳の頃から地元のスポーツ・クラブで水泳を習っていたのですが、そのときのコーチが近代五種のトレーナーでもあったのです。そこで「ちょっと試してみるか」という話になり、ランニングや射撃、フェンシングと徐々に競技の幅を広げていきました。どれもすごく楽しくて。水泳を重点的に続けてはいたものの、1つの競技を徹底してやるという才能は自分にはないのかもしれないと思い始めていた時期だったので、近代五種をやろうと決意しました。

5種目の中で得意、不得意はありますか。

得意な種目はフェンシングです。習い始めた当初から左手を使い、しかも多くの選手のように柄の部分がピストル状になったベルギアンやヴィスコンチなどではなく、棒状のフレンチ剣を使用していますが、これだと剣 の後方を持ち、相手より素早く突くことができるのです。逆に言えば、グリップの安定感に欠け、ディフェンス面では劣るという弱点はあるのですが。いずれにせよ、この方法で相手より先に得点する技を学んできました。

不得意な種目は特にありません。5種目すべてにおいてバランスが取れているということが、私の長所だと思っています。得意なフェンシングを除き、ほかの種目では首位に立ったこともなければ、下位についたこともありません。

競技馬の抽選後に味わう
むずがゆいような緊張感が好きです

乗馬では、競技馬は大会当日に割り当てられるそうですね。

そう。どんな馬に当たるか分からないからこそ、抽選から実際に馬の背中にまたがるまでの間に味わう、むずがゆいような緊張感が好きです。そして、乗った瞬間に静かなタイプか、それともあまり落ち着きのないタイプかなど、馬の特徴を見極めなければいけないのですが、障害を越える過程で馬の性格が変わることがあります。また、すべての馬が一様に私の命令に従ってくれるわけでもなく、馬との意思疎通が図れないこともあるので、馬のスタイルを瞬時に把握し、適応することが重要になってきます。

2009年に射撃とランニングが複合形式となり、10年には射撃がエアピストルからレーザーへ変更されるなど、ルール改定が盛んな競技ですが、そうした動きに順応するのは大変ですか。

射撃とランニングが複合形式で行われることが決まったときは、「なんて意地悪な……」と思いました。やっと競技への取り組み方を見付けたと思っていたところだったので。あっという間に新ルールが導入され、気持ちも技術も追い付かず、ここで競技生活を辞めようかとも考えました。でも、やはりこのスポーツが大好きだし、それまでに多くの時間と労力を費やしてきた競技なので、気持ちを切り替え、「新たな挑戦」と捉えることにしました。そんな折に、今度は射撃の様式変更。それを聞かされたのが、昨年のワールドカップ開催の3週間前ですよ! 大会前は通常、熟知したルールをいかに上手く利用し、記録を出すかを考えながら練習するので、そのときはかなり不満を覚えましたね。私の場合、それまでランニングを終えて射撃の姿勢に入るまでに2回深呼吸する時間があったのですが、エアからレーザーになったことでその時間が持てなくなり、呼吸困難になるかと思いました。そのくらい大きな違いです。

今ようやくオフシーズンに入り、練習に集中できる時期なので、新方式に慣れるために色々試しています。

2008年、五輪初出場にして見事金メダルを獲得されました。

北京五輪で金メダル
2008年8月、北京五輪の競技後、表彰台にて。左は2位のヘザー・フェル(英国)、右は3位のヴィクトリア・テレシュク(ウクライナ)

北京五輪には、出場することに意義があると思って参加しました。特に印象的だったのが開幕式。ドイツ選手団が、大観衆が迎えるスタジアムへと行進していく中、気分が高揚して、とにかく感激しました。そんなに大きなイベントとは想像していなかったものですから。その感動が大き過ぎて、自分の競技自体はあまり重要ではないと思ったくらい(笑)。でも、最終種目のランニングを1位でスタートしたとき、「これはいける」と思いました。それまでトップでスタートした経験がなかったので。優勝を実感したのは、結果が出て表彰台に立ち、ドイツ国歌を聴き、家族や友人、大勢の報道陣に囲まれたときです。あんなに注目されたのは、スポーツ人生の中で初めてでした。

ロンドン五輪でも、目指すのはやはり「金」ですか。

「優勝したい」と、簡単には言えません。トレーニングで積み重ねてきたことを、最大限発揮するのみです。すべての種目で自己ベストを出して4位になったとしても、悔いはないと思います。経験上、全種目でベストを尽くせば、自ずとそれなりの結果が付いてくることは分かっています。

周囲からのプレッシャーも感じますが、それにとらわれ過ぎないようにしています。「結果を出さなきゃ」などと考えていると、国の代表として出場する栄誉も、重荷になってしまいますから。個々の種目に集中さえできれば、失敗することはないと信じています。

最小のエネルギーで
最大の効果を出すための計算は、一種の芸術

普段、どんなトレーニングをしていますか。

基礎体力を付けるため、ジョギングを週6回、水泳を週5回行っています。あとは、五輪に向け、現在は乗馬と射撃に注力しています。2月には、米コロラド・スプリングスで集中合宿を行う予定です。

何が最適な技術なのかを自分で把握しているので、トレーニングはその技術を身に付け、理想の状態に近付くための手段と捉えています。どこで何を改善できるのか、何が可能なのか、どんな練習が有益なのかを突き詰めるのです。例えば、水泳の記録を1秒縮めるために今より4時間長く泳ぐこともできますが、本当にそこに意味があるのかを考えます。だったら、その時間を射撃の練習に費やした方がより効果的なのではないかと。どの種目において最小のエネルギーで最大の効果を出せるか、そこを上手く計算する。それは一種の芸術のようなものです。

近代五種の知名度は高いとは言えず、競技人口も多くありません。この状況が変わる余地はあると思いますか。

世界選手権・射撃
2009年8月、ロンドンで行われた世界選手権、射撃に挑む瞬間。同大会では3位に輝いた

近代五種の競技人口がほかのスポーツに比べて少ないのは事実です。原因の1つは、膨大な時間とコストが掛かるという点にあると思います。ドイツ代表に選ばれて初めて、用具やトレーニング、大会遠征費が支給されるという状況です。また、各種目を週1回練習したとしても、それだけで5日掛かってしまうので、特にやりたいことがたくさんある若い世代には不人気なのかもしれません。私は両親の理解と支援のおかげで続けてこられましたが、「そこまでこのスポーツに肩入れできるか?」と考えるのは無理のないことだと思います。

ただ、私が北京五輪で優勝した後、ドイツでは近代五種をやりたいと地元のクラブに申し出る小さな子どもたちが増えたようです。特に女の子が多かったとか。この人気を維持し、後継者を育てるためには、五輪種目であり続けることが大事だと思います。五輪種目であるか否かは、そのスポーツの人気を左右しますから。そして、学業と両立できる支援体制が整えば、近代五種の未来はきっと明るいでしょう。

現在、大学の修士課程でマーケティングを専攻されています。将来の目標は。

「スポーツをやっていたら、いつけがをするか分からない。そうなったとき、ほかに選択肢がなかったら?」。両親が常に私にそう言い、勉強するよう鼓舞してくれました。だから、大学進学は当然の成り行きだったのです。マーケティングを専攻したのは、単に興味があったから。英語を使って何か国際的な学問を学びたいと考えて決めました。今の大学は、自分のトレーニング・プランに合わせて授業や試験のスケジュールを立てられるのがメリットです。

将来のことは……これまでオリンピック開催周期に合わせて計画を立ててきたので、今のところはロンドン五輪以降のことは考えていません。でも、もし将来、近代五種がテレビ中継されるようになったら、私はキャスターとして解説しているかもしれませんね(笑)。

競技解説
5種目/馬術フェンシング、水泳、馬術、バイアスロン形式の射撃とランニングを合わせた計5種目の複合競技。フェンシングは1分1本勝負の総当たり戦。水泳は200メートル自由形。馬術では15の障害を越え、ランニング & 射撃は、馬術の時点で最も記録が良かった選手からスタートするハンディキャップ制。19世紀、ナポレオン統治時代のフランスで、急使が馬を操り敵陣に乗り込んだものの、敵軍に突き落とされて剣とピストルで戦うことを余儀なくされ、川を泳いで渡り、最後は走って自陣にたどり着いたという故事が競技の由縁とされる。


最終更新 Dienstag, 06 August 2019 16:43
 

英国各地のクリスマス・マーケット

英国各地のクリスマス・マーケット
クリスマス・マーケット地図寒く、暗く、どんよりした日々が続くのは、
ドイツのみならず英国の冬も同じこと。
フランクフルトから飛行機でたったの1時間半で
アクセスできるロンドンほか、英国各都市では、
本場ドイツに追い付け追い越せと、ロマンティックな
クリスマスマーケットが次々にオープン。
今回は、英国ニュースダイジェストがオススメする
クリスマスマーケット厳選10カ所をご紹介。

エディンバラ 本場のクリスマスの味わい
Traditional German Christmas Market

エディンバラクリスマスマーケットの本場であるドイツ西部フランクフルトに拠点を置く業者たちが開く市。「英国では滅多にお目にかかれないボリュームたっぷりのソーセージに、ドイツ産ビールやグリューワインを合わせるというのが風流な楽しみ」と言う。

12月24日(土)まで
10:00-20:00(木〜土は -22:00)
Mound Precinct, Edinburgh
www.edinburghschristmas.com
ロンドンから電車で約4時間半

ヨーク石畳の街が醸し出す中世の賑わい
York’s Festive Fayre

ヨーククリスマスマーケットを街の名物とするイングランド中部の街、ヨーク。最大規模の聖ニコラス祭に続いて開かれるマーケットがこれ。石畳の敷かれた狭い小道が入り組むこの街には、クリスマスマーケットの雰囲気がよく似合う。

12月18日(日)まで
9:30-19:30
Parliament Street, York
www.visityork.org/inspire/christmas
ロンドンから電車で約2時間

マンチェスター街全体がクリスマス・マーケットに
Manchester's Christmas Markets

マンチェスタードイツ、フランスさらにはそのほかの世界各地の名産品を集めたマーケットが、市内8カ所で開催されるという、まさにクリスマスマーケットづくしの催し。工業都市マンチェスターに温かみを添える、木組みの小屋が街に彩りを与えている。

12月21日(水)まで
時間の詳細は下記ウェブサイトを参照
市内各所
http://christmas.visitmanchester.com
ロンドンから電車で約2時間半

バーミンガム200近くの店舗がひしめく
Frankfurt Christmas Market & Craft Fair

バーミンガム長さ約1キロの距離に193店舗がひしめくという大規模なクリスマスマーケット。さらにその奥には、地元の職人たちが精魂込めて作り上げたという手工芸品を集めた市場が隣接している。木〜日はバンドによる生演奏も行われる。

12月23日(金)まで
10:00-21:00
Victoria Square & New Street, Birmingham
http://christmasinbirmingham.com/christmas-in-birmingham
ロンドンから電車で約2時間

カーディフ子供たちが喜ぶアトラクションあり
Cardiff Christmas Market

カーディフ1世紀半ばから建設されたというカーディフ城前ほか、市内中心部の数カ所で開かれるマーケット。また市庁舎前にアイススケート場や子どもたちが大好きな乗り物が用意された遊園地施設「ウィンターランド」は、2012年1月2日まで開催。

12月23日(金)まで
10:00-18:00(日は -17:00)
The Town Centre, Cardiff
www.cardiffchristmasmarket.com
ロンドンから電車で約2時間

バース身体の内と外から温まる
Bath Christmas Market

バース英語の「お風呂」の語源となったと言われるローマ浴場跡を持つバース。時間が許せば1泊して、マーケット巡りに加えて、同地のもう1つの観光名所であるスパ施設でもゆったりすれば、文字通り身体の芯から温まることができるはず。

12月11日(日)まで
時間の詳細は下記ウェブサイトを参照
The Town Centre, Bath
www.bathchristmasmarket.co.uk
ロンドンから電車で約1時間半

オックスフォード聖歌隊が街にやってくる
Oxford Christmas Market

オックスフォード街の中心に立つオックスフォード城の前で開催される。英国を代表する聖歌隊を持つオックスフォード大学を内包するこの街は、クリスマスとなると独特の静謐さを醸し出すようになる。クリスマスマーケットでは、地元の聖歌隊が合唱を披露。

12月18日(日)まで
10:00-20:00(日〜水は -18:00)
Oxford Castle, Oxford
www.oxfordchristmasmarket.co.uk
ロンドンから電車で約1時間

ロンドンロンドン随一の冬の催し
Hyde Park Winter Wonderland

ハイドパークご存知ハイド・パークが、巨大な冬のエンターテイメント施設に様変わりする。園内に観覧車やアイススケート・リンクが出現。休憩所で、生演奏に合わせてワイン片手に踊る来場者たちの姿を目にすれば、幸せな気持ちになること請け合い。

2012年1月3日(火)まで
10:00-22:00
Hyde Park, London
www.hydeparkwinterwonderland.com

ウィンチェスター大聖堂の明かりに照らされながら
Winchester Christmas Market

ウィンチェスター歴史的建造物に囲まれた街、ウィンチェスター。この街のランドマークとなっているウィンチェスター大聖堂の前で、今年も毎年恒例のクリスマスマーケットが開かれる。ライトアップされた大聖堂前の広場の雰囲気は格別。

12月21日(水)まで
10:00-18:00(木〜土は -19:30)
Winchester Cathedral, Winchester
http://winchester-cathedral.org.uk/christmas
ロンドンから電車で約1時間

ボーンマスドイツ山間部のクリスマスを再現
Bournemouth Christmas Market

ボーンマス木組みの山小屋に、雪景色をイメージした飾り付け。ドイツ山間部のクリスマスを再現した風景の中に、炭火で焼いたソーセージ、巨大なステーキからナッツまで本格的な食の屋台が並ぶ。また、教会の音楽隊も演奏で冬の夜を盛り上げる。

2012年1月3日(火)まで
10:00-18:00(日は -16:00)
※12月12日〜24日
10:00-20:00(日は -16:00)
The Town Centre, Bournemouth
www.bournemouthchristmasmarkets.com
ロンドンから電車で約2時間

クリスマスマーケットのある街へひとっ飛び
ドイツの主要都市から直行便が飛ぶ街
フランクフルト国際空港
www.frankfurt-airport.com
ロンドン(シティ、ヒースロー、ガトウィックの各空港)
バーミンガム国際空港
マンチェスター国際空港
エディンバラ空港
ミュンヘン国際空港
www.munich-airport.de
ロンドン(シティ、ガトウィック、ヒースロー、スタンステッドの各空港)
マンチェスター国際空港
バーミンガム国際空港
エディンバラ空港
デュッセルドルフ国際空港
www.duesseldorf-international.de
ロンドン(ヒースロー、スタンステッド、ガトウィックの各空港)
バーミンガム国際空港
マンチェスター国際空港
ハンブルク国際空港
www.airport.de
ロンドン(ヒースロー、ガトウィック、ルートンの各空港)
バーミンガム国際空港
マンチェスター国際空港
ベルリン・テーゲル空港、シェーネフェルト空港
www.berlin-airport.de
ロンドン(ヒースロー、ガトウィック、ルートンの各空港)
マンチェスター国際空港
※12月25日は、電車や地下鉄、バスなど、英国内のほぼすべての交通機関が運休となるのでご注意ください。
また、12月26、27日は祝日です。
最終更新 Freitag, 09 August 2019 15:58
 

葉加瀬太郎インタビュー

葉加瀬太郎インタビュー

「情熱大陸」──その言葉を聞いた瞬間に、頭の中に響く旋律がある。やさしく軽快、かつ力強い音色は、聴き手の心にすとんと落ち、住み着いてしまう。テレビでお馴染みのその音の持ち主は、言わずと知れたスター・ヴァイオリニスト葉加瀬太郎。彼の音楽を聴き、個性的なアフロヘアを揺らしながら、躍動感みなぎる音を奏でる姿を連想する人は多いはず。日本でヴァイオリンの音をお茶の間に浸透させ、演奏家、作曲家、エンターテイナーとして不動の地位を築いてきた彼が12月、ドイツ初公演を開く。クラシックの本場に降り立つに当たり、活動の軸である音楽への想いと現在の心境をうかがった。(編集部:林 康子)

はかせ たろう
1968年1月23日、大阪府生まれ。90年、東京藝術大学在籍中にバンド『KRYZLER&KOMPANY』を結成し、ヴァイオリニストとしてデビュー。96年、同バンド解散後、セリーヌ・ディオンのワールドツアーに参加し、世界的に名を知られるようになる。2002年、自身が音楽総監督を務めるレーベル「HATS」を設立。以後、プロデューサーとして活躍、数多くのテレビやラジオ番組に出演する傍ら、画家としての顔も持つ。07年より英国を拠点に活動中。代表作に、毎日放送(MBS)のドキュメンタリー番組『情熱大陸』のテーマ曲「情熱大陸」「Etupirka」やゲーム『ファイナルファンタジーXII』の交響詩「希望」、NHKの連続テレビ小説『てっぱん』のテーマ曲「ひまわり」など。

大好きな街に住んでいるという充実感は大きい

1996年から3年間、カナダが誇る歌姫セリーヌ・ディオンのツアーに参加し、世界をめぐる中で、ヴァイオリニスト葉加瀬太郎がいたく気に入った街、それがロンドンだ。そして2007年、恋焦がれ続けた地に居を構えた。それから5年。異国での生活のリズムは、掴めてきたのだろうか。

僕は、ロンドンという街のすべてが気に入っています。時間の流れ、気候、そして街を成す一番の要素である建物。レンガ造りで、白い窓枠があって、周りには緑がたくさんあって。写真でも、テレビの映像でも、ぱっと見て一番好きだと思うのは、やはりイギリスの街ですね。

ロンドンの自宅前で
ロンドンの自宅前で

そんな自分の好きな街に住んでいるという充実感は大きいです。随分前から、いつかロンドンに住みたいと思い続けてきて、それを実現できたわけだし、この街で家族との時間も持てるようになったので。日本での仕事量が減ったわけではありませんが、ロンドンで生活している時間と、日本でツアーを中心に仕事をしている時間のメリハリが付いたというか、オンとオフがはっきりしてきたことが、自分にとって一番大きな変化です。もちろん、ロンドンでも公演を行っているので、そのための準備や作曲の時間は必要ですが、(日本にいたときのように)毎日外に出て人に揉まれて・・・・・・ということがない。音楽家としての個人的な時間を取れるようになりました。

好きな場所で大切な家族と暮らすことの充足感、それは葉加瀬氏自身の演奏スタイルにも少なからず影響を与えている。

ロンドンで最初に公演をした際は当地の日本人の観客が多かったのですが、今では日本人とそれ以外の現地の観客の割合が半々くらいになってきました。観客にはリピーターが多く、(何度も足を運んでくれる)その気持ちがとても嬉しいですね。また、ロンドンでは日本で何十年も行っていなかったクラシカルなスタイル、つまりアコースティックな音で演奏しています。それは自分にとって新たな挑戦だし、ロンドンの観客にとっても、日本でポピュラーな音楽を手掛けている僕がロンドンでクラシカルな演奏をしている姿を見るのは初めての体験だったと思います。その意味で、自分とお客さんがお互いに育ってきたというか、僕のコンサートのスタイルが出来上がりつつある気がしています。

ロンドンでの生活が、葉加瀬氏に精神的な豊かさをもたらしていることは間違いない。とはいえ、英国と日本を行き来しながら年間100公演にもおよぶ超過密スケジュールをこなすのは、まさに神業。想像を絶するほどの体力、精神力を奮い立たせているのは、音楽への"情熱"以外の何物でもない。

(ロンドンに)住みたいという気持ちは抑えられないですから、大変なのは仕方ないですね。日本での仕事を少し減らしていければという気持ちがある一方で、ずっと公演活動を続けているので、ハードではあるけれど、やっている間はそれを頑張る、ということでしょうか。

また、家族はもちろん、スタッフも僕を支えてくれています。あとは、音楽をどこででもやりたい、という気持ちだけですね。デビューして20年が過ぎましたが、一度も公演をキャンセルしたことがないというのが僕の自慢だし、休めばそこで終わりだとも思っています。とにかく僕の音楽を欲し、求めてくれる人がいれば出向いていくというのが僕の使命ですから。そのことと、プライベートで過ごしたい場所が違うというだけの話です。

r葉加瀬太郎さん、ロンドンにて

ノンストップで走り続けるヴァイオリン弾き。今度のドイツ公演は、葉加瀬氏のロンドン公演を訪れた主催者のBerenberg Bankや会場となるオペラハウスの担当者から熱烈なラブコールを受けたことがきっかけだった。その依頼を快諾し、何ができるかと考え、主催者と共に温めてきた企画。それを披露する日を間近に控え、いくらか興奮気味に「今回の公演をとても楽しみにしている」と語る。

日本ではポピュラーな音楽で仕事をしていますが、何しろ僕の最も好きな音楽は公言しているようにブラームスです。恐らく僕がこれまで最も長く聴いてきた音楽がヨーロッパのクラシックで、中でもドイツ・ロマン派のブラームスやシューマンをこよなく愛しています。ヨーロッパのクラシック音楽には300年余りの歴史がありますが、僕はベートーヴェン以前、ドビュッシー以降の音楽にはそれほど興味がありません。心底好きなのが19世紀後半の音楽で、ブラームスの音楽をずっと追いかけてきました。今回の開催地は、その音楽が生まれたドイツ、しかもデュッセルドルフはシューマンとも縁の深い街なので、とても興味があり、自分にとって新たな挑戦になると思います。

会場が由緒あるオペラハウスであるということも、楽しみですね。アコースティックな音でコンサートをする場合は、ホールも楽器の1つになるので。素晴らしい会場で演奏できることは大変栄誉なことです。また、すでにドイツ各紙にも今回の公演を取り上げていただいていており、そうした皆様のご協力に感謝するとともに、その期待に精一杯応えたいと思っています。

ヴァイオリン音楽の"今"を創りたい

葉加瀬氏の言う「挑戦」とは? 日本で、「ヴァイオリンでポピュラーな音を作る」ことを音楽活動の原点としてきた彼は、クラシック音楽が深く根付き、聴衆の耳も肥えているドイツで、どんなチャレンジを目論んでいるのだろうか。

カドガンホールでのコンサート
カドガンホールでのコンサート

何を成し遂げたいかと言えば、僕の場合はいつでもどこでも同じだけれど、ヴァイオリン音楽の、何か新しいページを創ってみたいですね。ヴァイオリンの"今"を創り出せれば、と思っています。

ヴァイオリン音楽は19世紀に一度大きな花を咲かせました。しかし20世紀以降、ジャズやロックでも使われてはいるものの、もはやメインの楽器ではありません。そのように大きな音楽の歴史の流れの中で、ヴァイオリンという楽器が今、どのようなものを創り出せるかを探るというか。僕は19世紀のロマン派に影響を受けているので、それを踏まえつつ、今の自分のヴァイオリン音楽を創りたいと思っています。だから今回の公演では、クラシックに慣れ親しんでいるドイツの方々に新しいヴァイオリン音楽を聴かせたいですね。基本的にはいつも通りの演奏を心掛けますが、日本で行っているようなエンターテインメント色の濃いコンサートとは違う、クラシック音楽のスタイルで僕ができるすべてのことをやろうと思います。

プログラムは、挨拶代わりにシューマンの曲を弾くほかは、ほとんどが自作の曲です。前半はブラームスに影響を受けて作ったピアノ三重奏曲をメインに、後半ではイギリス室内楽管弦楽団のメンバーと一緒に僕の自作の曲と、ヴァイオリンに親しみを持っていただけるような曲をチョイスしています。

今回共演するのは、自身が敬愛して止まないイギリス室内管弦楽団のメンバーと、パートナーを組むポーランド人ピアニストのマチェック・ヤナス氏。彼らには、絶大な信頼を寄せている。

ピアニストのヤナス君とは、出会って6年程経ちます。もともとは僕がポーランドに出向いたときに彼のピアノを聴いて、その音色が気に入り、"ひと耳惚れ"をして「日本、ロンドンでの活動を一緒にしてくれないか」とお願いしたのがきっかけです。彼がまだ22、23歳の頃だったのですが、「君の10年を僕にくれ」と言ってね。それ以来ずっと一緒に活動しています。

イギリス室内管弦楽団については、もう小学生の頃から憧れ続けているアンサンブルで、数々のレコードを聴いて、ずっといつの日か共演したいと思っていました。ただ、誰とでもすぐに共演してくれるような楽団ではないので、ロンドンで何度も僕のコンサートを聴いてもらい、話をさせていただいて、かなり頑張って交渉した末に共演できることになりました。それから3年来、年に一度共演しています。

彼らは世界一高性能な職人集団で、あんな一糸乱れぬアンサンブルは聴いたことがない。ほかにはまずない音なので、共演はもう、言葉にできないほどすごい体験です。

ドイツ初公演の開催地となるデュッセルドルフ。欧州内でも特に日本人が集中するこの地で演奏することは、日本人同士のつながりを大切にしたいという彼の想いとも重なり合う。

デュッセルドルフは、日本人にとっては大きな意味を持つ街ですよね。僕はロンドンに住んで5年になりますが、やはり海外で暮らす日本人として、日本人同士のコミュニケーションはとても大切だと思っています。東北で大地震・津波が起きた3月11日、僕はロンドンにいたのですが、日本人同士が手をつないで、日本のために何ができるかと考え行動しているのを見て、僕も考えさせられました。日本人同士は一緒になっていかなければいけないと。今回の公演でも、デュッセルドルフにいる日本人の皆さんに純粋に会いに行きたいという気持ちでいますし、多くの日本人の皆様に楽しんでいただきたいです。

できることを、できるだけ

日本人同士のつながりを葉加瀬氏に強く意識させた出来事、東日本大震災。その気持ちは、海外にいる日本人として、いち早くチャリティー・コンサートの開催に乗り出した行動力に、克明に表れている。地震発生から8カ月が経った今も、被災地の支援を続けたいという意志は変わらない。

3月11日の3日後に、ロンドン三越でコンサートを行いました。直後の2日間は自分でも何をして良いか分からなかったんです。そして3日後、今自分にできることは、ヴァイオリンを弾いて募金を集め、日本に届けることしかないと考えました。正直、自分の使命なんて考える暇もなく、ただ何かに突き動かされたように行動していましたね。でも、誰もが何かをしなければいけないという気持ちだったと思います。たまたま僕が周りの人たちに声を掛けたら、すぐに動いてくれたというだけで、自分1人の力で実現したわけではありません。あの時ばかりは、人のつながりというか、一団となる力を肌で感じました。とても速い動きの中で多くのお金を集められたというだけでなく、皆がすぐに行動し、それぞれできることをした、奇跡のような1週間でした。

日本人として、やれることを皆がやるべきだと思います。今、僕もツアーをしていますが、その中でずっとチャリティー活動も行っています。東北の被災地以外の場所にいると、皆どんどん普通の生活を取り戻しているので忘れがちですが、まだまだ日本は大変な時期なので。よその街ではなく、自分たちの国のことですから、やれることをやらなければいけない。無理をして自分がパンクしたら元も子もないですが、「できることを、できるだけ」というスローガンでやっています、僕は。

葉加瀬太郎さん、チャリティコンサート
ロンドンのセント・パンクラス駅で行ったチャリティー・コンサート(左写真)

その「できること」とは、音楽活動にとどまらず、絵画制作やテレビ番組の司会、ゲスト出演、ラジオのパーソナリティーなど多岐にわたる。音楽が活動の幅を広げ、そこで得られたものが、また音楽に集約する。程よいバランスが保たれているようだ。

絵画制作は、芸術活動として自分の中で大きな割合を占めています。主たる活動は楽曲制作や公演ではありますが、どうやっても飽きることがありますからね。そんな時に絵を描くと、とてもリフレッシュできます。僕にとって絵と音楽は、行ったり来たりしているものです。絵も音楽も、同じ心の中から発せられている。ただ、あまりにも作業工程が違うので、それが逆にリフレッシュという意味ではとても良いのです。絵と音楽が互いにインスピレーションを与えあっているのかもしれません。その自覚はありませんが。

テレビなどへの出演は自分が作った音、描いた絵を皆さんに届けるための作業、より多くのお客さんに届けるための手段と捉えています。コンサートに出掛けるための宣伝活動、というような意識です。

長期的な目標は持たない。
でも、ブラームスのソナタだけは続けたい

コンサートでは凝った演出で聴衆を沸かせ、テレビに出演しては明るいキャラクターとキレのあるトークで視聴者に好印象を与える一方、弦と弓から紡がれる音で聴き手の心を満たすヴァイオリニスト。マルチな才能を惜しみなく発揮する彼に音楽家としての理想像を訪ねると、「ない」との答えが。

葉加瀬太郎さん ピカデリーサーカス

長期的な目標は持たないことにしているんです。人生、"ローリング・ストーンズ"ですから(笑)。1年1年をしっかり生きる、その時やりたいことだけを考えています。だから、1年先までは見通していても、10年、20年先まではイメージしないことにしています。ただ、ブラームスの音楽だけは、自分にとって大切な世界なので、続けていきます。これは、日本でのビジネス的なコンサート活動とは全くリンクしていません。

30代までは、ブラームスのソナタを弾かなくても良いと思っていました。数々の素晴らしいヴァイオリニストが多くの名盤を遺しているし、専門家もたくさんいるのでね。だから僕が弾かなくても良いと思って生きてきたんです。でも、40歳を迎える頃に自分とブラームスの関係を意識し始め、取り組むようになりました。始めてまだ5、6年ですが、60歳くらいまでには自分のものにしたいと思っていて、そのときにはレコーディングをしたいなという気持ちもあります。彼が遺した3つのヴァイオリンソナタは、僕にとっては聖書のような音楽なので、一生付き合っていきたいです。

葉加瀬氏にとって、4歳の頃、物心ついたときには始めていたというヴァイオリンは、単なる商売道具の域を超えた体の一部。クラシック音楽の演奏の際には、1714年製のストラディヴァリウスを使用している。世界で5本の指に入るとされる歴史的なヴァイオリンは、持ち歩くのも緊張するほどだと言う。その楽器を手に、そして溢れんばかりの情熱を胸に、ヴァイオリニスト葉加瀬太郎がデュッセルドルフ、オペラハウスの舞台に立つ。

葉加瀬太郎 ドイツ公演
Berenberg Asia Classics TARO HAKASE

日時 2011年12月5日(月) 19:30
料金 17.30~74.80ユーロ
会場 Deutsche Oper am Rhein
Opernhaus Düsseldorf
Heinrich-Heine-Allee 16a, 40213 Düsseldorf
曲目 ロベルト・シューマン「ロマンス」、
フリッツ・クライスラー「プレリュードとアレグロ」、
ヨハネス・ブラームス「ハンガリー舞曲」ほか
共演 マチェック・ヤナス(ピアニスト)、 イギリス室内楽管弦楽団
チケット www.rheinoper.de
0211-8925211(Opernshop Düsseldorf)
主催 Berenberg Bank, kurwenalKULTUR
最終更新 Donnerstag, 10 November 2011 10:31
 

受賞者発表!フォトコンテンスト2011 英・独・仏ニュースダイジェスト主催

受賞者発表!フォトコンテンスト2011 英・独・仏ニュースダイジェスト主催

仕事のため、学業のため、そして結婚のため——日本から独、英、仏にやって来た理由は、十人十色。でも、これまでとは全く違う景色や人々の中で暮らす毎日には、きっと、思わずレンズを向けてしまいたくなるかけがえのない瞬間が、誰にでもたくさんあるのではないでしょうか。独、英、仏ニュースダイジェスト主催、フォトコンテスト2011。今回は、ヨーロッパ3カ国から集まった、そんな貴重な人生の欠片、計300点以上の応募作品の中から選ばれた受賞作を、受賞者、審査員のコメントとともにご紹介します。

*写真をクリックすると拡大します

[審査員総評]

全体的に見て、非常にクオリティーの高い作品が集まったと思います。今回はドイツ、英国、フランスの3カ国から作品が集まったわけですが、それぞれの国や地域の象徴的な建物や景色が被写体となっているものがいくつか見られたという点以外で、構図などに国ごとの違いが如実に表れるということはなかったように感じられました。部門別では、ポートレート写真を撮るときには、やはり人物の一瞬の表情をカメラに収めようと考えるためか、急いでシャッターを押す傾向があるように思います。それと比べると、風景写真は、じっくりと考えて撮ることができるので、構図などが練られたものが多かったのではないでしょうか。今回のマチュア部門の大賞作品は、ポートレートでありながらも、人物の表情のみならず、全体の構図に工夫が感じられました。キッズ部門に関しては、それぞれ個性を感じさせる作品が多く、マチュア部門と比べて選考が難航しました。 by Canon Europe

[ダイジェストからのコメント]

今回は、独・英・仏ニュースダイジェスト主催フォトコンテスト 2011にご応募をいただき、誠にありがとうございました。結果、ドイツ104件、英国112件、フランス96件、合計312件という、数多くの個性的で素敵な作品が集まりました。

当選までの流れとしましては、まずはニュースダイジェスト社内で1次選考を実施。各国各部門10点の作品を選んだ後に、各国審査員による最終選考が行われ、受賞作品が決定しました。

通勤途中や日常の何気ない景色を新鮮な視点で切り取った風景作品、普段とは違う、大人びた表情を見せたお子さんの貴重な成長の一瞬を捉えたポートレート作品、既成観念の枠に捉われないユニークさが光ったキッズ作品など、どの部門でも目を奪われるものが多く、どれを選ぶべきか迷ってしまうという贅沢な悩みを抱えながらの選考となりました。一点、キッズ部門では、親御さんがお子さんを撮影した写真を応募されたというケースがいくつかみられ、残念ながら審査対象外とさせていただきましたことを付け加えさせていただきます。

最後になりましたが、ご応募いただいたすべての参加者の方々及び審査員の皆様に、改めましてお礼を申し上げます。

[受賞者と賞品]

マチュア部門
大賞 榊原有一さん Canon Europe より
デジタル一眼レフ カメラEOS 60D
英国入賞 藤田愛さん Buckinghamshire Golf Clubより
ゴルフ+ペアお食事券
ドイツ入賞 村井喜一さん MARITIM Hotel Frankfurtより
2泊3日ダブルルーム宿泊券ペア1組
フランス入賞 繁田ゆかりさん レストランHanawaより
献立コース、ペアお食事券
キッズ部門
大賞 石川佳里奈さん Canon Europe より
コンパクトデジタルカメラ PowerShot A3200 IS
英国入賞 小林七菜さん Pierre Hermé Parisより
Initiation Boxマカロン20個詰め合わせ
ドイツ入賞 牧達也くん Steiffより
オリジナルぬいぐるみ
フランス入賞 柴田かりんさん Paris Mikiより
Ray Ban Juniorのサングラス

[スポンサー]

スポンサー

最終更新 Freitag, 09 August 2019 15:22
 

ジャパンウィーク in フランクフルト

ジャパンウィークinフランクフルト

Japan Week欧州随一の金融都市フランクフルトと日本との関係は1871年、明治政府が当地の印刷所に円紙幣の印刷を依頼したことに始まった。現在、この街の日系企業は200社を超え、在住日本人は約3000人に上る。そんな日本と深い関わりを持つ街に11月、「ジャパンウィーク」がやって来る。1986年の初開催以来、世界各地で伝統文化や芸能、工芸、学術から現代のポップカルチャーまで、生きた日本の姿を紹介し、地元の人々と日本人との草の根の交流を促進している当イベントは今年で36回目。今回は日独交流150周年記念事業の一環として、日本から1000人規模のゲストを迎え、約50のプログラムを披露する。在独日本人にとっても、改めて日本の奥深さを体感する絶好の機会となりそうだ。(編集部:林 康子)

1ジャパンフェスト
Japanfest

著名和太鼓アンサンブル

5日、フェスティバルの開幕を飾るのは、ハウプトヴァッヘの野外ステージで繰り広げられる数々のパフォーマンス。静岡県の浜松を拠点に活動するチンドン屋「浜松花蝶ちん」が派手な芸で周囲を沸かせ、「TOKARA」や「KOTTSU」などの著名和太鼓アンサンブルが熱い鼓動を響かせる。また、ここでは期間中毎日13時~15時の間、日独の参加団体が多彩なショーを展開。芝居と形式美、武術を融合した豪快な立ち廻り演技を見せる「剣伎衆かむゐ」(7日)ら大物ゲストも登場!

Hauptwache
An der Hauptwache, 60313 Frankfurt

2レーマーに、日本を迎える
Japan zu Gast im Römer

旧市庁舎レーマー

旧市庁舎レーマー内のSchwanenhalleでは6~11日の間、日本文化・芸術を国内外のさまざまな美術関連事業を通して紹介し、その発展伸長に務めているアートクロス社による、日本のアーティストたちの作品展示が行われる。また、1997年に日本人として初めて、鉄琴の一種であるグロッケンシュピールの課程を修了し、現在ヨーロッパを中心に世界各国でコンサート活動を行っている演奏家のたじまゆうこ氏が5日、レーマーベルク広場でその美しい音色を聴かせる。

Schwanenhalle im Römer
Römerberg 27, 60311 Frankfurt

3ジャパンナイト
Japan Night

ジャパンナイト

今回のジャパンウィークのために特別に選ばれたアーティストや団体が、多種多様な日本文化を紹介するプログラム、ジャパンナイトは2カ所で開催される。シャウシュピール劇場が舞台となる前半(6~8日)のハイライトは、埼玉県熊谷市の長沼静きもの学院による着物ショーや、ジャパンウィークへの参加は今回で7回目という津軽三味線小山流貢清世会による、三味線、琴、尺八、太鼓の演奏。

Schauspiel Frankfurt
Neue Mainzer Str.17, 60311 Frankfurt

4ジャパンナイト
Japan Night

ジャパンナイト

変化に富んだステージで観客を沸かすジャパンナイトの後半は9〜11日。ボルンハイム劇場では、2009年にドイツの歌を日本に広め、日独の相互交流を促進する目的で設立された日本ドイツリート協会が美声を響かせ、全日本ブライダル協会が華やかな花嫁衣装やヘアメイクを披露するほか、和太鼓や日本民謡、舞踏、Jポップ・ライブなど、日本文化を髄まで楽しめる各種イベントが満載。

Saalbau Bornheim
Arnsburger Str. 24, 60385 Frankfurt

5日本を体感する
Japan zum Anfassen

Japan zum Anfassen

ドイツ最大の植物園パルメンガルテンでは、「触れて味わう日本」をモットーに、盆栽やいけばな、折り紙からマンガ、コスプレまで、新旧の日本文化を体験できる。注目は宝塚茶道同好会や九州茶道文化交流協会など多数の茶道団体による茶会(7~10日)。また期間中、金属や和紙、紐など、さまざまな素材を結び付けて自己の世界を表現するアーティスト、玉井京子氏の作品展や能面の展示会も開かれる。

Palmengarten
Siesmayerstraße 61, 60323 Frankfurt

期間:11月5日(土)~12日(土)
主催:財団法人国際親善協会、フランクフルト・アム・マイン市
入場:無料    
Hauptwacheの舞台とSchwanenhalle、Palmengartenのプログラム以外は要予約
チケット:0212-31888
公式ウェブサイト:www.japanweek2011.de

会場マップ

関連イベント

ジャパンウィークの開催と日独交流150周年を記念し、年間を通してさまざまな関連イベントがフランクフルト市内とその近郊で開催されている。ここでは、ジャパンウィークの期間中に行われるイベントをご紹介。

11月9日

ヘッセン州ナノテクフォーラム
Hessen-Nanotech - Hessisch/Deutsch-Japanisches Symposium zum Thema Energiespeichermaterialien

今年で第8回を迎えるヘッセン州ナノテクノロジーフォーラム。今回は、日独における効果的なナノ組織エネルギー貯蔵材料の開発・発展をテーマに、両国の企業や関連団体を招いて開かれる。主催はヘッセン州経済省と日本貿易振興機構(JETRO)。

Deutsche Nationalbibliothek
Adickesallee 1, 60322 Frankfurt
www.hessen-nanotech.de

11月5~12日

ニッポンコネクション・ジャパンウィーク映画スペシャル
Nippon Connection - Film Special at Japan Week

毎年フランクフルトで日本映画祭を主催しているニッポンコネクションが、日独をテーマに製作を行う日本人/ドイツ人監督の映画を紹介する。ドイツ・プレミア上映となる、福島原発事故以降の反原発運動を追ったドキュメンタリー『RADIOACTIVISTS』も登場。

Kino im Deutschen Filmmuseum
7ユーロ
Deutsches Filmmuseum
Schaumainkai 41, 60596 Frankfurt

最終更新 Donnerstag, 13 Oktober 2011 10:26
 

<< 最初 < 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 > 最後 >>
85 / 117 ページ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


Nippon Express ドイツ・デュッセルドルフのオートジャパン 車のことなら任せて安心 習い事&スクールガイド バナー

デザイン制作
ウェブ制作