ジャパンダイジェスト

おすすめの本&音楽

この記事にはアフィリエイトリンクが含まれている場合があります。
ダンス・ダンス・ダンス(上・下)ダンス・ダンス・ダンス(上・下)
村上春樹

講談社文庫
ISBN: 978-4062749046

「ダンス・ダンス・ダンス」は「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」に続く物語。「羊をめぐる冒険」から4年、「ぼく」は、また新たな冒険へと突き動かされる。ドイツ語版タイトルは「Tanz mit dem Schafsman」(DUMONT Literatur und Kunst Verlag)。このタイトルからわかるように、「羊をめぐる冒険」から登場した「羊男」が、この冒険をよりミステリアスなものへと導いていく。

この作品を初めて読んだのは、病院のベットの上。初めての入院、仕事が進まないいらだち、体調不良からくる不安感、そういった要素に、将来への漠然とした不安を掻き立てられていた。「ダンス・ダンス・ダンス」は、そんな私の心情を華麗に捕らえ、さらっていってしまった。正直に言うと、さわやかな冒険物語とは対照的、むしろ、ずるずると出口のない迷路に引きずり込まれるような感じ。「生」と「死」、「現実」と「非現実」の狭間で漂っている「ぼく」。その苦悩、あきらめ、時に流れに身を任せるという気張らなさに、ところがなぜだろう、一種の共感を覚える。決して格好いい主人公じゃない。でも、自分に正直であろうとする「ぼく」。彼の視点から見る世界は、どうしようもなく矛盾に満ちているけれど、「ぼく」はちゃんと「ぼく」の人生を大事にしている。自分の人生の歯車を自分で前へ前へと進め続けている。「踊り」続けている。そこに元気付けられたんだと思う。

村上作品を読むと、読後、少しだけ世界が違って見える気がする。気持ちの良い天気が続き、初夏の香りが漂う季節。自分のための贅沢な時間、村上ワールドにどっぷりと浸かってみてはいかがですか?一つだけ、登場人物の関係性や「ぼく」の成長を追うためにも、やはり先に出ている3作品を読んでから「ダンス・ダンス・ダンス」に入ることをお勧めします。(高)


過去のおすすめリスト

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


Nippon Express ドイツ・デュッセルドルフのオートジャパン 車のことなら任せて安心 習い事&スクールガイド バナー

デザイン制作
ウェブ制作