世界に学ぶ自転車都市のつくりかた - 人と暮らしが中心のまちとみちのデザイン
編著:宮田浩介 著者:小畑和香子・南村多津恵・早川洋平
発行元:学芸出版社
発行日:2023年11月10日
定価:2400円(税別)
実はドイツはまだまだ!?「自転車都市」を目指すには
自転車都市を目指す動きが、今世界で加速しているという。その背景には、この100年間で車中心の社会、環境が整備されてきたことへの反省がある。もちろん気候保護の観点からも重要だが、自転車の利用を充実させることで、あらゆる年齢や立場の人が安心して効率よく移動でき、社会参加への機会が平等に得られるまちづくりを行おうとしているのだ。本書では、デンマーク、オランダ、米国、英国、フランス、ドイツを事例に、自転車都市の実態や課題に切り込んでいく。
意外だったのが、ドイツは「自転車先進国」ではないこと。本書でドイツを担当する小畑和香子さんはそう言う。ドイツでは、人口とほぼ同数の約8100万台の自転車が登録されているが、交通分担率は11%ほど(2017年)。自転車利用を阻むものの一つは、車中心の都市デザインだ。確かに、オランダ(交通分担率28%)と比べると、ドイツの自転車道は狭く、自動車が簡単に入ってこられる作りになっている場所も少なくない。ヒヤリとした経験がある人も多いだろう。
自転車利用を充実させることで、どんなメリットがあるのか。そのためにどんな都市デザインや政策が必要なのか。本書で紹介されている他国の事例からも、ドイツが目指すべき未来が見えてくる。