ドイツはなぜ日本を抜き「世界3位」になれたのか - “GDP逆転”納得の理由
編著:宮田浩介 著者:小畑和香子・南村多津恵・早川洋平
発行元:学芸出版社
発行日:2023年11月10日
定価:2400円(税別)
円安とインフレが原因と 答えていませんか?
2023年、ドイツの名目国内総生産(GDP)が日本を抜いて世界3位となり、55年ぶりに順位が逆転した。日本のメディアで大きく取り上げられたことは記憶に新しいが、ドイツではあまり注目されていない。むしろ景気の悪さを感じる報道ばかりで、「とても信じられない」と首をかしげるドイツ人も多かった。本書は、そのドイツがなぜ日本を抜いたのか、本誌「独断時評」でもおなじみのジャーナリスト熊谷徹氏が丁寧に解説する。
今回の「GDP逆転」は円安とインフレが主な要因といわれるが、本書ではドイツが辿ってきた歴史やドイツ人の気質など、さまざまな視点からその理由を分析。特にシュレーダー政権による労働市場・社会保障制度改革プログラム「アジェンダ2000」が、2010年以降のドイツ経済を押し上げたことが大きな下地となっているという。その一方でドイツの景気が後退しているゆえんを、現地の目線を盛り込みながら鋭く考察する。
日本とドイツは敗戦国であり、似ている点が多いとよくいわれる。現在、高齢化社会や人手不足などの同じ課題を抱え、今にもインドにGDP が抜かれそうな「たそがれ国家」であることも共通点に数えられる。そんな両国が再び発展するための打開策を示してくれる一冊。