6月7日、13回目を迎える「UEFA EURO 2008」(以下、ユーロ2008)が開幕する。ファンにとっては待ちに待った4年に一度の欧州の頂点を決定するサッカーの祭典。公式スローガンは「Expect Emotions」。オーストリア、スイスの共同開催で迎える今大会は、どこが優勝するのか予測不可能なハイレベルな戦いに連日、目が離せない!!(編集部:高橋萌)
Fotos: ©Euro 2008 SA
オーストリア | |||
ウィーン | 6月8日(日) 18:00 AUT - CRO |
6月12日(木) 20:45 AUT - POL |
6月16日(月) 20:45 AUT - GER |
ザルツブルク | 6月10日(火) 20:45 GRE - SWE |
6月14日(土) 20:45 GRE - RUS |
6月18日(水) 20:45 GRE - ESP |
インスブルック | 6月10日(火) 18:00 ESP - RUS |
6月14日(土) 18:00 SWE - ESP |
6月18日(水) 20:45 RUS - SWE |
クラーゲンフルト | 6月8日(日) 20:45 GER - POL |
6月12日(木) 18:00 CRO - GER |
6月16日(月) 20:45 POL - CRO |
スイス | |||
バーゼル | 6月7日(土) 18:00 SUI - CZE |
6月11日(水) 20:45 SUI - TUR |
6月15日(日) 20:45 SUI - POR |
チューリヒ | 6月9日(月) 18:00 ROU - FRA |
6月13日(金) 18:00 ITA - ROU |
6月17日(火) 20:45 FRA - ITA |
ベルン | 6月9日(月) 20:45 NED - ITA |
6月13日(金) 20:45 NED - FRA |
6月17日(火) 20:45 NED - ROU |
ジュネーブ | 6月7日(土) 20:45 POR - TUR |
6月11日(水) 18:00 CZE - POR |
6月15日(日) 20:45 TUR - CZE |
決勝トーナメントに進めるのは、A~Dの4グループから上位2チーム。スイス対チェコの開幕戦を皮切りに、全8会場で激戦が繰り広げられる。
50の国と地域が参加し、1年以上の長丁場である予選を勝ち抜いた14カ国に、開催国のオーストリアとスイスを加えた計16チームが出場する。
予選会場:スイス / バーゼル・ジュネーブ
スイス
地元で真価を発揮できるか?!
監督:ヤコブ・クーン(初めてのスイス人監督)
実績:通算3度目、04年に続く連続出場
特徴:守備重視の堅実なプレースタイル
チェコ
若手の活躍に期待!
監督:カレル・ブリュックナー
実績:96年の初出場で決勝進出。
今回で4大会連続出場
特徴:守備に強く、ゴール前 には守護神ペトル・チェフが構える
ポルトガル
前回の雪辱を晴らせるか
監督:ルイス=フェリペ・ス コラーリ
実績:開催国だった前大会は準優勝
特徴:厚い選手層に支えられた安定した攻撃スタイル
トルコ
未知なる実力を発揮できるか
監督:ファティ・テリム
実績:3度目の出場。00年は決勝トーナメント進出
特徴:好調・不調の波が激しいが、大会のダークホースとなるか
予選会場:オーストリア / ウィーン・クラーゲンフルト
オーストリア
開催国としての意地を見せるか
監督:ヨゼフ・ヒッケルスベ ルガー
実績:10年振りに主要国際大会出場
特徴:ベテラン陣が守る強固な守備
クロアチア
勢いに乗っているチーム
監督:スラベン・ビリッチ
実績:96年決勝トーナメント進出。98年W杯3位
特徴:30歳代の若い監督の下、若い選手の成長が目覚ましい
ドイツ
大会最多優勝記録を更新できるか
監督:ヨアヒム・レーヴ(ドイツ人監督)
実績:9大会連続出場。大会最多の3度の優勝
(旧西ドイツを含む)
特徴:守備的配置と攻撃力
ポーランド
初出場で結果を残せるか
監督:レオ・ベーンハッカー
実績:12年越しの念願叶い、本大会初出場
特徴:キャプテンのマチエイ・ジュラフスキを中心に攻守に柔軟なプレースタイル
予選会場:スイス / チューリヒ・ベルン
オランダ
監督のため、国のため、頂点を目指す
監督:マルコ・ファン・バステン
実績:88年優勝。前大会は準決勝進出
特徴:欧州屈指の攻撃的なプレースタイルに守備の充実が加わった
イタリア
W杯に続く栄光を狙う
監督:ロベルト・ドナドーニ
実績:3大会連続出場。68年優勝。06年ワールドカップ (W杯)優勝
特徴:新フォーメーションで挑む
ルーマニア
東欧の強国、どこまで粘れるか
監督:ビクトル・ピツルカ
実績:00年大会では決勝トーナメント進出
特徴:アドリアン・ムトウ、チプリアン・マリカの攻撃的なツートップと守備の両立
フランス
3度目の優勝を狙う
監督:レイモン・ドメネク
実績:84年、00年優勝。06 年W杯では準優勝
特徴:アンリの得点力、それを支えるニコラス・アネルカら若手選手の活躍
予選会場:オーストリア / インスブルック・ザルツブルク
ギリシャ
史上初の連覇なるか
監督:オットー・レーハーゲル(ドイツ人監督)
実績:前大会優勝
特徴:組織力を基盤とした戦術。18歳ソティリス・ニニスら若手中心のチーム
スウェーデン
大会常連国、初の欧州王者を狙う
監督:ラーシュ・ラガーベック
実績:4大会連続出場。前大会では準決勝進出
特徴:攻撃的なプレースタイル。新エース、ズラタン・イブラヒモビッチに注目
スペイン
スター選手がずらり
監督:ルイス・アルゴネラ
実績:64年優勝
特徴:フェルナンド・トーレスら名門チームで活躍する世界トップレベルの選手が繰り出す高い攻撃力が強み
ロシア
世代交代が進む
監督:フース・ヒディング
実績:60年第1回大会の優勝国、
64、72、88年は準優勝 (当時、ソビエト連邦)
特徴:ベテランが守る中盤が要
西ドイツ時代の1972年と80年、ドイツ統一後の96年と、大会最多となる3度の優勝を果たしている。自国で開催された06年W杯で見事な成績を収めたドイツ。「夏のメルヘン」の再現なるか!?
ヨアヒム・レーヴ監督の存在感
06年7月、W杯終了の3日後に、ユルゲン・クリンスマン前ドイツ代表監督の後任として代表チームを率いることになったヨアヒム・レーヴ監督。助監督としてチームをサポートしたW杯ではクリンスマン氏の片腕として、チームの3位入賞に貢献した。「ヨギ」のニックネームで親しまれている同監督は、その影響力から抜群の信頼を得ている。
バラック好調という追い風
長期にわたった足首のけがの影響が心配されていたキャプテンのミヒャエル・バラック。しかし復帰後は、所属チェルシー(英国)で2得点を挙げるなど絶好調だ。この好調は、ユーロ2008でも維持できると自信を見せている。
層が厚くなった攻撃陣
ミロスラフ・クローゼを筆頭に、07年ドイツ年間最優秀選手のマリオ・ゴメス、ケビン・クラーニらが攻撃の要。また、ルーカス・ポドルスキ、バスティアン・シュバインシュタイガーなど、成長目覚ましい若手の存在もあり、攻撃力に期待が高まる。
ベテラン選手が守備を固める
レーヴ監督は守備的MF二人を置く戦い方、4‐4‐2の布陣にこだわりを持っている。その中盤を任されるのが守備的MFの第1候補であるバラックとトルステン・フリンクス。DFにも06年W杯で活躍した選手が代表に召集され、安定したプレーを見せる。
ブンデスリーガ2部からの大抜擢か
今回、2部に所属する3選手が代表に選ばれる予定だ。マルコ・マリン(VfLボルシア・メンヘングラッドバッハ)、パトリック・ヘルメス(1FCケルン)ら3選手。この選手たちの活躍にも注目が集まる。
ドイツ代表・招集選手(暫定)
GK | イェンス・レーマン、ロベルト・エンケ、レネ・アドラー |
---|---|
DF | クリストフ・メッツェルダー、ペル・メルテザッカー、フィリップ・ラーム、アルネ・フリードリヒ、マルセル・ヤンセン、クレメンス・フリッツ、ハイコ・ベスターマン |
MF | ミヒャエル・バラック、トーマス・ヒツルスペルガー、シモン・ロルフェス、トルステン・フリンクス、バスティアン・シュバインシュタイガー、ピオトル・トロショフスキ、ジャーメイン・ジョーンズ、ダビト・オドンコー、マルコ・マリン |
FW | ミロスラフ・クローゼ、ルーカス・ポドルスキ、マリオ・ゴメス、ケビン・クラーニ、オリバー・ノイビル、パトリック・ヘルメス |
─ アンリ・ドロネー杯 ─
欧州選手権の優勝杯の名前をご存知だろうか。本大会実現のために人生をかけた、アンリ・ドロネー氏の名をとって、「アンリ・ドロネー杯」という。UEFAの初代事務局長を務めたフランス人の彼は、1927年、欧州王者を決める選手権の開催を提唱、その後、実現に向けて多大なる尽力を果たした。今年からその優勝杯が新しく生まれ変わった。新優勝杯は名前とデザインはそのままに、これまでの優勝杯よりも18センチ高く、2キロ重たくなり、高さ60センチ、重さ8キロとなった。
2カ国同時開催となる今回のユーロ2008。会場が東西に広がるため、観客と選手、双方の負担を軽減すべく、予選では各ブロック別に隣接し合う二つのスタジアムを使うなどの配慮がなされている。雄大なアルプス山脈に抱かれた2国にまたがる、8つのスタジアムと都市を紹介しよう。サッカー観戦の合間に、歴史ある美しい街並みも満喫してみては。
エルンスト・ハッペル・シュタディオン
Ernst-Happel-Stadion
芸術の街として有名なウィーンでは、ウィーン少年合唱団、オペラ、世紀末芸術、バロック式宮殿から現代建築物、最新トレンドまで、新旧のあらゆるアートを楽しむことができる。
● 聖シュテファン寺院
街の中心地に建つこの寺院は、オーストリア最大のゴシック建築物。異教の塔と正面玄関は最も古い部分で、13世紀に建てられたもの。展望台へはエレベーターで昇れるが、足に自信のある人は343段のらせん階段を登ってみて。
● 大観覧車
街のシンボルとなっている大観覧車からのパノラマは必見。19世紀末に建設されたもので、高さ65.75メートル。映画「第三の男」の舞台ともなった。
シュタディオン・ザルツブルク・バルス=ジーツェンハイム
Stadion Salzburg Wals-Siezenheim
モーツァルト生誕の地であり、中世の雰囲気を現在に残す美しい街。「北のフィレンツェ」とも呼ばれ、世界遺産に登録されている。
● ホーエンザルツブルク城
中世の建築物としては最も保存状態の良いものと評価されている。内部には、博物館や「ザルツブルクの雄牛」と呼ばれるオルガンがあり、コンサートも開かれる。
● ドーム
8世紀頃、アルプス以北で最初に建てられたイタリア・バロック教会。夏にはドーム前で、ホフマンスタールの「イェーダーマン」が上演される。
ヴェルターゼー・シュタディオン
Wörthersee Stadion
国内で最も晴れの日が多い街。ヴェルター湖の東岸、国内最高峰のグロースグロックナーを始め、3000メートル級の山岳や氷河のふもとに位置、豊かな自然に囲まれ情緒あふれる。山間の村、ハイリゲンブルートからのグロースグロックナー・ホッホアルペン街道は、世界に名高い山岳観光地。
● リンドヴルムの泉
新広場の中央にある泉には伝説がある。昔、ヴェルター湖にはリンドヴルムという名前の竜が住んでいた。竜が住民や家畜を食い殺したため、町の男たちが知恵と勇気を出し合って竜を退治した、という。
シュタディオン・ティボリ=ノイ
Stadion Tivoli NEU
2度の冬季オリンピックの開催地として知られる。冬場はウィンタースポーツのメッカ、夏はハイキングの拠点となる、アウトドア好きには理想的な街。
● 黄金の小屋根
旧市街中心にある広場でのイベントを観覧するために、マクシミリアン1世が建設させたロジェ。金箔がまばゆい2657枚の銅版で屋根が飾られている。
● 凱旋門
1774年、皇帝ナポレオン2世の婚礼を記念して建てられた。
スタッド・ドゥ・ジュネーブ
Stade de Genève
国連や赤十字の発祥の地、平和の街として世界に知られている。国内一、公園面積が広い街でもあり、少し街の外へ足を伸ばせば、豊かな緑 が広がる風景にも出会える。
● ジェ・ドー(大噴水)
140メートルもの高さまで吹き上がるレマン湖の大噴水は、街のシンボル。もともとは、工業、生活用水のポンプによる余剰能力を噴水に当てたことが始まり。噴水の高さは世界一で、衛星写真でも確認できるほど。
ザンクト・ヤコブ・パーク
St. Jakob-Park
フランスとドイツに隣接する国境の街。そのため文化の交差点として芸術が花開き、国内最古の大学が建つ場所でもある。漫画博物館や紙の博物館など個性的なミュージアムも多い。
● 市庁舎
14世紀から今日まで街の中心として建つ真っ赤な建物。華やかな外観、時計塔、フラスコ画が見どころ。目の前のマルクト広場では市場も開かれ、新鮮な野菜や花が売られている。
● バーゼル港
ヨーロッパを流れるライン川最上流の港。河口ロッテルダムまで、バーゼルからは大型船舶が航行可能で、国内の物流の中心である。
スタッド・ドゥ・スイス・ヴァンクドルフ
Stade de Suisse Wankdorf
首都、近代都市としての機能を備えつつ、旧市街には大聖堂や時計塔など歴史ある街並みを遺し、世界遺産にも登録されている。
● 時計塔
スイスで最も古い時計塔で、地元の人からはツィートグロッケ・トゥルムと呼ばれている。かのアインシュタインはこの時計塔のそばに住んでいた時、時計塔の脇を通り過ぎるバスを観察しながら、「相対性理論」のきっかけとな る発想を得たといわれている。
レツィグルント・シュタディオン
Letzigrund Stadion
世界の経済、商業、金融の中心都市。歴史的な建築物や史跡が数多く、中世的な魅力を備える一方、おしゃれなレストランやカフェ、クラブなどが多い流行の発信地でもある。
● 大聖堂
12世紀頃に建てられたカール大帝ゆかりの聖堂。2本の塔が特徴的な街のシンボル。塔に登れば街を一望できる。