例年になく厳しい寒さが続く今冬は、外出するのが億劫で暖房の良く効いた屋内に閉じこもりがち。でも体は正直なもので、そろそろ動きたいと訴えてくる。 運動不足を解消する冬のスポーツと言えば……そうだ、スキーに行こう!
太陽の光に反射してきらめく粉雪の中に飛び込んで、完璧に整備された斜面を颯爽と滑り降りる。ひと息ついたら、次は手つかずの森の中を歩きながら自然の声に耳を傾けるのも良い。目を開ければそこには、澄み渡った空の下、広大な冬の自然が広がる─。
(編集部:林 康子)
スキー、スノーボードの板
板の長さの目安は初心者の場合、一般に身長と同じくらいか、それより10センチ程度短いものが適当とされる。スノーボードでは、立てた時に先端があごと鼻の間にくる長さが理想。初心者~中級者用なら、たいていビンディング(ブーツを板に取り付けるための器具)とセットになっている。
ブーツ
スキー用具の中で一番重要、かつ選択が難しいのがブーツ。足に合わないブーツを履いて滑ることで足が痛くなったり、けがをしてしまっては、せっかくの楽しいスキーも台無しだ。自分の足にフィットするものを選ぼう。ポイントは履いたときに足全体を適度に圧迫し、踵が浮かないように足首周りから踵にかけて、しっかりと固定してくれること。
ストック(ポール)
滑る際にバランスやリズムをとるために両手に持つ用具。特に初心者には体を支える大切な役割を果たす。長さは、ブーツを履いた状態でストックを上下逆さまに持ってストックのリングの下を握った時に、肘が垂直になるくらいが適当。技術が上達したら、これより少し短いものを選ぶと良い。
スキーウェア
選ぶ際には耐水圧(Wasserfestigkeit)という項目を確認。この数値(5000~20000程度)が大きいほど水を通し難い。安いものなら上下合わせて300ユーロ程度から購入できる。中には長袖のフリースやジャージにタイツ。大量に汗をかくので、予備の下着を持っていくと良い。
ニット帽子・グローブ・ゴーグル
帽子、グローブは防寒としてだけでなく、転倒時の衝撃を和らげ、頭や手を保護する役目も果たす。また、ゴーグルも天候が変わりやすい雪山には不可欠。曇りにくいダブルレンズのものもある。グローブ、ゴーグルは約50ユーロ、帽子は約20ユーロから購入可。
● ネックウォーマー(転んでも首から雪が入りにくい)
● 厚手の靴下(足元の冷えには要注意)
● 小物入れ(ウェストポーチなど体に装着できるタイプが良い)
● 日焼け止め(冬でも晴れた日は紫外線が強い)
● サポーター(肘、膝、お尻用などがある。転んでも痛くない)
● パスケース(リフト券の提示がラクラク)
● MP3 などの音楽プレーヤー(気分爽快、ノリノリで滑ろう!)
隣国のスイスやオーストリアに比べ、スキー大国という印象が薄いドイツ。しかしアルプス地方を中心に例年、早いところでは10月頃から山頂に初雪が舞い、その後順調に雪が積もれば11月からは本格的なスキーシーズンの到来だ。今はまさにシーズン本番で、ここドイツでもウィンタースポーツの世界大会が目白押し。4~5月頃まではスキー場がオープンしているので、今から計画を立ても十分間に合う。スキーをしながら美しいドイツの冬を心行くまで味わおう!さて、あなたはどこに行く?
アルゴイ Allgäu
どこまでも続く白銀の連峰、きらめく湖、南方に望むのはアルプス─ドイツ最大のスキーリゾート地、アルゴイ地方の風景だ。ドイツ観光地の代表格ノイシュヴァンシュタイン城をはじめ、絶景を眺めながらのスキーは格別なものがある。中でも、オーベルストドルフは、まさにスキーヤーにとっての理想郷。初心者用の滑降コースから上級者用のモーグルコースまで、120キロ超の充実した滑走路を備えている。そこからロープウェーで行く標高2244メートルのネーベルホルンでは、5月初旬まで滑ることができる。幻想的なイグルー(スノーハウス)での宿泊もオススメ。
左)© 2009 Tourismus Oberstdorf
右)© BAYERN TOURISMUS Marketing GmbH
オーベルストドルフ
3月15日(日)~ 4月19日(日)まで、6日間の予約料金で7日間分のパスを購 入できる「Kristallwoche」が開催される。
www.oberstdorf.de
イグルー宿泊体験
宿泊するイグルーはプロの指導の下、宿泊者自らの手で作る。創作と宿泊のセットで、80~130ユーロ程度。(写真© Pfronten Tourismus / Erwin Reiter)
バイエリッシャー・ヴァルト Bayerischer Wald
1970年にドイツ初の国立公園に指定された中欧最大の森林保護地区。「ヨーロッパの緑の屋根」と呼ばれる広大な自然な自然が広がる。滝や原始林、凍て付いた湖に険しい岩肌から勢いよく落ちる雪など、五感を研ぎ澄ませて自然を感じたい。チェコとの国境地域アーバーには330キロのクロスカントリー用コースのほか、スノーボード専用のスキー場Railparkもある。さらにこの地域には、数多くのウェルネスホテルや屋外保養地もあるので、滑った後は温泉やエステでリラックス、なんていう贅沢も良いのでは。
左)© Der Große Arber Bayerischer Wald
右)アーバーの「子どもスキーランド」© Der Große Arber Bayerischer Wald© Der Große Arber Bayerischer Wald
WellVital
バイエルンのウェルネスブランド「Wellvital」。このマークが目印のホテルや施設は、アクティブ、リラックス、クア、ビューティなど8つのカテゴリに分かれたスパやエステ施設を備えていて、目的に合わせたウェルネスを選べるようになっている。www.wellvital.de
(写真© Pfronten Tourismus / Erwin Reiter)
Tourismusverband Ostbayern e.V.
Luitpoldstraße 20, 93047 Regensburg
TEL : 0941-585390
www.bayerischer-wald.de
ザウアーラント Sauerland
スキーリゾート地が南東に集中するドイツで唯一、北方に位置する。デュッセルドルフやケルンなどからも、週末に足を伸ばして滑りに行ける距離にあるのでとても便利。人気の高いヴィリンゲンやノイアスターベルク、アルタステンベルクらを含む6カ所のスキー場で使える共通パス「Wintersport Arena Card」があれば、計60台のリフトに乗り放題。ヴィンターベルクには、氷のジェットコースターとも言える「ボブスレータクシー」がある。急勾配の氷の筒の中を、最高時速130キロで猛進する。スピード狂には一度チャレンジする価値あり。
左)© Wintersport-Arena Sauerland
右)© Wintersport-Arena Sauerland / Urlike Becker
ボブスレータクシー
ボブスレータクシーは予約制で1人78ユーロ。 オンラインで申し込める。特に週末は集中するのでお早めに。www.olympic-bob-race.de
(写真 © Olympia Bob Race GbR)
Wintersport-Arena Card
「Wintersport-Arena Card」は、3日間用で77ユー ロ(子ども37ユーロ)、4日間用で65ユーロ(子ども44ユーロ)
www.wintersport-arena.de
Sauerland-Tourismus e.V.
Johannes-Hummel-Weg 1, 57392 Schmallenberg
TEL : 01802-403040
www.sauerland.com
エルツゲビルゲ Erzgebirge
職人が1つひとつ手で作る木製おもちゃの伝統が色濃く残る、ザクセン州のエルツ山脈。メルヘンの世界に飛び込んだかのような光景が広がるこの地方の自慢は、何と言ってもヨハンゲオルゲンシュタット~シェーネック間36キロの国内で最も美しいクロスカントリーコース。また、標高1215メートルのフィヒテルベルクには11本もの滑走コースがあり、特にスピードを求める上級者にとっては嬉しい場所である。さらに、ホルツハウには雪の中を歩いて探索したり、スケートやそり滑りができる環境も整っているので、激しいスキーはちょっと苦手という人でも十分楽しめる。
左上)36キロ続くクロスカントリーコース
「Kammloipe」
© Tourismusverband Erzgebirge e.V.
右上)木製のおもちゃ製作© Tourismusverband Erzgebirge e.V.
左)チェコとの国境に隣接するフィヒテルベルク。
麓には有名な療養地、オーバーヴィーゼンタールがあり、
頂上とロープーウェーで結ばれている。
© Tourismusverband Erzgebirge e.V.
Tourismusverband Erzgebirge e.V.
Adam-Ries-Straße 16, 09456 Annaberg-Buchholz
TEL : 03733-188000
www.erzgebirge-tourismus.de
シュヴァルツヴァルト Schwarzwald
標高1493メートルのフェルトベルクからの眺めは、そこが「黒い森」のど真ん中であるということを忘れさせてくれる。ここも実はスキーの盛んな地方。その証拠に隣町のヒンターツァルテンは、1990年代に活躍した伝説的なスキージャンプのスター、ディーター・トーマやスヴェン・ハナヴァルトを生み出した地でもある。またここは、大人も子どもも気軽に楽しめるスノーシューや、大きな凧(カイト)を操りながら雪上を走り、そして華麗に飛ぶ新種のウィンタースポーツ、スノーカイトを体験するのに最適の場所でもある。2月21日(土)には雪の上のカーニバル・パレードも開催される。風車に風呂釜、宇宙船までオリジナリティー溢れる山車が斜面を滑り降りていく姿は一見の価値あり。
左)シュヴァルツヴァルトのかわいらしい冬の街並み © TI Altensteig
右上)スノーカイト © Christoph Volk / Kiteschule Skywalker
右下)Foto: Feldberg Touristik
Schwarzwald Tourismus GmbH
Ludwigstraße 23, 79104 Freiburg
TEL : 0761-896460
www.schwarzwald-tourismus.de
近くに雪山がない地方に住む人にとっては「じゃあ、ちょっと週末の気晴らしにひと滑り……」と、簡単に出かけられるものではない。そんなときに便利なのがインドアスキー場。現在、全国5カ所に設置されており、さらに近々、チューリンゲン州のオーバーホフにも1つオープンする予定という。通年オープンしているので、季節や天候に左右されることなく気軽に本格的なスキーを楽しめる。1日券で約20~40ユーロ。
ビスピンゲン | SNOW DOME Bispingen Horstfeldweg 9, 29646 Bispingen TEL : 05194-43110 www.snow-dome.de |
ボットロップ | Alpincenter Bottrop Prosperstraße 299-301, 46238 Bottrop TEL : 02041-70950 www.alpincenter.com |
ノイス | JEVER SKIHALLE Neuss An der Skihalle 1, 41472 Neuss TEL : 02131-12440 www.allrounder.de |
ゼンフテンベルク | SNOWTROPOLIS Hörlitzer Straße 36, 01968 Senftenberg TEL : 03573-363700 www.snowtropolis.de |
ヴィッテンブルク | Alpincenter Hamburg - Wittenburg Zur Winterwelt 1, 19243 Wittenburg TEL : 01805-802121 www.alpincenter.com |
「さぁ、スキーに出かけよう!」と決めたら、いざ予約を。行き先が決まったら、まずは各地のツーリストインフォメーションのサイトを覘いてみよう。計画を立てるのに一番手っ取り早く、しかもホテルやゲレンデの情報が充実している。
早めの計画が難しいという人には、ラストミニッツで行く交通から食事込みの宿泊、スキーパスまでが1つになったパッケージツアーがお得。場所や期間は若干限定されるものの、旅行会社によっては通常の価格より70%引きのツアーを提供している。4日~1週間で300ユーロ前後。
せっかくならドイツらしいスキー休暇を楽しみたいというこだわり派にオススメなのが、スキー場の賃貸別荘(Ferienwohnung, Ferienhaus)や山小屋(Skihütte)だ。情緒ある築100年以上の木の小屋で、家族や仲間と一緒に和気あいあいと過ごす1夜は一生の思い出になるだろう。安ければ、4人部屋3泊で200ユーロ前後から借りられる。
また、各スキー場のスキーパスは1日券で約10~20ユーロ。週末やイースター休暇など、スキー客が集中する時期には少し値上がりする。忘れないように事前に準備しておくと良いが、直接スキー場でも購入できる。
賃貸別荘・スキー山小屋情報
www.ferienwohnungen.de
www.bergfex.de