ベルリン国際緑の週間(IGW)が、金曜日から開催される。
IGWは、広いスペースに体験型の催し物が目白押しで、
「見本市」というよりは「お祭り」という雰囲気。
一般訪問者の興味を引く、今年のIGWのハイライトは・・・・・・?
(編集部:高橋 萌)
ベルリン国際緑の週間(IGW)とは?
IGWは、「食品」「農業」「園芸」の分野を中心とした企業や団体が集まる見本市だが、それだけにとどまらない。「緑の週間」という名に相応しく、環境や自然、生命に関する最先端の技術やアイディアが集結し、目で見て、舌で味わい、手で触れ、心で感じる体験が訪問者を待ち受けている。
見本市というと、入場料が高額で専門業者しか入場を許されないビジネスの場、というイメージが強いが、IGWは一般消費者の入場を歓迎している。入場料も12ユーロ(1日券)とお手頃で、家族みんなで気軽に参加できる冬の一大イベントとしてベルリンに定着しているのだ。
1926年から始まったIGW、75回目の節目を迎える今年は不況を跳ね飛ばそうという狙いを込め、規模を拡大して開催される。パートナー国はハンガリー。名産物であるワインやフォアグラはもちろん、知られざるハンガリーの珍味や伝統文化の紹介も見逃せない。
重要な会議やフォーラムが行われ、新商品の発表の場としての顔も持つIGWの幕開けを告げるのは、連邦農業省のイルーネ・アイグナー大臣。生活をより豊かなものにしてくれるエコで心身に良い「何か」を探しに、ベルリンの見本市会場に行ってみよう!
時間 | 10:00~18:00 ※16日(土)、22日(金)、23日(土)10:00~20:00 |
入場料 | 1日券12ユーロ (オンライン購入11.50ユーロ、学生7ユーロ)、14時以降7ユーロ、日曜10ユーロ |
会場 | Messe Berlin |
住所 | Messedamm 22, 14055 Berlin |
TEL | 030-30382027 |
WEB | www.gruenewoche.de |
世界各国の美食がずらり
高級デパートの地下の食品売り場、いわゆる「デパ地下」を大きくしたような感じ、と訪れた人が口々に言うように、世界56カ国による個性溢れるブースでは、デモンストレー ションや試食・試飲のサービス(有料のものもある)が行われる。東南アジアのトロピカルフルーツやアフリカのエキゾチックな食材、普段はお目にかかれないような魚介類が並び、もちろん、日本の食材も出品されている。ジェトロ(日本貿易振興機構)のブース(Halle 18, Nr.117)では、日本酒、日本茶、わさび、その他の調味料などの食品が展示されるほか、ベルリンの日本食レストランのシェフによる「寿司作り体験教室(Werden Sie Sushi-Meister!)」が目玉。食べ過ぎてしまったら、体を動かすプログラムに参加しよう(Halle 1.2b)。
不況を吹き飛ばす農業の底力とは
大人にも子どもにもわかりやすく、楽しく農業を知ってもらおうというコンセプトの下、「農村体験コーナー(ErlebnisBauerhof)」が設置される(Halle 3.2)。ここでは、乳牛の乳搾りなど農家の仕事を実際に体験したり、食卓に並んでいる野菜がどのように栽培、収穫されているのかなどを観察できる。また、牛や羊、豚、鶏と触れ合える牧場も出現。普段、スーパーマーケットに並んでいる食品を見慣れている子どもたちにとっては、農業を身近に感じるまたとないチャンスだ。もう1つの見どころは、ビオ(Bio)のコーナー(Halle 6.2a)。健康志向と環境への配慮の高まりから、不況の中も揺るがない強いマーケットに成長したビオ製品。3000㎡の広大なスペースに、ビオ製品との出会いの場がある。
百花繚乱、一足早く春を感じる
ドイツを代表する詩人、ゲーテは色彩鮮やかな庭園を深く愛したという。生涯の中で13年間もの歳月を旅に費やし、詩の感性と美意識を研鑽してきたゲーテの足跡を追うとともに、1810年に彼が著した「色彩論」の出版200周年を記念して、IGWには花が咲き乱れる広大なホール(Blumenhalle)が出現する(Halle 9b)。そしてなんと、この花のホールに今年、普段はTiergartenに設置されている大理石のゲーテ像が運ばれてくるという。見るものを圧倒する豪勢なフラワー・アートから、色鮮やかなチューリップやジャスミン、バラまで、「ゲーテの色とりどりの花の旅」をモットーに造られた室内庭園を訪れれば、外の灰色の冬景色のことなどすっかり忘れてしまえるかもしれない。
自慢のペットが大集合
人気のペットから珍しいペットまで、およそ5000種類のペットが紹介されるペット・コーナー(Halle 1.2)。飼育やしつけについての講習会、ペットと一緒にできるフィットネス体験など、飼い主に嬉しい企画満載。75回目を祝う今年は、1月22、23日にアクアリウム・デザインコンテストが開催され、水中の芸術を垣間見ることもできる。また、ペットではないが、動物にまつわる話題をもう1つ。日本からは今回、スズキが唯一の自動車メーカーとして欧州向け「アルト」のワンオフモデルを出品する(Halle 26a)。しかも、このワンオフモデル、魚をモチーフにしており、ボディ表面は特殊なビニールを使って魚の鱗を表現、さらにルーフには背びれを模したテールフィンが装着されているという。