ジャパンダイジェスト

ミニチュアで体感するベルリン750年の歴史

せっかくの週末なのに外は雨。4歳の息子をどこに連れて行こうかと悩んだときに、以前から気になっていたアミューズメント施設「リトル・ビッグ・シティ」に行ってみようと思い立ちました。

場所はアレクサンダー広場駅から徒歩5分ほど。テレビ塔に面した建物の中にあります。あまり広くない入り口でチケットを購入し、2階の展示室に進むと、24分の1のスケールで再現したベルリンの街並みがぎっしりと広がります。1500平方メートルの中に、約100の建物と6000体以上の人形により構成されているといいますから、なかなかの壮観です。

2017年にオープンした「リトル・ビッグ・シティ」は、750年に及ぶベルリンの歴史のその時々の瞬間を再現しているのが特徴。展示はベルリンが産声を上げた中世の時代から始まります。まだシュプレー川に面した漁村だった頃の様子、よく見ると15世紀の異端尋問や三十年戦争で受けた惨禍も描かれており、芸が細かいのです。

とはいえ、展示の中心はベルリンが大都市への道を邁進する19世紀以降です。工業化の象徴だった、当時ドイツ中の蒸気機関車を製造していたボルジッヒ社の工場や、「皇帝駅」と呼ばれたアンハルター駅。20世紀の展示に入ると、輝かしい時を刻んだ戦前のポツダム広場が見えてきます。当時芸術家の溜まり場として有名だったカフェ・ヨスティも再現されており、思わずにやりとしてしまいます。

「リトル・ビッグ・シティ」に再現された戦前のポツダム広場「リトル・ビッグ・シティ」に再現された戦前のポツダム広場。手前はカフェ・ヨスティ

やがて、ナチス時代に入り、ナチ党員たちがブランデンブルク門の下を行進する姿や、帝国議会議事堂が炎上する歴史的な出来事が目に飛び込んできました。ベーベル広場での焚書事件、ユダヤ人の商店が破壊される1938年の「水晶の夜」へ、そして第二次世界大戦の瓦礫の山……。その下に目をやると、地下鉄の駅に市民が避難する様子やヒトラーが自殺した地下壕など、地下で起きた出来事まで作り込まれていました。

戦後の展示に進むと、東西ベルリンで起きたさまざまな出来事に出会います。ベルナウアー通りで壁の建設が始まった直後の緊迫した様子、有名なケネディ大統領の演説、そして東ベルリンの象徴だった共和国宮殿前のパレードなど。1989年の壁崩壊では、自分で壁を押して倒す仕掛けも施されていました。

自分でベルリンの壁を倒せる仕掛けも自分でベルリンの壁を倒せる仕掛けも

展示物は低めに設定されており、子どもが楽しめるさまざまな工夫がなされています。親子でベルリンの歴史を学べる場所ともいえそうです。もちろん、精巧なミニチュアは大人でも十分に楽しめるでしょう。

チケットは下記HPより早割で購入することが可能。また、同系列のレゴランドやシーライフ(水族館)などとの割引コンビチケットも用意されています。

リトル・ビッグ・シティ: www.officiallittlebigcity.com/berlin

 
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中村さん中村真人(なかむらまさと) 神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。現在はフリーのライター。著書に『ベルリンガイドブック』(学研プラス)など。
ブログ「ベルリン中央駅」 http://berlinhbf.com
守屋健(もりやたけし)
ドイツの自動車、ビール、そして音楽に魅せられて、2017年に渡独。現在はベルリンに居を構えるライター。健康維持のために始めたノルディックウォーキングは、今ではすっかりメインの趣味に昇格し、日々森を歩き回っている。
守屋 亜衣(もりや あい)
2010年頃からドイツ各地でアーティスト活動を開始し、2017年にベルリンへ移住。ファインアート、グラフィックデザイン、陶磁器の金継ぎなど、領域を横断しながら表現を続けている。古いぬいぐるみが大好き。
www.aimoliya.com
佐藤 駿(さとう しゅん)
ドイツの大学へ進学を夢見て移住した、ベルリン在住のアラサー。サッカーとビールが好きな一児のパパです。地元岩手県奥州市を盛り上げるために活動中。
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