まずは運転免許証をその手に
日本人がドイツでクルマを運転するには、 運転免許証(Führerschein)が必要。取得方法は下記の3つ!
1. ドイツ滞在6カ月以内であれば、なんと日本の免許証での運転が認められている。
ただし、もちろん日本語で書かれた免許証をドイツの警察官が確認できるはずはないので、必ず正式なドイツ語翻訳か、国際免許証を取得する。必要な場面では、それらをセットで提示することが義務付けられている。旅行や出張などの短期滞在予定者に最適な方法。
2. ドイツ語の免許証に書き換える。
日本の免許証を持っている人は、無試験でドイツの免許証に書き換えることができる。一度取得すれば、無期限で有効(2013年以降は有効期限が15年に)、身分証明書としても重宝するので長期滞在予定なら書き換えておこう。書き換えの条件は、基本的にはドイツ在住3年未満であること。しかし、在独中に日本で免許の更新をしていたらNGなど、ほかにも細かい条件があり、地域によっても異なるため、書き換えの手続きをする際はお近くの大使館・領事館、ADAC(ドイツ自動車連盟)に問い合わせてみよう。原則、日本の免許証と引き換えにドイツの免許証を受け取ることになるが、日本の免許証が必要な理由が認められた場合は、同時に2つの免許証を手にできる。
3. ドイツで免許証を取得する。
教習所に通い、教官のもとで運転技術と交通ルールなどの知識を学び、実技と筆記の試験に合格する。おおまかな流れは日本とほぼ同じだ。日本と違うのは、教習所に練習場がなく、生まれて初めてクルマのハンドルを握った人がいきなり公道を走り出すこと、そして実技試験で3回不合格になると永久に受験資格を失い、一生免許証を手にすることができなくなってしまうこと。なかなかシビアだ。費用は、1200ユーロ前後。テストに手間取っていると、もちろんその分高くつく。
法定速度を守りましょう
アウトバーン(高速道路)を時速200キロで駆け抜ける。そんな、クルマ好きにとっては夢のような環境がドイツにはある。とは言え、推奨速度は時速130キロ。右側通行、左ハンドルという慣れない状況下では、無理なく、安全な運転を心掛けたい。国内のアウトバーンには、夜間の照明がまったくないので、日が沈んでからの走行には特に注意が必要。追い越しや追い抜きは左側の車線から。右側から前方のクルマの前に飛び出る行為は違反となる。
アウトバーン以外の道路では、市街地の法定速度は時速50キロ、住宅地などの指定地域が時速30キロ、市街地以外の一般道路では時速100キロ。そのほか、標識の表示に注意しよう。
走行時のルールで、日本と違うことがもう1つ。踏切りの前で一時停止をしないこと。減速せずに通過しよう。遮断機が下り始めたら、もちろん停止!
ドイツでも飲酒運転はダメ!
一昔前は、ビール大国ドイツは飲酒運転にも寛容というイメージがあったが、最近では罰則が格段に厳しくなっている。まず、免許取得から1年未満の運転初心者と21歳未満の若者は、運転の際に一滴のアルコールも血中に残っていてはいけない。そして日本の飲酒運転規制と同じ0.3パーミルでは、危険運転や事故が確認された場合のみ罰金や減点が課され、0.5パーミル以上では初犯でも500ユーロ以上の罰金と1〜3カ月の免停が課され、2回目で1000ユーロ、3回目で1500ユーロと、どんどん刑が重くなる。
ちなみに、0.5パーミルという血液中のアルコール濃度に達するにはどのくらいのアルコールが必要かというと、ビール(5%)を0.5ℓ、ワイン(12.5%)を0.2ℓ、シャンパンを2杯(0.1ℓ×2)がおおよその目安。アルコール分解能力の高いドイツ人たちは、なんのこれしきと思うかもしれないが、「後悔先に立たず」が常。ドイツでも「飲んだら乗るな」を原則に!
駐車スペースの確保
クルマを購入して登録する際に、日本では必須の「車庫証明」。ドイツではこれは必要ない。路肩に豊富な駐車スペースがあり、駐車禁止区域の標識さえなければ、自宅の前に駐車すれば良いのだ。駐車スペースが少ない大都市の一部では、その地域の住人として所有できる「駐車許可証」が威力を発揮する。時間制限のある駐車スペースを利用するときは、駐車開始時間を示す「Parkscheibe」を窓から見えやすいダッシュボードの上などに設置する。
自分のクルマを自分で守る
残念ながらヨーロッパではクルマの盗難や車上荒らしなど、クルマにまつわる犯罪が多い。悪質な犯罪者たちに愛車を狙われないよう、防犯意識を日本にいるときよりワンランク高めに設定しよう。カーナビやオーディオ機器は、日本ではクルマに「標準装備」されていたりと、はめ込み式で設置されているケースが多いが、ドイツではポータブルが常識だ。クルマを離れるときは、車上荒らしに狙われやすいそれらの貴重品を持って行く。もしくは、最低でも窓の外から目につかないところに隠す。これだけでも、立派な防犯!!車上荒らしの目をくらませる作戦だ。また、当たり前のことではあるが、クルマを離れるときはカギを掛けることをお忘れなく。
チャイルドシート使用の義務
ドイツでは12歳未満、または身長150cm以下の子どもに対して、チャイルドシートの使用が義務付けられている。つまり、12歳以上であっても身長が150cmに満たない子どもには適用となる。チャイルドシート(Kindersitz)に納まらない子どもは底上げ式の補助用のシート(Sitzerhöhung)を使用し、シートベルトを装着する。
また、同乗者全員がシートベルトを着用することが徹底されているので、後部座席に座るときもシートベルトを締めよう。
環境ゾーンにご用心
2008年1月1日から20都市で始まった「環境ゾーン(Umweltzone)」。このゾーン内では、赤、黄、緑の「環境ステッカー(Umweltplakette)」を表示している自動車のみが通行可能。一定以上の有害物質を排出するクルマが、都市の中心部から完全に締め出されることになる。お住まいの街に環境ゾーンがない場合でも、目的地が環境ゾーン適用地域かどうか、チェックしてから出掛けよう。ステッカー(有料)は、認定自動車整備工場やTÜV、DEKRA、車検場で発行してもらえるほか、オンライン(www.umwelt-plakette.deなど)でも申し込める。
ナンバープレートの秘密
欧州連合(EU)で形式が統一されいてるナンバープレートからは、クルマの登録国や地域などが判別できるが、それだけではない。そこには、自動車愛好家にやさしい仕組みの秘密が隠されている。
シーズン限定で使用するクルマ Saisonkennzeichen
たとえば、オープンカーやキャンピングカーなど夏場のレジャーにのみ使用し、冬場は車庫で休ませる場合。登録時に、「○月から△月まで使いたい」と申請する。すると、利用期間分のみの税金や車検が適用されるので、だんぜんお得。2カ月から11カ月まで、フレシキブルに利用期間を申請でき、ナンバープレート上に開始月と終了月が刻印される。それ以外の期間に公道を走ることは認められない。
オールドタイマーに敬意を示す H-Kennzeichen
ヨーロッパでは、クラシックな外観をしたクルマを目にする機会が多い。それだけ、オールドタイマー(旧車)愛好家が多いのだろう。オールドタイマーの価値が認められ、国からお墨付きをもらったクルマだけが、ナンバープレートの最後に付けられる「H」の文字。「Historischer Fahrzeuge(歴史的なクルマ)」の「H」だ。製造されてから30年以上経っていること、オリジナルの状態を保っていること、通常の乗車に差し支えないことなどの条件を満たし、文化遺産的な価値が認められ、晴れてヒストリック登録されると、自動車税は一律して年間191.73ユーロに。
踏み切りが手前にあることを示す。列車が優先 | 追い越し禁止 | |||
優先道路が前方にあることを示す。徐行して進む | 駐車・停車の禁止 | |||
対向車優先 | 駐車禁止 | |||
一方通行 | 「Parkscheibe」で開始時間を示し、2時間駐車可能 | |||
乗馬専用。 その他の車両は進入禁止 | 一時優先。標識のある交差点のみ優先 | |||
車両通行禁止 | 優先道路 | |||
四輪者と自動二輪車の通行禁止 | 優先道路、終わり | |||
進入禁止 | 歩道上げ駐車 | |||
ここから環境ゾーン | ここから遊歩道。徐行して進め | |||
環境ゾーン、終わり | アウトバーン | |||
時速30キロゾーン、開始 | アウトバーン、出口 | |||
制限速度、時速60キロ | 自動車専用道路 | |||
最低速度制限、時速30キロ | 税関。国境付近にある |
編集部(編):ドイツでのマイカー生活に憧れています。でも、クルマの購入って人生の一大イベント。いやが上にも慎重になります。日本語で対応していただけるAuto-Park RATHさんでクルマを購入する際の流れを教えてください。
主濱さん(主):お客様のリクエストをもとに、オススメの車両を提案させていただきます。そこから、さらなるご要望を引き出し、我々のアドバイスを交えながら一緒にご満足いただける「愛車となる1台」を選定します。ご決断を頂ければ、その後平均1~2週間で納車。面倒な登録手続きなどもすべてサポートいたします。
編:たった1~2週間で愛車と対面できるんですね!しかも購入の流れはとってもシンプル。手ぶらでおじゃましても大丈夫そう……。
主:ご購入に関して、必要となるのは「決断する勇気」だけです。ご署名のためのボールペンは私が常に持っていますので。登録の際に必要となるのは、住民登録証と保険加入(仮加入)、銀行口座のみです。
編:ドイツではクルマの価格が日本よりも高いと聞きました。
主:これは事実です。逆を言えば「高く売れる」とも理解していただけると思います。
編:クルマは高い「価値」を持つ資産として大切にされているのですね。まさに「愛車」。日本では多いオートマ車の普及率はどれくらいですか?
主:一般にドイツでは10%未満かと思います。9月2日時点の弊社在庫は、389台中8台がオートマ車です。
編:購入に踏み切るにはドイツ滞在期間が短い、でもクルマが欲しいという人にアドバイスをお願いします。
主:安い中古車を購入されるか、もしくはリースや長期レンタルの利用が良いかと思います。もし、日本へご帰国される際にクルマの買い取りをお考えの場合は弊社にお問い合わせください。実車の査定から車両の引取り、登録抹消まで対応いたします。
編:Auto-Park RATHさんでは、中古車の取り扱いや、法人向けはもちろん、個人向けのリース・サービスもありますよね。また、ドイツの車検制度はどうなっていますか?
主:車検は新車が3年、その後は2年毎です。車検自体の手数料は平均100ユーロ程度、車検を取得するために整備や修理が必要となればプラスとなります。
編:車検の期間は日本とほぼ同じ。でも、手数料はドイツの方が格段に安く済みますね。交通事故などのトラブルに見舞われてしまった場合は、どのように対処すればよいですか?
主:救急車が必要な場合は、すぐ消防署に電話(TEL:112)を。怪我がなければ保険会社やADAC(TEL: 222222)、もしくは弊社にお電話をいただくケースも少なくありません。
編:読者の皆さん、警察の番号は日本と同じ「110」です。さて、エキスパートである主濱さんが、ドイツでの運転にオススメするクルマを教えてください。
主濱さんがお薦めする車「マツダ3」
主:僕が運転していて好きなのは「マツダ3」。運転の軽やかさ、コックピットの心地良さ、搭載装備も魅力的です。弊社ではiストップを始め、地球に優しい、安全性の高いモデルを揃えております。マツダのクルマは本当に安心して乗れますし、マツダ5(7人乗りワゴン)の機能性もドイツで高評価を得てます。信頼あるクルマとしてはスズキも同じく、電気系統、エンジン、バッテリー等の問題が少なく、愛すべきクルマです。かわいいスタイルと軽快なドライビング、値段もかわいいです。
編:ドイツでクルマを運転する醍醐味を感じる瞬間はどんなときですか?
主:街中を高速走行する時、壮大なアウトバーンを走行する時、洗車している時に、ドイツでクルマを持つ喜びを感じています。
編:う~ん。すぐにでも自分でハンドルを握ってドライブに出掛けたい!!
Auto-Park Rath GmbH
主濱 光純 (しゅはま こうじゅん)
ジャパンデスクを担当。
クルマのことなら何でもお任せできるエキスパート。
TEL: 0211-96505-34
Email:
このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
HP: www.autopark-rath-japandesk.de
Oberhausener Str. 2, 40472 Düsseldorf
TEL: 0211-96505-0 Fax: 0211-9650555
営業時間: 月~金 8:00~19:00 土曜 10:00~16:00
普段の生活にクルマは必要ないけど、旅行の足にクルマがあれば……と考えたことがある人も多いはず。鉄道もバスもほとんど走っていない場所にも魅力的な田舎街が数多くあるヨーロッパ。のんびり、自分のペースでお気に入りの荷物もたっぷり乗せて、さあクルマを走らせよう。
国 | 市街地 (km/h) | 郊外 (km/h) | 高速道路 (km/h) |
---|---|---|---|
オーストリア | 50 | 100 | 130 |
オランダ | 50 | 80 | 120 |
スイス | 50 | 80 | 120 |
チェコ | 50 | 90 | 130 |
デンマーク | 50 | 80 | 130 |
フランス | 50 | 90 | 130 |
ベルギー | 50 | 90 | 120 |
ポーランド | 50 | 90 | 130 |
ルクセンブルク | 50 | 90 | 130 |
レンタカー
希望する場所でクルマを借り、最終目的地で乗り捨てができるレンタカーは、まさに旅行者にぴったり。ドイツ国内で使用できるレンタカー大手3社の料金を検索してみました(2010年9月3日現在)。
借りる際に必要なもの
• ドイツでの運転に有効な運転免許証
• レンタル登録する人のクレジットカード
※25歳未満の方への貸し出しを制限している会社もあるので、若年層の方は一度お問い合わせください。
AVIS www.avis.de
1週間前に24時間のレンタルを予約した場合
• VW Polo:87.03ユーロ
• メルセルスベンツ Sクラス:229.83ユーロ
2週間前に1週間のレンタルを予約した場合
• VW Polo:233.99ユーロ
• メルセルスベンツ Sクラス:784.26ユーロ
※25歳以下は1日11.90ユーロの特別料金が加算される。
Hertz www.hertz.de
1週間前に24時間のレンタルを予約した場合
• Kia Rio:86ユーロ
• メルセルスベンツ Eクラス:182ユーロ
2週間前に1週間のレンタルを予約した場合
• Kia Rio:212ユーロ
• メルセルスベンツ Eクラス:489.99ユーロ
※3時間、6時間、9時間の短期レンタルサービスあり
Europcar www.europcar.de
1週間前に24時間のレンタルを予約した場合
• OPEL CORSA ECOFLEX:72ユーロ
• AUDI A8:214.80ユーロ
2週間前に1週間のレンタルを予約した場合
• OPEL CORSA ECOFLEX:323ユーロ
• AUDI A8:718.80ユーロ
※週末パケット77ユーロ~。秋の旅行に早割り33ユーロ~
リムジンサービス
ドイツで有効な運転免許証を持っていない、もしくは運転に自信がないという人でもクルマの旅を楽しむ方法がある。運転手付きのレンタカーサービスだ。特に旅行にオススメなのが、日本語ガイド付きのサービスを提供している「リムジンサービス」。ドイツの見どころに精通した名ガイドが、個人旅行を徹底サポートしてくれる。