ジャパンダイジェスト

ロンドンで、極上のティー・タイム

ロンドンでは、英国が誇る「アフタヌーン・ティー」の伝統に恥じない、おいしいスイーツに巡り合うことができる。人々に長く愛されてきた伝統的で素朴なケーキから、最新のモードを体現したおしゃれで繊細なケーキまで、シーンや目的に合わせて色々試してみたい。ロンドン観光の際はぜひとも体験したい、お茶と極上のスイーツのひととき。今一番気になる、評判のカフェを10店厳選してお届けします。

文・写真: Miki Yamanouchi

※掲載内容(営業時間、メニューなど)は季節により変更となる可能性がございますのでご了承ください。

至福のデザート・フルコースに舌鼓
William Curley

William Curley Foret Noire
Foret Noire
(デザート・バーでいただけるアラカルトのうちの1つになることも。デザート・バーは水〜日の13:00より。3コースで£15)

木漏れ日が差し込む広場に面した、チョコレート色のひさしが目印。イタリアの最高級チョコレート「アメディ」を使った、細工の美しいケーキが並ぶ。こちらのスイーツは、パティシエであり、ショコラティエでもあるウィリアムさんと寿々江さんご夫婦の出身地、スコットランドと日本の伝統が生み出すハーモニーでもある。他所では見ない、黒酢やウィスキー「山崎」のトリュフなどもいただける。

デザート・バーで饗されるアシェット・デセール(皿盛りデザート)は、注文後に作られる3点構成のデザート。プリ・デザート2品、アラカルト3品からそれぞれ1品ずつ選び、最後にプチ・フールで締める。お勧めの「Foret Noire」は、筒状にしたダーク・チョコレートをキッシュ・クリームとチョコレートのムースで満たし、ピスタチオのアイスクリームとラズベリー・ソースを添えた一品。ムースとチョコのリッチな滑らかさに、温かいソースと冷菓の温度差も絶妙な起伏ある味わいは、できたてだからこそ。

198 Ebury Street SW1W 8UN
Tel: +44(0)20 7730 5522
www.williamcurley.co.uk
月〜木 9:30-19:00 金・土9:30-20:00 日10:00-18:30
アクセス: Sloane Square駅から徒歩5分

スイーツとファッションの甘い関係
Cocomaya

Cocomaya High Tea
High Tea £25
(15:00より。要予約)

テーブルに運ばれてくるアンティークのティー・セットに心躍る瞬間、ココマヤの魔法にかけられる。ファッション界のビッグ・ネームが立ち上げたブティック・ベーカリー、そのエッセンスが詰まった3段トレーの「High Tea」は、乙女が夢見るお茶会を絵に描いたよう。花が散りばめられたトレーには、バラの形が愛らしいミニ・ローズ・ケーキがちょこんとお座り。昔風のドロップ・スコーンには、シェリー・グラスに入ったクリームとジャムがお供している。パンもジャムも手作りだが、特にサンドイッチに使われているナッツ入りのパンは、日本でも人気のケーク・サレ(塩味のケーキ)そのものの注目の味だ。

素朴なケーキと華麗なティー・セットのバランスがおしゃれな、スイーツ・ファッションとも呼ぶべきデザートを提供するこちらのカフェは、それでいてご近所さんと店員が親しく挨拶を交わす、肩の凝らないフレンドリーな空間でもある。「High Tea」でサーブされるケーキは個別に買うこともできる。

12 Connaught Street W2 2AF
Tel: +44(0)20 7706 2883
www.cocomaya.co.uk
月〜土 10:00 -19:00 日11:00 -18:00
アクセス: Marble Arch駅から徒歩10分

華やかエリアのニューフェイス
Lanka

Lanka Green Tea Strawberry Cake
Green Tea Strawberry Cake
£3.80

「温かみのある、ヨーロッパらしいケーキを作っていきたい」というオーナー兼フレンチ・シェフの羽良さん。ミシュラン・レストランで研鑽を重ねた彼が、昨年オープンしたのがランカだ。周辺はおしゃれな店が立ち並び、そぞろ歩くのも気持ちいい。モンブランやマカロンなど30種以上のスイーツが揃う。クレーム・ブリュレは注文があってからカラメリゼするなど、こだわりある食への姿勢はケーキにも表れている。

店名は紅茶の国スリランカから取ったというだけあってお茶も充実。オリジナルのフレーバー・ティーは3種類で、お勧めの「Royal Delight」は、自然なイチゴの香りの後に茶葉のしっかりした味わいが口中に広がり、印象深い。看板ケーキの「Green Tea Strawberry Cake」は、イチゴと抹茶のスポンジ、ホワイト・チョコレートのクリームという極上のトリオが楽しめる。プリムローズ・ヒルはすぐそば。おいしいケーキで一服したら、丘に登ってロンドンを見晴らしたい。

71 Regent's Park Road NW1 8UY
Tel: +44(0)20 7483 2544
www.lanka-uk.com
火〜土 9:00 -18:30 日 9:00 -17:00 月曜定休
アクセス: Chalk Farm駅から徒歩7分

滋味ある素材の力をモダン・スタイルで
Ottolenghi

Ottolenghi Passion Fruit Meringue Tart £ 3.70
Passion Fruit Meringue Tart
£3.70

うずたかく積まれたメレンゲ菓子の甘い姿に惹かれるように、ケーキを求める客が後を絶たない。朝のペストリー&コーヒーから夕食後のデザートまで、奥の大テーブルでいつでも気軽にいただけるのも、人々に愛されるゆえんだ。エキゾチックなスパイスや材料を取り入れたデリの食事は、栄養のバランスが取れたサラダも多く、甘いものを食後にいただいても罪悪感なし。

厳選された素材の良さがルックスににじみ出るようなスイーツの中でも、きつね色の尖ったメレンゲ帽子がキュートな「Passion Fruit Meringue Tart」は、ケーキ・カウンターの最前列を飾る人気者だ。ベストセラーの同店レシピ・ブックにも掲載されず、作り方は非公開というのも、来店したくなる理由だろう。一口含むと、メレンゲの柔らかさとフルーツ・ソースの種の歯触りが楽しく、ほろりと崩れるデリケートなタルトも絶品。ミルクなしのストレート・ティーと一緒にいただくと、フレッシュな南国フレーバーがより引き立つはず。

63 Ledbury Road W11 2AD
Tel: +44(0)20 7727 1121
www.ottolenghi.co.uk
月〜金 8:00-20:00 土8:00-19:00 日8:30-18:00
アクセス: Notting Hill Gate駅から徒歩10分

ロンドンっ子も夢中、ポップなアメリカン・ケーキ
The Hummingbird Bakery

The Hummingbird Bakery Red Velvet Cupcake
Red Velvet Cupcake £2.35

すべてのケーキ・レシピがアメリカン、というこちら。米国らしい、アイシングがたっぷりの、甘く、ポップな仕上がりがラブリーの一言だ。ビッグ・サイズのブラック・コーヒーと合わせて、パンチのある味を楽しもう。キーライム・パイや、パンプキン・パイ、バナナ・クリーム・パイなどのアメリカン・パイはもちろん勢揃いで、ホール・ケーキも3段レイヤーのヘビー級だ。

人気のカップ・ケーキは定番の4種類のほかに、抹茶やアール・グレイ、フルーツ・ティーなど曜日ごとに変わるフレーバーもあり、カップ・ケーキ好きなら毎日1つずつ制覇したくなるかも。赤いスポンジが鮮烈な「Red Velvet Cupcake」と、チーズ・ケーキが真ん中に入ったダーク・チョコレート味の「Black Bottom」は、大人がおしゃれに楽しめるスイーツ。女友達と待ち合わせして、ベルベットのスツールに足を組んで座れば、スタイリッシュな米ドラマ・シリーズ、「セックス・アンド・ザ・シティ」の主人公、キャリーになった気分だ。

47 Old Brompton Road SW7 3JP
Tel: +44(0)20 7851 1795
www.hummingbirdbakery.com
月〜木・日 9:00 -19:00 金・土 9:00 -20:00
アクセス: South Kensington駅から徒歩3分

研ぎ澄まされた感覚はケーキにも
Rose Bakery

Rose Bakery Carrot Cake
Carrot Cake £4

食にうるさいパリっ子をうならせ、英国発のカフェとしてパリでも成功しているローズ・ベーカリー。ファッション・デザイナー、川久保玲が率いるセレクト・ショップ・ビルの最上階にあり、昼時になると最新モードに身を包んだ若者や服飾関係者が、ランチにやってくる。ケーキやキッシュ、サラダなどが楽しめるが、ベーカリーというだけあって、目の前の特大オーブンで次々と焼き上がるスコーンやパウンド・ケーキが、カウンターにずらりと並ぶ様子は壮観。どれも黄金色にしっかり焼き込まれ、シンプルな粉のおいしさと香ばしさが伝わってくるようだ。

看板ケーキの「Carrot Cake」は胡桃がざっくり入り、にんじん入りの生地ならではのしっとり感に、スパイシーなシナモンの香り。かなり甘さを控えめにしたクリーム・チーズのアイシングが、たっぷりとトッピングされている。ミニマムで抑えめなのにエッジー。洗練されたセンスは、ファッションのみならず味覚にも表れているようだ。

Dover Street Market, 17-18 Dover Street W1S 4LT
Tel: +44(0)20 7518 0680
www.doverstreetmarket.com
月〜土 11:00-17:00 日休
アクセス: Green Park駅から徒歩3分

歩き疲れたら、おいしくリフレッシュ
Brompton Quarter Cafe

Brompton Quarter Cafe Seasonal Fruit Clafouti
Seasonal Fruit Clafouti £4.75

デコラディブなシャンデリアが天井高く吊られ、マフィンやクロワッサンが並ぶ総ガラス張りの一角が、道ゆく人々の視線をキャッチする。光が降り注ぐ一階の白い空間は、デリ仕様のカフェ・スペース、地階はフォーマル・レストランになっている。ガラス・ケース越しの色とりどりの総菜と、デザート・カウンターに並ぶタルトやホール・ケーキを目の前にすると、ポッシュなフード・マーケットに来たかのよう。自然史博物館やV&A博物館の斜め前にあり、ハロッズなどのデパートからも近いので、買い物などで歩き疲れた脚を休ませに立ち寄りたい。

「Seasonal Fruit Clafouti」は、タルト生地に入ったカスタードのフィリングに、たっぷり散りばめられたブルーベリーがフルーティーな、ホッとする味わい。ほかに、マスカルポーネのチーズ・ケーキ、塩キャラメルのタルトなど常時7種類ほどのケーキが並ぶ。リクエストすれば果物や野菜を自由にミックスしてもらえるスムージーもあり、リフレッシュにぴったりだ。

225 Brompton Road SW3 2EJ
Tel: +44(0)20 7225 2107
www.bqbrasserie.com
月〜日 7:30-23:00
アクセス: Knightsbridge駅から徒歩5分

ちょっぴりデカダンに、優雅なお茶を
Sketch

Sketch Seasonal Fruit Clafouti
Tangy Pate au Choux £5

ポップ・アートとヴィンテージの室内装飾が混在するインテリア構成で、アート・ギャラリーも顔負けの店内。入ってすぐ右手が、お茶を楽しめるパーラーだ。アートな照明で夜の雰囲気を醸し出す奥の空間と、賑やかなファブリックが自然光に映える窓際エリアがあり、気分によって使い分けてみたい。席に着くと、骨董本に挟まれたメニューというプレゼンテーションにまずうっとり。

看板ケーキのページには、素朴なケーキからはかけ離れた、説明書きを読むだけで期待に胸が膨らむ斬新なケーキがずらり。1つだけなんて言わず、友人といくつか注文して気ままにテイスティングしてみたい。こんもりと盛られたホイップ・クリームが愛らしい「Tangy Pate au Choux」は、軽いシューとリッチなクリームの甘さの中に、レモン・クリームとマンゴーのゼリーのシャープな味わいが個性的。バラ模様のティー・セットと行き届いたサービスに、優雅なプリンセスのように永遠にお茶をしていたくなる。

9 Conduit Street W1S 2XG
Tel: +44(0)20 7659 4500
www.sketch.uk.com
月〜金 8:00-2:00 土10:00-2:00 日休
アクセス: Oxford Circus駅から徒歩3分

懐かしい甘さに、心ほどける安らぎの時間
Louis Patisserie

Louis Patisserie Tiramisu
Tiramisu £3

ウッド・パネルの壁とモカ色のソファ、額に飾られた絵までもが懐かしい気分にさせる店内。空気の流れも一気にスロー・ダウンし、窓越しのざわめきが嘘のようだ。こっくりした味のバター・クリームのケーキ、ペストリー、クッキーなどショー・ケースに並ぶスイーツは、オーナーのルイスさんが地下のキッチンで焼き上げている。

お茶を注文すると、1人分でもカップとポット、差し湯、ミルクに茶こしのセットがトレーで運ばれてくるので、素敵なティー・タイムが過ごせそう。ケーキは大きく、ゆっくり休憩してね、というメッセージが込められているようだ。「Tiramisu」はマスカルポーネ・チーズのクリームとモカ・クリームがバニラ・スポンジの層に重なったものだが、こちらのものは重くないので、昼下がりのひとときにいただくのにぴったり。ハムステッド・ヒースを散歩した後、ハイ・ストリートの坂を駅に向かいショッピングを楽しみつつ、こちらで休憩するのがお勧めだ。

32 Heath Street NW3 6TE
Tel: +44(0)20 7435 9908
月〜日 9:00-18:00
アクセス: Hampstead駅から徒歩2分

「さりげないおいしさ」が落ち着く
London Review Cake Shop

London Review Cake Shop Lemon, Rosemary &  Olive Oil Cake
Lemon, Rosemary &
Olive Oil Cake £2.80

文芸評論誌が経営する書店が2007年に併設したカフェは、本好きのみならず甘いもの好きにも評判に。大英博物館そばの落ち着いたエリアにふさわしく、ゆったりと活字に親しむ人も多い。注文して席に着くと、まず水をサービスしてくれるのもうれしい。ゆっくりとお茶をしながら、久しぶりに手紙などしたためたくなる。入り口は別だが、中で書店と繋がっているので、気になる本を持ち込んだり、カフェの棚にある話題本を手に取ったりと、ロンドンの最新文学事情をキャッチできる。

ケーキの種類は日によって変わるが、人気なのはバターの替わりにオリーブ・オイルを使い、レモンとローズマリーの風味を効かせたケーキ。夏のイタリアの木陰を思わせる爽やかさがうけ、定番になったスイーツだ。お茶は、湯を注ぐと閉じていた花が開く中国茶など、25種類を数える。キャロット・ケーキやアップル・パイなど、ほかにも誘惑がたくさん。のんびりしていたら、思わず2つめに手が伸びそうだ。

14 Bury Place WC1A 2JL
Tel: +44(0)20 7269 9030
www.lrbshop.co.uk/cakeshop
月〜土 10:00-18:30 日休
アクセス: Holborn駅から徒歩5分


ロンドンのスイーツ・カフェ地図

 
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