欧州の優等生と言われるドイツ人が生み出すメイド・イン・ジャーマニーの魅力を見直そうと、
こだわりの製品を探し続ける『独国製品愛好会』。
第5回目となる今回は、少し趣向を変えて
ドイツのアニメキャラクターに焦点を当ててみましょう。
ドイツは、アニメ大国に育った日本人から見ると、何とも不思議な魅力を持つ、
個性豊かなキャラクターの宝庫です。
(Text by Megumi Takahashi)
マウスと一緒
Die Sendung mit der Maus
1971年の放送開始から、今年でちょうど40周年。ドイツの子どもたちにとっては、ミッキーマウスよりも愛すべきネズミの「マウス」。マウスが、彼よりも小さなゾウの「エレファント」、アヒルの「エンテ」と共に日常にある小さな謎や問題を解いていく様子は、なんだかほっこりと心を温めてくれる。エレファントやエンテに対し、兄のようなやさしさをみせるマウスは、言葉は発しないけれど、素朴な効果音と豊かな表情で語りかけてくる。2005年には日本でもNHK 教育テレビで放映された。
ヤーノシュの愛すべき動物たちと
Tigerente
ドイツ人児童作家ヤーノシュの絵本シリーズは、自由なタッチと鮮やかな色彩で描かれた愛らしい動物たちが、人生の喜びや大切なものをそっと教えてくれる。代表作は「Oh, wie schön ist Panama」。パラダイスを探しに旅に出るトラ君とクマ君の話で、日本語版のタイトルは「夢みるパナマ」。寂しがりやでちょっぴりワガママなトラ君を嫌な顔ひとつ見せずに全力でサポートするクマ君の優しさは脱帽もの。今年、トラ君の大のお気に入りのトラアヒル(Tigerente)が誕生30周年を迎えた。
ベンヤミン・ブリュームヒェン
Benjamin Blümchen
ハスキーボイスが魅力のしっかり者、ゾウのベンヤミン・ブリュームヒェン。心ある町の住人からは「Herr Blümchen(ブリュームヒェンさん)」と呼ばれ、慕われているが、度々いじわるな大人たちが登場し、彼を困らせる。大人たちが物欲や権利欲などに囚われる中、物事の本質を見極め、それを大切にしようとするベンヤミン。親友のオットーは10歳の少年だが、物語の中で様々な職業に扮して活躍するベンヤミンをしっかりサポートしている。テレビ版では、心配性のカラス、ガリバーも登場。
みつばちマーヤの冒険
Die Biene Maja
「みつばちマーヤ」というと、日本で観た記憶があるという人もいるかもしれない。これ、原作はドイツ人作家ヴァルデマール・ボンゼルスによるもの。それを1975年、日・独・墺で共同制作したのが、「Die Abenteuer der Honigbiene Maja(みつばちマーヤの冒険)」。アニメーションを作ったのは日本サイドのため、なるほど1970年代の日本アニメの雰囲気を持っている。好奇心旺盛なマーヤは今でも人気者。フランクフルト近郊の「ホリデーパーク」で毎日子どもたちを待っている。
マインツ生まれの小人たち
Mainzelmännchen
公共放送ZDF が本拠地を置く街マインツで生まれた、同局のシンボル的存在「マインツェルメンヒェン」。アントン、ベルティ、コンニ、デット、エディ、フリッツヒェンの6人組で、それぞれ個性や得意分野がある。以前はみんな帽子をかぶっていたが、2003年に服装をリニューアル。一見してキャラクターを識別できるようになったと評判だ。番組と番組の間の時間帯につなぎ役として登場する彼ら、天気予報の前に登場すると、なんだか日本の「ヤン坊マー坊、天気予報!」を彷彿とさせる。
http://mainzelmaennchen.zdf.de
ミヒャエル・エンデの名作
Jim Knopf
世界中でカリスマ的人気を誇るミヒャエル・エンデの処女作「Jim Knopf und Lukas der Lokomotivführer(ジム・ボタンの機関車大冒険)」。主人公のジム・ボタンは、「居間くらいの大きさの島」にあるルンマー国に小包郵便で届いた黒人の男の子。しかし小さな国では、新しい国民を歓迎することができない。そこでジムは、機関士ルーカスと機関車エマと共に島を出る決意をし冒険の旅に出る。ジムのモデルは、19世紀の英国に実在したジェミー・バトンという黒人の少年と言われている。
一緒に成長するコンニ
Conni
Conni Klawitter(コンニ・クラヴィッター)は、1992年に誕生した絵本のキャラクター。当初は幼稚園に通う3歳という年齢設定だったが、そこから年々成長し、今では9歳。10歳以上向けのシリーズ「Conni & Co」では、10歳になっており、ギムナジウムに通う。相変わらず、赤と白のストライプの服がお気に入り。3歳の頃からの親友アンナとはずーっと仲良し。でも、お隣さんのパウルはだんだん男の子とばかり遊ぶようになっていく・・・・・・などなど、年齢を重ねて変化していく人間関係に注目。
魔女っ子ビビ
Bibi Blocksberg
主人公の少女ビビ・ブロックスベルクは13歳。一見普通の女の子だが、実は魔女。1997年にアニメ版がスタートし、それ以降、何度も復活しながら今に至るまで子どもたちに愛され続けている。2002年、06年には実写映画化もされている。ビビは、同じく魔女の友達と力を合わせながら事件を解決したり、魔女修行を続ける。ビビのお転婆っぷりは、どこか魔女っ子メグに似ている。原作者は英国出身の作家、エルフィー・ドネリー。ドイツで活動していた彼女は、ゾウのベンヤミン・ブリュームヒェンも同時期に生み出した。
正義の味方、ドラゴンのタバルーガ
Tabaluga
小さな緑のドラゴン、タバルーガは7歳(ドラゴンの1歳は、人間の100歳に相当する)。悪を憎み、いつでも森の仲間を助けるスーパーマンのような存在。生みの親は、ロック歌手のペーター・マッファイ。彼が1983年から手掛けたコンセプトアルバムは「メルヘン・ロック」の様式をとっており、歌詞でストーリーを語っていた。そのアルバムがヒットしたことをきっかけに、タバルーガは音楽の世界から、テレビアニメや絵本、ミュージカルの世界に飛び出し、表現スタイルを変えながら子どもたちに愛され続けている。
眠りを誘う精
Sandmännchen
ドイツの民話の中には、魔法の砂を人々の目に振り掛け、眠りを誘うザントマン(砂男)という妖精がいる。サンドメンヒェンは、1959年に東ドイツで生まれたキャラクター。人形を使ったストップモーション・アニメーションが、なんとも味のある、やさしい雰囲気を醸し出し、子どもたちに就寝の時間を告げる。実は、西ドイツにもザントマンのアニメーションが存在したのだが、その風貌は配達に来た白ひげのおじさんといった感じ。可愛らしさで東ドイツに軍配が上がり、1991年からはドイツ全土で放送されている。
かなり毒舌なパン
Bernd das Brot
ドイツはパンの国。もちろん、パンのキャラクターもいる。その代表格がベルント君。低い声でぼそぼそと話し、“Misst(やっちまった)”と悪態を付く、なんとも目つきの悪いこのキャラクターがドイツでは大人気だと言うのだから、なかなかきわどいセンスをしてるなと思うものの、なぜか憎めない。番組の進行にいちいち文句をつける根暗&コンプレックスの塊というベルント君。きっと、パン仲間として日本のアンパンマンや食パンマンと共演しても、テンションが違い過ぎて友達にはなれなさそう。
いたずら大好き
Pumuckl
赤い髪のPumucklは、いたずら大好き、ネコとチーズが大嫌いという妖精。ある日、家具職人のフランツ・エダー氏に見付かり、妖精の規則により彼の側で暮らすことに。ほかの人にはPumucklの姿が見えないため、飲み仲間のベルンバッハー氏や掃除婦のアイヒンガーさんは、エダー氏がボケてしまったのではと心配する。最初はいたずら好きなPumucklに手を焼いていたが、徐々に彼を教育する喜びに目覚めるエダー氏。テレビでは、実写版ドラマの中で主人公のPumucklだけがアニメとして描かれている。
日本へのお土産に、味のあるドイツのキャラ クターグッズはいかがでしょう? テディベア の老舗「シュタイフ(Steiff)」とまで気張ら なくても、愛嬌のあるキャラクターがそこか しこの雑貨売り場であなたを待っています。
東ドイツ生まれの人気者
「アンペルマン」 Ampelmännchen
日本でも抜群の知名度を誇る「アンペルマン」、元々は旧東ドイツ地域の歩行者用信号機のランプにデザインされた人型のキャラクター。ドイツ在住の方なら、旧東ドイツ地域ではこのアンペルマンが今もなお現役で路上の安全のために活躍していることをご存知のはず。男の子が多いが、女の子バージョンもあり、ベルリンには専門店もある。http://ampelmann.de
ふわふわの動物たち
Nici
肌触りの良い、ふわふわのキャラクターが勢ぞろいするNici は、子どもを想うプファッフ夫妻が、安全を第一に考えて作ったもの。癒し系のかわいらしいさを兼ね備えた、ぬいぐるみなど布製のアイテムは丸洗いもOK。季節ごとに新しいデザインが登場し、子どもたちの、そしてコレクターの関心を引き続けている。www.nici.de
ひつじが1匹、ひつじが2匹
Sheepworld
1997年、シュテファニー・レルツが生み出したキャラクター。感謝や愛情の気持ちがこもったメッセージと共に描かれるひつじたちは、ドイツの雑貨屋さんで手軽に入手できる人気者。もじゃもじゃの毛と、素朴な表情がチャームポイントで、食器類や文房具、ぬいぐるみまで、豊富なアイテムが揃う。http://sheepworld.de
ネズミのディディル
Diddl
1991年、ドイツの文具メーカーのディペッシュ社からポストカードとして登場したハツカネズミのディディル。生みの親はイラストレーターのトーマス・ゴレッツで、以降20年間、欧州各地で人気を集めている。大きな足がチャームポイント。恋人のディディリーナや仲間たちと共に様々なグッズに描かれている。www.diddl.de
ハリボのベア
HARIBO Goldbär
クマのキャラクターが多く存在するドイツ。その中でも一際有名なクマの1匹にハリボのゴールデン・ベアを挙げたい。当初、「踊るクマ(Tanzbären)」と呼ばれていたこのクマは、ハリボの定番商品の看板を背負うシンボル的存在。キャラクターグッズをグミとセットにして、ハリボ好きな友人へのお土産に。www.haribo.de
ドイツのキャラクターと出会う
テレビ KI.KAやTELE 5など、 各局にチャンネルを合わせて |
本屋 Mayerscheなど、 お近くの本屋さんで |
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オンライン 各ウェブサイト、 www.amazon.deなど |
大手デパート お近くの、KARSTADTやKAUFHOFなど |