暖かくなり、外出するのが楽しくなってきたこの季節。
それは、ドイツ各地で開催される音楽祭の始まりを意味します。
解放感溢れる野外コンサートに出掛けるも良し、
おめかしして夜の音楽祭を訪れてみるのも良し。
楽しみ方は人それぞれ、自由自在です。
今回は、クラシックからジャズ、ロックまで、
あらゆるジャンルの音楽祭を一挙にご紹介します。
(編集部:山口 理恵)
国際アカペラ週間
14. Internationale A-Capella-Woche
期待の新星を発掘しつつ、アカペラ界で名を馳せるグループの歌を1週間にわたって披露する。楽曲のジャンルは聖歌からポップ、ダンスミュージックまで多岐にわたり、今年も様々な国からアーティストが参加する。目玉は米国のニューヨーク・ポリフォニー。中世の宗教曲を得意とする4人の正統派アカペラグループのハーモニーを、この機会にぜひ。
ルール・ピアノ・フェスティバル
Klavier-Festival Ruhr
ルール地方各地で開催される音楽祭は、毎回、ライヴ演奏を収録したアルバムが発売されるほどの人気。その理由は、参加する著名なゲストの顔ぶれにある。今年は中国のラン・ラン(5月16日)や、1996年以来、毎年、別府アルゲリッチ音楽祭を開催しているマルタ・アルゲリッチ(7月11日)が参加する。豪華なピアニストがそろうぜいたくな音楽祭。
エルプジャズ・フェスティバル
ELBJAZZ Festival 2014
爽やかな初夏の風を感じながら、野外でジャズを楽しめる2日間。今年は、日本でも話題のダニエル・グラッツェル率いる19人のジャズバンド、アンドロメダ・メガ・エクスプレス・オーケストラがベルリンから参加。聴き逃せないのは、米音楽界最高峰のグラミー賞でベスト・ジャズ・ヴォーカル・アルバム賞を受賞したグレゴリー・ポーターの歌声だ。
モーツァルト音楽祭
Mozartfest Würzburg
歴史的にオーストリアのザルツブルク音楽祭と双璧をなす音楽祭。今年もレジデンツの庭園で開かれる無料の"Mozart-Tag"を皮切りに、盛大に開催される。レジデンツのカイザーザール(皇帝の間)には、バイエルン放送交響楽団と、世界的に有名なクラリネット奏者で作曲家でもあるヨルク・ヴィトマンを迎え、モーツァルトの美しい旋律が奏でられる。
ロック・アム・リング
Rock am Ring 2014
サーキット内で開催される、欧州最大級のロックフェスティバル。今年は約85組のバンドが参加し、世界中で圧倒的な人気を誇るリンキン・パークや、多国籍パンクバンドのゴーゴル・ボルデロなどが、会場を熱狂の渦に巻き込む。日本からは大阪出身のメタルコアバンドCrossfaithが、ワールドデビューアルバム「APOCALYZE」を引っ提げて参加する。
ライプツィヒ・バッハ音楽祭
Bach Festival Leipzig
今年はヨハン・セバスチャン・バッハの次男、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハの生誕300年という記念年。プログラムは、彼と代父ゲオルク・フィリップ・テレマン、父バッハの作品で構成され、後世の音楽家に影響を与えた彼の古典派音楽の価値を再認識できる。ゲストには、カナダからターフェルムジーク・バロック・オーケストラを招へいする。
メクレンブルク=フォアポンメルン音楽祭
Festspiele Mecklenburg-Vorpommern
3カ月にわたり開催される当地の音楽祭は、州内69カ所の会場に約270組のアーティストを迎え、盛大に催される。中でも注目なのは、飛び抜けた技巧、芸術的センスを併せ持つ、今世紀最大の天才ピアニストと称されるイゴール・レヴィット。ドイツ・カンマー・フィルハーモニー管弦楽団やベルリン・ドイツ交響楽団などとの共演が予定されている。
ラインガウ音楽祭
Rheingau Musik Festival
1988年から続く、ライン河畔の町々で開催されるこの音楽祭は、有名な演奏家が登場することで有名。今回は、デュイスブルク生まれの正統派バイオリニスト、フランツ・ぺーター・ツィマーマンや、現役ピアニストの中で最も高い評価を得ているイタリアのマウリツィオ・ポリーニのパフォーマンスが楽しめる。45の会場で全159のコンサートが催される。
www.rheingau-musik-festival.de
ヴァッケン・オープン・エア
Wacken Open Air
世界最大のハードロック&ヘビーメタル・イベントは、北部の小さな町ヴァッケンで毎年開催され、今年で25回目。地元のバンドSKYLINEが町おこしとして始め、今でも地域の住民が一丸となって支え続けているフェスティバルだ。参加バンド数は約70組に上り、前夜祭の前夜祭が開催されるなど、ファン待望の一大イベントが今年も畑のど真ん中に現れる。
ネイチャー・ワン
Nature One - The Golden 20
エレクトロ系やダンスミュージックで人気の音楽祭。観客動員数は年々増え続け、昨年は6万4000人が訪れた。照明技術も見どころで、野外に設置された会場では、ステージごとにハードコア、ハウス、テクノ、トランスと、それぞれ違ったライヴが楽しめる。参加DJは約70組で、日本からは東京を中心に活躍するカツ・アライ氏がテクノ・フロアに登場する。
キームゼー・サマー
CHIEMSEE SUMMER
ブラック、レゲエ、ポップと多彩な音楽が楽しめるフェスティバルには、5日間の期間中に100以上のバンドが登場。レゲエ界からは、65歳の現在も現役で活躍するジミー・クリフが、ドイツのシンガーソングライターで、ヨーロッパ版グラミー賞・エコーでベスト・ミュージック・ビデオ賞にノミネートされたボッセも登場。自分の好みの音楽を開拓できるかも。
ベルリン野外オペラ「魔笛」
Open Air in der Waldbühne Berlin: Die Zauberflöte
毎年恒例、一夜限りの夏の野外オペラで、今年はモーツァルトの「魔笛」が上演される。ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団やコーラスとともに、悪人ザラストロ役で登場するのは、ドイツ内外で引っ張りだこのバリトン歌手アンテ・イェルクニカ。劇場に引けを取らない大掛かりな演出に加え、夕暮れ時の野外オペラは、背景の自然と相まって迫力満点。
リヒャルト・シュトラウス・フェスティバル
Richard Strauss Festival 2014
Richard Georg Strauss
1864–1949
ミュンヘンに生まれ、宮廷歌劇場の首席ホルン演奏者であった父親の影響で、子どもの頃から英才教育を受ける。6歳で作曲を始め、学生時代にはソナタやオーケストラの楽曲に着手した。生涯で手掛けた作品にはオペラが多く、ドイツの後期ロマン派を代表する作曲家として偉大な功績を残した。
2014年6月11日(水)~19日(木)
リヒャルト・シュトラウスが、死去するまでの40年間を過ごしたガルミッシュ=パルテンキルヒェンにおいて、生誕150年を記念した盛大な音楽祭が催される。プラハ放送交響楽団がオープニングを飾り、期間中は様々なアーティストによるコンサートも開催される。
www.gapa.de/Richard-Strauss-Festival