きらびやかなお味はザクセン王室御用達
ドイツの東側に位置する古都、ドレスデン。エルベ川の畔にバロック様式の壮麗な宮殿や教会、商館が並ぶ。第二次世界大戦末期の大空襲で街の85%が破壊されたが、東西統一を経て原型に忠実に再建された。ドレスデンは17世紀末に王位に就いたアウグスト1世(アウグスト強王)のもと、ザクセン王国の首都として全盛期を迎える。
「ツヴィンガー宮殿」や「ドレスデン城」の内部は博物館として公開されており、その規模の大きさと、豪華絢爛な建築や財宝の数々は圧巻だ。街には、マイセン陶磁器による100メートルもの壁画「君主たちの行列」、美しさと音響の良さで知られる「ザクセン州立劇歌劇場」、戦後60年の歳月を経て蘇った「フラウエン教会」など、見どころが多い。夕闇が迫るころ、エルベ川岸を散策してみよう。川面に映りこんだ灯りが街を幻想的にきらめかせ、息をのむ美しさだ。このドレスデンで愛されているビールがラーデベルガー醸造所の「Radeberger Pilsner」だ。この醸造所は1872年にドレスデンの北西にあるラーデベルクの町で創業したZum Bergkeller醸造所が前身だ。ピルスナービール発祥の地であるチェコのボヘミア地方に近く、同醸造所がドイツで初めてピルスナーを造ったとも言われている。当時、革新的な味であったピルスナーは数々の権力者や著名人にも愛された。ドイツ帝国の鉄血宰相として知られるビスマルク・オットーは、公式に「宰相のビール」と名付けている。またザクセン王、フリードリヒ・アウグスト3世は1905年に「ザクセン王室御用達ビール」として採用した。このことからボトルネックには、ザクセン王家の紋章が入っている。
それ自体が光を発しているかのような鮮やかな黄金色。舌の上で弾ける細かな炭酸と、ホップの爽やかな苦みは、まさに王宮の食卓を飾るにふさわしい上品な味わいだ。