ドイツ人のサッカー好きは世界的に有名で、その大騒ぎぶりは時として悪名高い。ドレスデンにも、1950年創設のサッカーのクラブチーム「デュナモ・ドレスデン(Dynamo Dresden)があり、東ドイツ時代には8回のDDRオーバーリーガ(旧東ドイツの1部リーグ)優勝を果たした強豪だったのですが、現在はブンデスリーガ3部に属しています。クラブカラーは黒と黄色、そしてちょっと弱いダメクラブ、しかしそれを支える熱心なサポーターたち……と、日本人にはどこかお馴染みで、親しみさえ感じてしまうチームです。しかし、サポーターたちの熱い思いは度を越えることが多く、試合がある日には朝からヘリコプターが飛んでパトカーが走り回るほか、普段もデュナーモ・グッズであるマフラーをフロントガラスに貼り付けている車をよく見かけます。
ノイシュタット側にあるアウグスト強王の黄金の騎馬像近くには、ドレスデン・サッカーミュージアムがあります。デュナーモの大ファンであるイェンス・ゲンシュマー氏が2006年にオープンしたミュージアムで、彼がドレスデンのサッカー史をテーマに、過去20年にわたり収集してきたコレクションが展示されています。この町に初めてクラブが創設された1898年以来のサッカーにまつわる展示品は、4000部のプログラムや100枚のペナントのほか、数え切れないほどのピン、写真、トリコット、優勝カップ、旗、新聞など膨大で、100年以上にわたってドレスデン市民に愛されてきた様子が伝わってきます。
マスコットのクマ「ボンメル」
ミュージアムにはショップも併設されており、デュナモのグッズが買えます。ビールグラスやマグカップ、灰皿、キーホルダーといった定番を始めとした、デュナーモづくしとも言えるほどの商品の多さに圧倒されてしまいます。中でもユニークなのは哺乳瓶、おしゃぶり、ヨダレかけ、ベビー服などのベビー用品で、これらを使って育つ子どもたちは将来、筋金入りのデュナモファンになること間違いなし。マスコットのクマ「ボンメル(Bommel)」君はここ4~5年で新しく登場したもので、子ども向けだそうです。このショップの売れ筋商品は、マストアイテム的存在であるマフラーやTシャツ、DVDとのこと。ちなみに私は、2人の娘のためにおしゃぶりを買ってみました。また一歩、ドレスデン人に近づいたでしょうか。
サッカーの歴史が詰まったミュージアム
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/