ヴィンテージとは、もともと「ぶどうの収穫」のこと。通常は「収穫年」という意味で使われています。ドイツ語では、人間の「誕生年」と同じ「ヤールガング(Jahrgang)」という言葉を使いますが、ワインの誕生年であることをはっきりさせるため、「ヴァイン・ヤールガング」と言うこともあります。ドイツワインは、ご存知のように、ほとんどがヴィンテージワインです。
ゼクトの場合は通常、複数のヴィンテージがブレンドされていますが、醸造所元詰めのヴィンツァーゼクトは、ヴィンテージ表記のものが増えています。
「偉大なるヴィンテージ」と言われる年は、ドイツでも1970年代頃までは、10年に2、3回あるかないかでした。当時は気候が冷涼すぎたせいもありますが、収穫方法や醸造方法が現在のように進んでいなかったことも関係しています。
しかし、1990年頃を境に状況は変わってきました。今のところ、温暖化に向かっているらしき気候が、ぶどう栽培の味方をしてくれているのです。加えて造り手も、いかなる悪条件下であっても、その年最高のワインを造ろうと意気込み、収穫時に品質の劣るぶどうを思い切って排除し、完璧なぶどうだけを使用してワインを造っています。そのため、ヴィンテージによる品質の差は小さくなっています。
軽快なクヴァリテーツワインは、3年から5年くらいで飲み切ってしまうものですので、さほどヴィンテージにこだわる必要はありませんが、カビネット以上のリースリングや、高級甘口ワイン、重厚なシュペートブルグンダーなどを長期保存する場合には、ヴィンテージにちょっと気をつけてみてください。
それぞれのヴィンテージの飲み頃は、専門誌などのヴィンテージチャートで確認するのが良いでしょう。ただ、地域差がありますので、地域ごとのヴィンテージの特徴が詳しく書いてあるものを参考になさってください。専門店でもヴィンテージ情報は得られます。
一番良いのは、どれくらい保存が可能か、造り手から直接情報をもらうことです。造り手から「これは、なるべく早めに飲んだ方がいい」となどといったアドバイスをもらったら、覚えておきましょう。とはいえ、ワインは一期一会の飲み物。購入したワインをいつ、どのような状況で、誰と飲むかといったシチュエーションは無数にあります。さほど評価の高くないヴィンテージのワインを、もう飲み頃は過ぎているだろうと思った頃に開けてみたのに、とても美味しく飲めることがあります。プロの造り手でさえ、そういった体験をしているのですから、あまり肩肘張らずに、気軽に楽しんでください。
(ヴュルテンベルク地方)
大衆的赤ワイン、トロリンガー種の産地として知られるヴュルテンベルク地方で、常に高品質のワインを造り出しているヴェアヴァーグ醸造所。オーナーで醸造家のハンス=ペーター・ヴェアヴァーグはドイツ各地、米・カリフォルニアで修業後、両親の醸造所を継ぎ、ワインスペシャリストのクリスティン夫人とともに醸造所をトップクラスに導きました。ヴュルテンベルク地方ならではのカジュアルで素朴なワインから、世界に通用するインターナショナルなスタイルのワインに至るまで、多彩なコレクションを展開しています。
Weingut Wöhrwag
Grunbacherstr. 5, 70327 Stuttgart
Tel. 0711-331662
www.woehrwag.de
2006 Lemberger trocken
2006年産 レンベルガー・トロッケン(辛口)6,20€