現在のようなガラスのワインボトルとコルク栓がセットで広く使われるようになったのは、ワインの取引が活発になった18世紀の半ばごろからだそうです。両者の導入により保存や運搬が容易になり、ワインは時間と空間を駆け巡るようになりました。
現在のドイツワインのボトルはフルート型と呼ばれ、ブルゴーニュ型のボトルを縦に引き伸ばしたような、背の高いすらりとした形をしています。この形のボトルはドイツ系のぶどう品種であるリースリング、ジルヴァーナー、ゲヴュルツトラミーナーなどに使われています。ライン地方では茶色、モーゼル地方ではグリーンが主流ですが、色の規定はありません。濃い色のボトルの方が、ワインをあらゆる光線から守ってくれます。ドイツでは、シュペートブルグンダーやシャルドネなどのブルゴーニュ系のワインや、メルロ、ソーヴィニヨン・ブランなどのボルドー系のワインもフルート型のボトルに入れることが多いですが、中にはそれぞれに腰のどっしりしたブルゴーニュ型、または肩の張ったボルドー型のボトルを使っている醸造所もあります。
フランケン地方では、 通常のボトルのほかに、背が低くまるい形をしたボックスボイテル(Bocksbeutel)が使われています。1989年以降、このボトルは欧州連合(EU)の規定により、フランケンワインにしか使えなくなりました。ただ、バーデン地方の一部とポルトガルの一部で、例外的に使用が認められています。
コルク栓には、少なくとも6年以上を経たコルクオークの外皮で、弾力性があり、なるべく穴の少ないものが使われます。ワインはコルクを通して呼吸していると言われますが、その程度はコルクの品質によって開きがあるようです。また、ワインを保存するとき、瓶を寝かせてコルクを湿らせておくとコルクが収縮しないので良いと言われますが、最近ではコルクの処理も進化しており、瓶を立てておいた方がワインの気化が少ないという研究データもあります。
ナチュラルコルクを使用すると、ごくたまにコルク臭というトラブルが生じることや(統計により2~5%の発生率)、コルクが高価であることから、近年、コルク以外のさまざまなボトル栓が導入され、今では合成樹脂栓、合成樹脂製リングのついたガラス栓(ヴィノロック)、スクリューキャップなども使われています。醸造家によって考え方はさまざまですが、品質の良い長めのナチュラルコルクを長期保存向けのワインに、数年で飲み切ってしまうワインにはその他の素材で、というのが一般的です。
一方、コルク離れが起こり、ナチュラルコルクの消費が減少することで、地中海沿岸のコルクオークの森が、新たに植樹されないまま徐々に減っており、逆に自然環境悪化につながっているというニュースも耳にします。そのため、コルクの森の生態系維持のために、高価ではあるけれどナチュラルコルクを使用しようと呼びかけている団体もあります。
(モーゼル地方)
モーゼルの名醸ワイン生産地エアデンにある素敵な醸造所。リースリングのエレガンスを徹底的に追及するアンドレアス・シュミットゲスのコレクションにはファンが多い。醸造所の歴史は1744年まで遡るが、世界的に注目されるようになったのは、1990年にアンドレアスが妻のヴァルトラウトと醸造所を継いでからのこと。重厚なワインが好まれる時代に、他地域では真似のできないモーゼル地方ならではの軽やかなリースリングを守り続けている。長年、土壌と向き合いながら、畑ごとの土壌の特徴を最大限に活かしたワインを造り出している。
Im Unterdorf 12, 54492 Erden
TEL:06532-2743
www.schmitges-weine.de
2007 Erdener Treppchen Riesling Spätlese
2007年産エアデナー・トレップヒェン、リースリング、シュペートレーゼ
(甘口)12,50ユーロ