ジャパンダイジェスト

UMAMIの世界 4 ー 日々の食卓のUMAMI

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今回は、ドイツで生活する私たちの食生活における「うま味」にスポットを当ててみましょう。

ドイツの代表的なうま味素材といえば、肉や野菜、チーズなどの発酵乳製品です。また、トマトピューレをはじめとするトマトの加工品やドライトマト、きのこにも、うま味が凝縮しています。ドイツ版の「だし」にはブリューエ(Brühe)があります。

本格的なブリューエを作るのは大変ですが、例えば鶏肉を骨付きで買い、肉から外した骨をねぎなどの香味野菜と短時間煮て、塩こしょうで味を整えるだけでも、ベーシックなだしが得られます。北海エビの殻からも、うま味の利いただしを取ることができます。

このほか、生ハムや薫製ベーコン、薫製ソーセージ、塩漬けアンチョビ、パルミジャーノチーズなどのうま味食材を常備しておくと、あらゆる料理に手軽にうま味を加えることができます。生ハムやパルミジャーノチーズは熟成が進むにつれ、グルタミン酸含有量が増えていきます。また、長期熟成したパルミジャーノチーズに見られる白い粒は、グルタミン酸の結晶です。

私たちは普段、何気なく、サラダに生ハムや炒ったベーコンを添えたり、ドレッシングに塩漬けアンチョビを混ぜたり、サラダやパスタ料理にパルミジャーノチーズを削りかけたりして、うま味をプラスしています。熟成した固めの生ハムを薄くスライスするときには、削り立てのかつお節に似た香りが立ち上ります。これらのうま味食材のほかに、良質のオリーブオイル、かぼちゃの種やクルミのオイルを加えれば、料理はより風味豊かになります。

日本のうま味素材である昆布やかつお節、煮干しなどは、短時間でうま味たっぷりの「だし」が抽出できる優れもの。乾物なので長期間保存でき、どこにでも持って行くことができます。しかも、醤油や味噌はそのまま使える優れた調味料です。ドイツの肉料理や魚料理、野菜料理にも、醤油や味噌などを少し加えるだけで和のテイストとなり、慣れ親しんだうま味を楽しむことができます。

ドイツでも日本でも、料理に香味(ハーブやスパイス)をふんだんに使い、うま味とのハーモニーを楽しみます。ドイツらしいフレッシュハーブといえば、フランクフルター・グリーンソースにも使われるパセリやあさつき、ガーデンクレスが代表格。行者ニンニク(ベアラオホ)やディルなどもポピュラーです。南国由来のバジルやローズマリー、アジア由来とされるニンニクなども、ベーシックな香味として使われています。香味の多くは和食にもアレンジできます。最近ではドイツでも、シソやカイワレ大根などの種や、スプラウト(新芽)が入手可能になりました。ねぎや大根、しょうがなどもグルタミン酸を多く含有し、香味とともにうま味をもたらしてくれます。

ドイツのクリエイティブなシェフたちも、世界各地のハーブやスパイスを積極的に取り入れ、隠し味に醤油や味噌を使うほか、シソ、海苔、わさび、柚子などを使い始めています。先日目にしたグルメ雑誌で紹介されていたレシピには、七味唐辛子やふりかけまで使われていました。やがて、山椒や梅干し、納豆なども活用されるようになるかもしれません。2013年にユネスコ無形文化遺産に認定された和食は、うま味とともに、ますます注目を集めています。

 
Strauch Sektmanufaktur
シュトラオホ・ゼクトマニュファクチュア(ラインヘッセン地方)

シュトラオホ・ゼクトマニュファクチュア
イザベル・シュトラオホ&ティム・ヴァイスバッハ夫妻

「クアフュルスト・フォン・ダルベルク」ブランドで知られる、ダルベルガーホーフ・シュトラオホ醸造所(創業1545年)の次世代である、イザベル・シュトラオホ&ティム・ヴァイスバッハ夫妻が2011年に立ち上げたゼクトマニュファクチュア。ゴーミヨ・ドイツワインガイド2015年版で新星ワイナリーとして高く評価されたばかり。計25ヘクタールに及ぶぶどう畑では、ラインヘッセンらしく多種多様な品種が栽培され、ゼクトのコレクションは多彩。年末年始の贈答用には、メッテンハイムの単一畑「ミッヒェルスベルク」のリースリングとゲヴュルツトラミーナーをブレンドした2011年産ヴィンテージゼクト、ミッヒェルスベルク・ブリュット(35€)がお勧め。

Strauch Sektmanufaktur
Dalbergstr. 14-18, 67574 Osthofen
Tel. 06242-913000
www.strauch-sektmanufaktur.de
ショップリスト
www.dalbergerhof.de/wein-stores


ゼロ ブリュット ナトゥレZero Brut Nature
ゼロ ブリュット ナトゥレ 14.90€

シュトラオホ家は、すべてのワインをビオ基準で生産。ゼクトマニュファクチュアでも自社のビオのぶどうだけを使用し、すべて伝統製法で生産している。現在入手可能なゼロ・ブリュット・ナトゥレは、2012年産のヴァイスブルグンダー。ベースワインはオークの大樽と小樽で熟成。瓶内2次発酵とそれに続く酵母との接触期間は、トータルで30カ月に及ぶ。ノンドサージュで残糖は0.8g/L。桃や花梨のコンポート、酵母由来のパンのようなほのかな香り、クリーミーできめの細かい泡。ソフトな酸味が魅力的だ。ゼクトはダルベルガーホーフ・シュトラオホ醸造所のブティックで入手可能。


 
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岩本順子(いわもとじゅんこ) 翻訳者、ライター。ハンブルク在住。ドイツとブラジルを往復しながら、主に両国の食生活、ワイン造り、生活習慣などを取材中。著書に「おいしいワインが出来た!」(講談社文庫)、「ドイツワイン、偉大なる造り手たちの肖像」(新宿書房)他。www.junkoiwamoto.com
● ドイツゼクト物語
● ドイツワイン・ナビゲーター
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