東ベルリン生まれ。同市近郊テンペルフェルデ在住。ファーストエイド船Sea Watch代表。
©Sea-Watch
地中海上の不法移民を溺死から救う「Sea Watch」のアイデアは、ベルリンの壁崩壊から25年目となる昨年11月9日夜、友人4家族と開いた記念パーティーで生まれた。北アフリカからEUへと漕ぎ出した不法移民船が相次いで転覆し、多くの溺死者が出ている話題になり、「漁船を出して救えないのか?」と。
誰1人として先祖に船乗りはおらず、漁船に乗ったこともない。それでも皆で6万ユーロを持ち寄り、1917年製の超老齢小型漁船を購入。航海士や医師、造船技師などのボランティアメンバーを募った。
実行力とチームを束ねる組織力は、東西統一後に世界を放浪し、現在ベルリンでアジア・南米輸入雑貨ショップを2店舗経営するパワーからも見て取れる。「ハラルドならやると思った」と支援者は言う。
初出陣は今年の6月20日、活動海域はリビアとマルタの間に位置するイタリア領ランペドゥーザ島沖。ここで過去に約3500人が溺死した。2005年にドイツ医療船が不法移民を乗船させて刑事問題へと発展した事例があるため、転覆寸前で漂流するボートを発見したら、必ずイタリア沿岸警備隊に連絡する。同時に、興奮する不法移民たちに「沈むから動かないで」と語り掛け、救命胴衣を与え、折畳み式エアプールを開いて子どもや妊婦から先に収容していく。イタリア警備船が到着するのは、それから数時間後になる。7月は6日間の出動で、150人以上を救助した。
「我々はプロのアクティビストではないし、移民は政治家がどんな決定をしても来る。だから問題は単純。溺死させないこと」。(Y.T.)
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