インヴァリーデン通りにある自然史博物館(Museum für Naturkunde)が2年間の改装期間を経て7月13日、リニューアルオープンしました。最初の3日間は入場無料ということもあって、約4万人もの人が訪れる盛況ぶりだったといいます。私も初日の午後に足を運んで来ましたが、親子連れが目立ち、至るところから歓声が聞こえてきました。
この博物館の大きな目玉は、入り口ホールにそびえる世界最大級のブラキオサウルスの化石です。約1億5000年前のこの恐竜の化石は1909年、当時ドイツの植民地だった東アフリカ(現タンザニア)で発見されたもの。すでに戦前から博物館に飾られていましたが、恐竜の研究が大きく進歩した結果、従来の骨の組み立て方では恐竜がその巨大な体重を支え切れなかったことが明らかになってきました。そこで最新の研究に従って、骨を組み立て直す必要が生じたのです。
今回の改装では恐竜の高さに合わせ、展示ホールの天井が増築されました。その間化石はカナダの専門家チームによって一旦解体され、海を越えたカナダに運ばれ、そこで修復。また化石を組み立てる際に必要な金属製の止め具も新たに作られたといいます。今年の春、久々にベルリンに帰って来たブラキオサウルスの化石をやはりカナダチームが組み立てたところ、身長は従来より約1メートル高い13.27メートルにも達しました。この数字は近々ギネスブックに載ることになるそうです。
皇帝ヴィルヘルム2世によってこの自然史博物館がオープンしたのは1889年のこと。当時のドイツの植民地支配を背景に、急速にコレクションを増やしてゆき、現在では世界でも5本の指に入る規模を誇ります。見どころは、もちろん恐竜の化石だけに留まりません。太陽系の生成から始まり、多種多様な動物世界や人類の進化、最近の気候変動による生物への影響といったテーマを、実物とジオラマ、3Dの映像などによって、見て感じながら学ぶことができます。
さて、ようやく人ごみから開放されて外に出ると、あちらこちらからハンマーで石を叩き割る音が聞こえてきました。これは化石の産地で知られる南ドイツのホルツマーデンからこの日のために運ばれて来た粘板岩の山で、見つけた化石は自由に持ち帰っていいとのこと。嬉々とした子供たちの表情が印象的でした。入場無料の期間後も、自然史博物館の前には長い行列ができたとか。クヌートブームの次は、ひょっとしてブラキオサウルスブームがやって来るのでしょうか??