フランクフルトでは、毎年10月最後の週末2日間に食の見本市「クリナート」が開催されます。今年で16回目となるこのグルメメッセは、飲食店経営者や美食家、調理師やバーテンダーなどの食に従事する人から、おいしいものに目がない一般の人までが楽しめる、食欲の秋にぴったりなイベントです。例年はボッケンハイムの旧路面電車の倉庫が会場として使用されていましたが、今年は初めてウエストエンドのゲーテ大学キャンパス内にある、「カジノ」という建物で開催されました。左右2つのホールとそれをつなぐエントランスホールからなるこの会場には、80以上の生産者や食料雑貨店を中心に、食に関わるさまざまなブースが並びます。
エントランスホールから充実した会場
エントランスホールには早速、チーズやクラフトスピリッツ、チョコやシャンパンにワインなど、おいしそうなスタンドが勢揃い。そこから続く左右2つのホールには高級カカオを用いた濃厚なトリュフチョコ専門店、コンテストで1位を取った自家製バジルペーストを中心にイタリア食材を提供するブース、オリーブオイルやナッツ、スパイスなどの調味料に特化したお店もありました。気になるブースで立ち止まりつつ、生産者と顔を合わせて直接質問したりアドバイスをもらったりできるのもクリナートの魅力です。普段はウェブショップを中心に展開していたり、ローカルな個人商店だったりと、なかなか直売の機会がないだけに、実際の商品を前に生産者の声を聞くことができる貴重な機会となりました。
ウィスキーの香りを堪能できるブース
ワインをはじめアップルワイン、日本酒、ウイスキーやシャンパンなどのアルコール飲料も充実していました。普段はボトルやラベルの説明を読んだだけで選びがちですが、ここではテイスティングをしたり香りを楽しんだりと、自分で中身を確認した上で購入できます。自家製トリュフパスタやチーズ盛り合わせ、ワインにビール、ピザやタイ料理など、バラエティー豊かな飲食を堪能し、どれもおいしくて思わず買いすぎてしまいました。また和包丁やインテリア雑貨、ラップ代わりに何度も使える蜜ろうラップ、調理器具などの食品雑貨も多く、食べ物だけでなく、食にまつわるバラエティー豊かな商品を楽しめました。
出店者同士が仲良く味見し合っていたり、パスタにワイン、チーズに日本酒など、ブースは違えど相性の良い食べ合わせを試したりと、出店者も楽しみながら参加しているのが印象的でした。おいしいものに囲まれた、まさしく「食の祭典」と呼ぶにふさわしい充実した2日間でした。
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。