今回は、キールの東約40kmに位置するネッセンドルフ(Nessendorf)の「ロバ・パーク(Eselpark)」をご紹介します。その名の通り、園内にいるのはロバばかり、というところです。ロバ・パークのポスターを見るたびに気になりながらも、「ロバしかいないなんて退屈なのでは?」と思っていた私ですが、小さい子どもにとても人気がある場所だと人づてに聞き、とうとう昨年秋に足を運んできました。
こぢんまりとした家族経営のパークの入り口を入ったところで、ずらりと並んで出迎えてくれたのは、黒・茶・ 白・灰色・斑点模様など、さまざまな毛並みを持ったロバたち。私にとっては、ロバと言えば写真や絵本の挿絵で見るような灰色一色のイメージがあったので、まずそこでちょっと驚きました。さらに厩舎を見てまわると、そこにはポニーのように小さな「こびとロバ(Zwergesel)」(体高80~105cm)から、馬のように大きな「巨人ロバ(Riesenesel)」(体高120 ~ 160cm。中でもスペイン・カタルニア地方のものが世界で一番大きいのだそうです)、ラバ(雄ロバと雌馬の雑種)まで全8種類、約100頭のロバたちがいて、触れることもできました。
ですが、何と言ってもロバ・パーク一番の目玉は、乗馬ならぬ「乗ロバ」とロバが引く「ロバ車」でしょう。ロバの背中に乗れるのは体重50kg以下 の子どもだけという制限がありますが、ロバ車は大人も楽しめます。私たち親子もこれに挑戦しました。私と娘が御者台に座り、夫がロバの手綱を引きながら歩いて出発。パークを出て一般道をぽっくりぽっくり、ゆっくりとした足並みで進んでいきます……と、パークを出て5分もしないうちにロバのルート(Ruth)が立ち止まりました。名前を呼んでなだめすかしたり、むちを当てたりしてもだめです。私たちより少し前に出発した家族連れは、とうに先の方まで行っています。何とか進ませようと奮闘していた矢先、ふと後ろを振り返ると、そこにもロバが動かなくなって立ち往生しているカップルの姿が。そのうちにルートはいきなり逆方向を向いたかと思うと、さっきまでの様子は何だったの?というくらい元気にパークへ戻っていったのでした。
家族連れに人気のロバ車
1時間のコースでしたが、立ち止まっている時間の方が長く、結局40分ほどでパークに戻ることになってしまい、残念でした。しかし、ロバ車には当たり外れがあるのか、あるいはこれもロバ車の特徴の1つなのかもしれないと思うことにしました。
ちなみに、ニンジンを持参すれば入場料が無料になる日や、「ロバのいななきコンテスト」、双子連れの家族は入場無料になる「双子会合」などのイベント・デーがあるので、お出掛け前に一度ホームページをチェックされることをお勧めします。
開園:3月15日~ 11月6日、
入場料:大人4.50ユーロ、小人3.50ユーロ
www.eselpark.de
福岡出身。2005年に渡独。夫と娘との3人家族。キール・フィルハーモニー合唱団所属の音楽好き。最近凝っているのは家庭菜園。