皆さんは、「アイーダ(AIDA)」と いう船をご存知ですか? 船の舳先(へさき)に描かれた“微笑む真っ赤な 唇”と、両船腹の“ブルーのアイシャ ドウの瞳”がトレードマークの大型クルーズ客船です。世界的な不況の影響もあり、キールでは長らく船の命名式 が見られなかったのですが、去る4月9日夜、久々にキールのオストゼー埠頭 (Ostseekai)で、アイーダ船の新しい仲間「アイーダ・ソル(AIDAsol)」の命名式が行われました。
船の命名式は、キールではとても人気のある行事です。この日も青空の広がる快晴の下、埠頭は19時前頃からたくさんの人で賑わい(後日の新聞によると、動員数は約4万5000人に上り、この命名式を見るためにわざわざミュンヘンから訪れた人もいたそうです!)、目の前の海には体長252mの巨大な新船アイーダ・ソルが悠々と浮かんでいます。見物に来た皆さんは、アイーダ・ソルの写真を撮ったり、ソーセージやビール片手に歓談しながら、そのときが来るのを待っていました。
微笑む唇がトレードマークのアイーダ・ソル
20時、命名式のために建てられた幅60mの大型特設ステージで無料の野外コンサート「アイーダ・ナイト・オブ・ザ・プロミス」が始まりました。大編成のオーケストラと合唱によるクラシック音楽と、ジョン・マイルズ、OMDやキム・ワイルドといったスターによるポップスが織り交ざったコンサートです。ソプラノ4人組のDiv4sや、RTL局の番組「Das Super talent」で一躍有名になったフレディー・ザヒンショルも駆け付け、1人でソプラノとバリトンを歌い分ける驚異の歌声を披露していました。若者から年配の方まで皆さんノリノリで、リズムに合わせて身体を動かしたり、一緒に歌ったりして、会場一帯が熱気に包まれていました。
そして21時30分、照明が暗くなり、1500人以上の応募者の中から選ばれた女性、ツヴィックラーさん(41歳)が命名宣言と先の航海の無事を願うスピーチを披露。彼女が陸上に設置されたスイッチを押すと、船の舳先でシャンパンが見事に割れるのが巨大スクリーン上に映し出されました。その途端、汽笛が重々しく鳴り響き、歓声と音楽、華やかな花火に彩られながら、アイーダ・ソルは最初の目的地であるデンマークのコペンハーゲンへ向けて、ゆっくりと出航していったのです。私も、いつかアイーダに乗ってクルーズを楽しんでみたくなりました! この日の命名式の模様はYou Tubeで見ることができます。“AIDAsol Taufe”と入力すると、たくさんの映像が出てきます。
特設ステージで行われた野外コンサート
福岡出身。2005年に渡独。夫と娘との3人家族。キール・フィルハーモニー合唱団所属の音楽好き。最近凝っているのは家庭菜園。