5月19 ~ 22日の4日間、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州議事堂にて今年で46回目となる「若者による研究コンテスト(Jugend forscht)」の全国大会が開催されました。5700組、1万700人以上の応募の中から地方予選を勝ち抜いてきた強豪110組、195人の若き研究者たちによる展示発表です。一体どんな研究が行われているのかと興味をそそられ、またせっかく地元キールで開催されるということで、足を運んできました。
髪の染色について研究したイネスさんとアンドレアさん(共に19歳)
会場に一歩足を踏み入れると、フロアの1、2階と外のテントに所狭しとパネルおよび展示物が並び、その合間を大勢の人たちが行き交って熱気にあふれていました。研究課題は「労働の世界(Arbeitswelt)」「生物学」「化学」「地理学・宇宙科学」「数学・情報科学」「物理学」「技術」の7分野。各ブースの前では研究に取り組んだ本人たちがプロジェクトについて説明し、見学者の質問にも熱心に答えていました。コンテストの参加者は主に高校生だったのですが、最年長は21歳から、最年少ではなんと11歳の生徒さんまで、皆さん、堂々と誇らしげに発表していました。
展示内容は、難しい数式や図が並び、かつドイツ語で書かれていたこともあり、私には理解できないものが多かったのが残念でした。しかし、その中でも面白いなと感じたものは、コーヒーメーカーのある場所まで歩かなくてもテーブルの上にカップをのせるだけでカップの中を目掛けてコーヒーが飛んでくる機械や、生鮮食品売り場の販売員が腰を屈めず楽にショーケースから品物を取り出せる昇降ベルト式トレイ、森林火災の発生源を突き止めることができる長さ約1メートルの小型飛行機、自転車用のスノーチェーン、自然の原料を使って髪を自在に変色させる染料(残念ながら黒髪には使えないそう)、効率の良い縦列駐車の方法を複雑な数式を使って表したもの……等々。とてもすべては挙げられませんが、よくこんな難しそうなことを研究したり、アイデアを思い付くものだと感心させられることしきりでした。最終日には、各部門の上位5組と優勝者がヴルフ大統領より表彰され、受賞者にはそれぞれ賞金や奨学金などが授与されました。
現在、ドイツでは技術者不足が懸念されていますが、こんなに多くの将来有望な若者たちがいるということを知って、頼もしく感じられました。彼らの今後の活躍に期待したいものです。
熱気にあふれた展示会場
福岡出身。2005年に渡独。夫と娘との3人家族。キール・フィルハーモニー合唱団所属の音楽好き。最近凝っているのは家庭菜園。