ジャパンダイジェスト

リス保護センターを訪ねて

木々の紅葉が始まり、地面には枯葉や木の実が落ち始めて、すっかり秋も深まった今日この頃。たまに地面や木の上を赤くてふさふさしたものがすばしっこく駆けていく姿を見ると、「ああ、ここは日本ではなくヨーロッパなのだ」と改めて感じます。「赤くふさふさしたもの」とは、リスのこと。その愛らしい姿を見ると、思わず顔がほころんでしまうのは私だけではないでしょう。そんなリスが街のシンボルとして紋章に描かれているのが、キールの北東約25km に位置するエッケルンフェルデ(Eckernförde)。当地にリス保護センターがあるというので、訪ねてきました。

木の実を集めるのに大忙し!木の実を集めるのに大忙し!

センター内は、広い公園のようになっています。あちこちに花が植えられ、目の前をウサギが飛び跳ね、小さなハーブ園やちょっとしたアスレチックなどもあって、散歩にもうってつけのスポットです。そんな長閑な環境の中に、リスの小屋は建っています。面積100㎡、高さ7m の柵の小屋の中には木々が生い茂り、小さな森のよう。また、ロープやはしごなどの遊具も付いています。よく見ると、赤や黒のふさふさとした尻尾を揺らしながら、リスたちがせわしなく動き回っています。秋だからでしょう、皆餌箱に積まれた木の実をせっせと集めては地中に埋めていました。飼育のお手伝いをしている女の子が小屋の中に入って手から直接木の実を与えている姿が羨ましくなり、私もおみやげに持ってきたどんぐりを柵越しにあげてみると、ちゃんと地面に落ちたものを拾って食べてくれました。

ここには病気やけがのため、通行人や造園業の人に連れて来られるリスが多く、元気に動き回っているようでも、それぞれハンディキャップを持っていて、自然の中では生きられない状態なのだと聞いて驚きました。また、同センターはドイツで唯一、24時間体制でリスを保護していることでも知られています。特に赤ちゃんリスの場合、昼夜を問わず2時間ごとにミルクを与えなければならないそうで、飼育員たちの苦労と愛情を感じました。2007年の開設以来、100匹以上の赤ちゃんリスをここで育て、自然に帰してきたそうです。

ヘルパーの女の子の手から木の実をもらうリスヘルパーの女の子の手から木の実をもらうリス

センターは月曜を除く毎日10~16時、入場無料で公開されています。また、経営は寄付で成り立っているので、お立ち寄りの際には木の実などを持参されると、リスたちもきっと大喜びだと思います。

リス保護センター : www.eichhoernchen-eck.de

ゼルヒャウ・ハンゼン美穂
福岡出身。2005年に渡独。夫と娘との3人家族。キール・フィルハーモニー合唱団所属の音楽好き。最近凝っているのは家庭菜園。
 
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