ジャパンダイジェスト

バラ園 —イザールの真珠

今年6月、ミュンヘンは建都852年を迎えました。雨の多かった6月ですが、街の生誕イベントが行なわれた第2週目だけは天候に恵まれていました。さて、今回の話題は6月の誕生花で、花の女王と呼ばれる「バラ」です。850年以上の歴史を誇る、美しき都ミュンヘンに彩りを添えるバラの花をご紹介します。

イザール川東岸のアウ(Au)と呼ばれる地区の南に、ミュンヘン市が管理する「バラ園(Rosengar ten der Baumschule Bischweiler)」があります。小ぢんまりとした入口からは、そこが4500㎡もあるバラ園とは想像もつかないのですが、一歩足を踏み入れた先には花々の咲き乱れる庭園が広がっています。バラ園のパンフレットで謳われている「8500色の花火」というのは少々大袈裟な気がしますが、この時期には約8500株あるというバラの花が代わる代わる咲いて、人々の目を楽しませ、幸せな気持ちにしてくれるのです。

ビオ菜園
園内の様子は、外界から切り離されたような印象すら与えます

イザールの真珠」「レオナルド・ダ・ヴィンチ」「ハイディ・クルム」「アンダルシア」「ワルツの夢」「愛の歌」・・・・・・これらはすべて、ここに植えられているバラの名前です。私は花には疎い方なのですが、バラの花と名前を見てイメージを膨らませる、そんな楽しみ方もできます。園内にはヨーロッパやアメリカ、中国原種のもの、立木やつる性など一風変わった形状のもの、稀少な品種など、200種を超えるバラが栽培されています。またバラ以外にも、40種類もの花の香りを嗅いだり、実際に植物に触れてその感触を体験したりできる区画もあります。さらに、子どもたちにとって危険なのでフェンスで区切られていますが、毒性の植物が栽培されているコーナーもあります。

この時期になると、ここではバラの花を観て楽しむ人だけではなく、読書をする人、おしゃべりに興じる人、スポーツの合間に休息する人、そして先生に連れられた幼稚園児なども見かけるようになります。そして訪れる人々をよく見ていると、それぞれの人がここを思い思いに利用し、まるで自宅の居間にいるかのようにくつろいでいるのがわかります。有名な市民の庭である英国庭園に比べると規模はずっと小さく、ビアガーデンもありませんが、裸の人も寝そべっていないので、落ち着いて過ごせるのでしょう。

イザールの川沿いを散歩する際には、ぜひ立ち寄ってみてください。今年の開花は少し遅れましたが、バラは今頃が盛りだそうです。

Sachsenstraße 2, 81543 München
開園時間(9月まで)月~金: 7:00~21:00、土日:9:00~21:00
入園無料

バラ「アンダルシア」
「アンダルシア」という名の鮮やかな赤い色のバラ

さかいざわ はる
2004年よりミュンヘン在住。主婦の傍ら、副業でWEBデザイナー。法律家の夫と2人暮らし。クラブ通い、ゴルフが趣味のおばさん。
 
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