シュトゥットガルト近郊にあるシュヴァーベンジュラ山脈は、夏の休暇先として人気なだけでなく、地質学的・考古学的にも非常に興味深い地域です。この山脈は、恐竜がまだ地球に存在していた1億8000万年前のジュラ紀にできたもので、当時ここには何千もの種の古代生物が生息していました。シュトゥットガルトの自然史博物館では、そんな恐竜たちの化石発掘を疑似体験できる砂場がありますが、今回は考古学ファンや恐竜ファンにはたまらない、より本格的な発掘体験ができる施設をご紹介します。
割れた岩表面には、さまざまな化石が確認できます
シュトゥットガルトから車で走ること40分、「Schieferbruch Ralf Kromer」という採石場に到着しました。入場料は3ユーロ(子ども2ユーロ)で、制限時間は3時間まで。古代生物のアンモナイトやベレムナイト、石化した木材などを発掘することができ、運が良ければ、魚竜や魚の断片的な化石も見つかることがあるそう。発掘した化石はお持ち帰りできます。
私たちも金づちとノミをレンタル(セットで1.50ユーロ)し、早速化石発掘を開始しました。「化石なんて素人に見つけられるわけがないし、石を叩いて雰囲気を楽しむだけでもいいよね」というくらいの気持ちでいましたが、地層に沿ってノミを当て、地層の断面が出るように注意深く金づちでたたくこと数分。パカッと割れた断面から、早くも化石が現れました……! 最初の化石をこんなに早く見つけ出せるとは驚きです。
現地でレンタルできる金づちとノミ
その後も、次から次へと大小さまざまな化石が出てくるのが面白く、夢中で石をたたき続けました。場内には専門家の方もいて、化石の解説をしてくれたり、珍しい化石を見せてくれたり。入場した時は、「3時間もここにいられるかな」と思っていましたが、始めてみると時間が過ぎるのを忘れ、顔を土だらけにしながら化石を発掘しました。日差しの強い日だったので、途中でアイスクリームの移動販売車が来てくれたのもうれしかったです。
この採石場からすぐ近くのホルツマーデンという街には、ドイツ最大のプライベート化石博物館「Urweltmuseum Hauff」があり、とても貴重な化石が数多く展示されています。1カ月に1回、日曜日にガイドツアーがあるほか、2週間前に予約するとドイツ語もしくは英語でのプライベートツアー(45分、独語60ユーロ、英語80ユーロ)なども提供可能だそう。事前予約は必要ありませんが、現在は新型コロナウイルスの感染症拡大予防対策として、訪問者が多い場合は入場規制もあり、館内ではマスク着用が義務付けられています。
アイスクリームの移動販売車は大人気
この秋、太古のロマンを味わうべく、皆さんもぜひ化石発掘に挑戦してみてはいかがでしょうか。
Schieferbruch Ralf Kromer:www.schieferbruch-kromer.de
Urweltmuseum Hauff:www.urweltmuseum.de
大阪生まれ、東京育ち。在シュトゥットガルト13年。Merz Akademie大学視覚コミュニケーション科卒。語学力を武器に、日本企業のリロケーションをサポートしながら、メディアデザイナーとしても幅広く活躍している。趣味はギターと読書。