ジャパンダイジェスト

新ベンツ博物館開館一周年

自動車発祥の地、シュトゥットガルト。昨年に新しく開館したベンツ博物館はこれまでに90万人もの見物客を魅了し、今年の5月20日に満1才の誕生日を迎えました。

この日はなんと、無料で2000人をご招待。幸運にも私もその中に入って館内を見学してきました。館内には、地上8階から地下1階まで、世界初のガソリン車から歴代の乗用車、トラック、救急車、バス、そして最新型のレースカーまで展示されています。各階では中央に位置する三角形のアトリウムを取り囲むように3つの展示空間があり、ちょうど三つ葉のクローバーに似ています。そして、建物全体を緩やかなスロープでらせん状に貫くという複雑な構成をとっています。この博物館は現在最も前衛的と評価されている建築事務所UN Studioによって設計されたものです。

外観
存在感あふれる佇まい

入館すると、すぐにエレベータの入口に案内され、最上階から見学を始めることができます。8階はまず自動車誕生の歴史から。実は自動車を発明した人間は2人、同時代にいたのだそうです。1人は馬車にエンジンをつけ、もう1人は自転車からの発想だったそう。この2人は偶然にも隣町同士で、1人はベンツさん、もう1人はダイムラーさん。彼らのそれぞれ創った会社は後に合併し、ダイムラー・ベンツ社が創立されたというわけです。(1998年、米のクライスラー社との合併により、現在のダイムラークライスラー社に)

最初のガソリン車は馬車の馬無し
)最初のガソリン車は馬車の馬無し

その後、自動車産業は瞬く間に発展し、自動車の形や性能もどんどん洗練され、乗り心地も飛躍的によくなりました。順路に沿っていくと、ちょうどこの発展の歴史が見え、120年もの間、一つの産業が誕生から成熟していくまでの道のりが詳しく紹介されています。

自動車の実物や部品、おびただしい写真の数、1つ1つじっくり見ていくと1日あっても時間が足りないほど。2階にはレースカーのシミュレーションがあり、気軽にレーサーのトレーニングもちょっぴり体験できます。館内至るところで、モダンで豪華な雰囲気が漂い、最新技術が照明や展示、温度湿度管理など様々な分野で使われているのも見所のひとつ。「車のことなど興味ないけれど」という人も、デザインの視点からでも十分楽しめるのです。この博物館は建築としても、多くの写真愛好家の被写体にもなっています。

斬新な空間演出
斬新な空間演出

http://www.museum-mercedes-benz.com/
住所: Mercedesstrasse 100 ,70372 Stuttgart
最寄駅:S1 Gottlieb-Daimler-Stadion から徒歩7分
開館時間: 9時~ 18時(月定休)
入場料: 7ユーロ / 4ユーロ

郭さん郭映南(かくえいなん) 中国生まれの日本国籍、ドイツ在住。人生の1/3以上は海外。ケルン→マールブルク→シュツットガルト、拠点を転々としながら、ドイツ語とダンスと写真を学ぶ。現在、Stuttgart造形美術大学で視覚デザインの研究生。
HP: http://kakueinan.wordpress.com/
 
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